皮膚科ブログ

予約状況について

2018.06.16

犬の痒み・脱毛などの皮膚病治療のみを行う皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。


今日は最近の予約状況についてのお知らせです。

当院に初めて来院される初診の場合は、診察にお時間がかかる(90~120分)ため、原則12時からの診察(1日1件)で完全予約制としております。

  ※再診の方は当日でもお電話いただければ空いているお時間をご案内しています。

ただ、最近になってこの初診の予約が約2週間先まで埋まるようになり、初診までお待たせしてしまうことがあります。

状況にもよりますが、現在は12時以外でも空いているお時間があれば早めのご予約にも対応するようにしていますので、まずはお電話でご相談ください。

お電話のときに必要な情報は今の服用しているお薬の名前で、事前に把握できていればスムーズです。

よろしくお願いします。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【脂漏症のスキンケア】オイルジェルの効果

2018.06.02

犬の皮膚病治療におけるスキンケアに力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

犬の皮膚病におけるスキンケアとしては「シャンプー療法」が知られており、マラセチアや脂漏症などフケが多いわんちゃんには週2回のシャンプー奨められたりしていますが、シャンプーの種類やその回数だけで改善が見込める症例は多くありません。

やはりシャンプーだけにこだわるのではなく、「スキンケア」としてアプローチするのがいいと思います。

そこで当院ではシャンプー前のクレンジングとして「クレンジングオイル」を使いシャンプー療法の精度を高め、局所のデイリーケアとして「ローション」で湿疹のケアなどができるようにしてスキンケアを推奨してきました。

ただ、このスキンケアは主に湿疹タイプの膿皮症向けに開発しており、脂漏症のわんちゃんには皮脂へのなじみが不十分でやや不向きであることは実感していました。

そこで数年かけて新しく開発したのが・・・

   ※これは容器&印刷のイメージのための写真です。

モイストクレンジングオイルジェルです。

    平成30年4月16日のブログ記事 「保湿・抗炎症・クレンジング 犬の新しいスキンケア商品」で紹介しました。

実はまだ納品前で実商品がなく処方はできませんが、試作品を通院中のわんちゃんで使ってみましたので、その経過を報告します。

【症例】

 シーズー 

【経過】

 〇現在2週間に1回院内薬浴実施を継続中

 〇アポキル継続投薬中(今回のオイルジェル使用の前後での投薬変更なし)

 〇診断名はシーズーに典型的な脂漏性マラセチア性皮膚炎(硬いフケが大量にでる脂漏症)

 〇脂漏の程度は過去最高クラスの「極度に強い脂漏症」

※この写真撮影の1週間前に院内薬浴を実施しています。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

少し分かりにくいかと思いますので、毛をカットしてみましょう。

シーズーの脂漏症に多い、硬いフケを伴う脂漏が認められます。

今回はシャンプー工程を含んだ「院内薬浴」ではなく、新しいオイルジェルだけを使ってみました。

ジェルでなじませて約5分後の状態です。

皮脂がふやけて浮いてきたのがわかります。

この皮脂をコットンできれいにふき取ります。

皮脂を浮かすために揉み込んだ影響でやや赤くなっているように見えますが、これは異常ではありません。

この後、自宅では従来どおりシャンプー・外用薬などの使用はせず、いつものと変わらない条件で過ごしていただきました。

前回の院内薬浴から2週間後(ジェルの処置から1週間後)の状態をみてみましょう。

毛が伸びてきていますが、脂漏(皮脂・フケ)が少ないことがわかるかと思います。

今回はたった1回だけの処置しかできませんでしたが、この商品はシャンプーをしない日のデイリーケアとして開発しているため、もし毎日塗布を続ければもっと良くなっていたと思います!

このわんちゃんはシーズーの脂漏症が多い当院でも3%の上位に入る強い脂漏症体質をもっている症例のため、この症例の1回だけの処置でここまで改善したことを評価すると、かなり期待できる商品だと思います。

※治療内容の変更はしていません。純粋に「2週間間隔の院内薬浴の中間時点でオイルジェルを1回使った」だけです。

みているみなさまに勘違いしてほしくないのは、「脂漏症がジェルで改善する」「シャンプーよりジェルがいい」ということではありません。

ここまで硬い皮脂とフケがでる脂漏症であれば他の部位(腕・わき・頚部)の脂漏を考えても、2週間に1回のシャンプーより週1回全身のオイル&シャンプーで皮脂をしっかり取ることを優先した方がいいです。

そしてオイル&シャンプーのあとにジェルを塗布して、その後も継続して毎日ジェルを塗布するというのがよりベターです。

また投薬治療と院内薬浴よりスキンケアが効果があるという意味でもなく、あくまで「毎日のスキンケアを足すと改善効果が高まる」という意味です。

今までの犬の皮膚科のデイリースキンケアと異なる点の一つは「基材」です。

すでにクリームや乳液タイプの保湿剤がデイリースキンケアとして販売されていますが、このクリームや乳液の保湿剤は脂漏症のわんちゃんにはあまりフィットしません。

そこで試行錯誤で行き着いたのがオイルベースのスキンケア商品、「脂漏症にオイルを塗布する?」と疑問に思われるかもしれませんが、皮脂に馴染むクレンジング効果と保湿効果が同時に得られるため、デイリーケアとしては最適です。

乾燥タイプのフケがでる皮膚コンディションの保湿としても使え、シャンプー直後のドライ前であれば被毛が長いわんちゃんでも馴染みやすいため、全身塗布に使えます。

オイルベースということでべたつきを心配される方もいるかもしれませんが、シャンプー後のドライで皮膚になじむように開発したため、べたつくことはありません。

気をつけていただきたいのは、脂漏症が強くわんちゃんで被毛が長い状態で塗布すると皮脂が毛に絡んで大変になります。

局所の集中スキンケアのためには、今回のように毛をバリカンでカットする必要があります。

毛が長いわんちゃんではシャンプー後(ドライ前)の保湿として馴染ませるのがベターでしょう。

またスキンケア方法としてYoutubeに動画をUPする予定なので、完成したら紹介します。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

閃きは確信へ ~5年前の失笑~

2018.05.27

最近の人生のテーマに「ゼロを1へ」を掲げている獣医師平川です。


ゼロを1にするって大変です。

分かりやすいようにとりあえず「ゼロ」という単語を使いましたが、まだ「ゼロ」がゼロとして認識できていればいい方で、時には「無」です。

無とは見えない、誰も知らない、想定外で、無である自覚もありません。

これを皮膚科に例えて使うと、「治療の成功には、医療のゼロ(無)に気づくこと」という感じでしょうか。

いつもブログで書いている「治療法が教科書にのっているとは限らない。」ということのベースでもあります。



今日はそんなゼロを1にするための日々の努力の中で、アドレナリンとエンドルフィンが大量に放出されるほど輝く「1」を実感したので思わずブログにしてみることにしました。

夜中にも関わらず日中に放出されたエンドルフィンが残っているせいか、気分が高揚しているので多少の戯言はお許しください(^^;



改めてタイトルにある「閃きは確信へ」にもどるのですが、この言葉を覚えている方はいますか?

 2014年10月27日ブログ記事  5年ぶりの閃き? 

皮膚病の中でも最も多く、再発しやすい膿皮症の根本的治療のためのアプローチを閃いたお話です。

そこから生まれたスキンケアECプラスは今の皮膚科診療の大きな武器となっています。


その他にも閃きは星の数ほどあるのですが、ほとんどゴミとなってキラリと光ることもなく捨てられて山となっています。

この妄想癖は不治の病みたいなもので、本人としては上手に仕事に生かすことができればと楽観的ですのでご心配はいりません(^^;

ただ、この閃きの中にときどき輝くようなダイヤの原石がみつかることがあります。



今日は随分と昔に閃いた仮説についてです。

5年以上前ですが、繰り返す膿皮症の原因に、新しい病態があり、あるお薬が効果を示すのではないかと仮説を立てました。

そして約5年前の大きな学会で、皮膚科の著名な先生方が集まりディスカッションをするという会場で質問させていただきました。

個人的にはポジティブな賛同意見や、何か情報があるかと思っていのたですが、現実は甘くなく、

「そんな話は聞いたことないですね。先生がそう思うならご自信でやってみたらどうですか?フフフ」

と内容の吟味や話の広がりもなく、一蹴されました(^^;

多くの先生が集まっている会場ということもあり、結構恥ずかしくて、意気消沈して帰宅したのを今でも覚えています。

(いまとなったらただのネタですよ!)


で、あれから5年。

相当数の症例をみて、さまざまなチャレンジをしてきましたが、本日とある2件の再診を行い、あのときの閃きは確信へと変わりました。



この2症例の診断名は膿皮症なのですが、初診時にわんちゃんを診た瞬間に「基礎疾患にあの病態が隠れている。絶対に〇〇〇でうまくいく。」と確信していた症例です。

そのため初診時に、

「ずっと治っていないとはいえ、この膿皮症を治すのは当然。問題は膿皮症を再発させないために、未知の病気が隠れていることを探して治療すること。気づいていないとは思いますが、治療すると〇〇〇になりますよ。〇〇〇がクリアできたら膿皮症は起きにくくなっているはずです。」

と膿皮症の改善という目先の目標よりもずっと先の飼主様の想定外の具体的な着地点を定めてからアプローチさせていただきました。

※一般的な皮膚科診療では通常やらないであろうアプローチです。ただ、非常に理にかなったアプローチで、未来の治療はこうなると思います。

結果は大成功です。

飼主さまも「びっくり、こうなるとは思わなかった」と喜んでいただけました。



5年前はただの妄想でしたが、あれから病態把握の精度を高めてきて、今では9割程度で診た瞬間に判断できるようになりました。

振り返れば見落としている症例も結構いるため、今後は継続治療のわんちゃんたちの治療方針の微調整にも使おうと思います。

今多くのデータをあつめているため、来年向けて学術活動もしたいと思います。

今年「アポキル(オクラシチニブ)が慢性腸症(IBD)に効く」という発表をしましたが、それとは比較にならないくらいのインパクトだと思います。

お楽しみに♪

※オフィシャルHPの刷新とオンラインショップの刷新、そして新しいオイルジェルの準備があるため、夏以降にがんばります。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

平成30年5月13日(日)皮膚科特別診療in品川

2018.04.27

痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。


当院では「初診時の診極め」による精度の高い治療方針を生かして遠隔診療を提供しています。

実際に対面で診察するのは1度きりで、継続治療はメールと写真で行う新しい医療サービスです。





特に関東から来院される方に多く利用していただいています。

当院からも定期的に東京で診療を行っているのですが、昨年12月を最後に冬の間はお休みしていました。

春になりそろそろ次の開催を決めないといけないのかな・・・と思いつつも、忙しさを理由に未定にしていると、病院まで「次回はいつ開催ですか?」という電話がたくさんかかってくるようになったので、急遽5月13日に開催することにしました。

ブログで告知を・・・と思っていたのですが、すでに予約枠を超える問い合わせをいただいているので、告知と同時になって心苦しいのですが「キャンセル変更待ち」受付とさせていただきます。


昨年はかなり多く開催したのですが、あれは1回開催するとしばらく無理と思うほど身体に負荷がかかるので、今後は各エリアごとに診療を手伝っていただける動物病院を募集したいと思います。

当院の診療と提携しながら、関東にお住まいで皮膚病治療に困っている方の治療を受けていただける病院です。

今後の活動の1つにしていきたいと思います。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【保湿・抗炎症・クレンジング】犬の新しいスキンケア商品開発

2018.04.16

犬の皮膚病治療において重要なファクターの一つスキンケアに力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。


2年前から新しいスキンケアに取り組んでいたのですが、ようやくみなさまのお手元に届けられる目途が立ちましのでご紹介します。

Medicareシリーズ

Moist Cleansing Oilgel





※今はデザインを決めて印刷データ作成中なので、写真は見本のボトルにプリントした紙を巻いただけの完成イメージです(^^;



実は今のラインラップでは「クレンジングオイル」「シャンプー」「ローション」の3本があるのですが、基本的には膿皮症のケアのために開発したため、皮膚コンディションによっては向いていないケースもあることは従来からの課題として悩みの種でした。

特に油っぽい皮脂が多いタイプのわんちゃんや、乾燥タイプの細かいフケがでるわんちゃん、フケを伴わない皮膚炎のわんちゃんには今のローションのような水溶性のタイプではない皮脂に馴染むタイプが必要でした。

人ではクリームタイプ、乳液タイプなどが当てはまるのですが、毛が多いわんちゃんでは非常に使いにくく、正直かなり悩みました。

色々検討した結果、新しく採用したのが「オイルジェル」です。

ポイントは、

①油性であるため、皮脂汚れへのクレンジング効果が高い 

②ジェルタイプのため、伸ばしやすく皮膚へのなじみがよい

③油性ジェルであるが、ドライ(乾燥)に影響を与えないため、長毛でもシャンプー後であれば均等に全身に浸透させることができる

④抗炎症&保湿効果が高い

これらの特徴から、シャンプー後の全身使用もできますし、シャンプーをしないときの局所のデイリーケアにも対応できます。

ローションでは十分にカバーできていなかったタイプの皮膚・被毛のことを配慮して開発したスキンケア商品です。

現在のローションは膿皮症・皺のケアに使っていただき、その他のタイプにはこちらのオイルジェルをお勧めしていきます。

女性のヘアケア商品をイメージして開発したため、特にドライ後の毛並みの仕上がりがよいです!


企画から開発・商品化までに2年かけましたので、僕が待ち遠しいです(笑)

6月完成予定です♪

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

実際に診療せずに的確な治療方針を組み立てることができるか?

2018.04.04

痒みを伴う皮膚病治療のみを行う皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

1ヶ月前からまた新しいことにチャレンジしていたところ、いい結果が出たので報告します。

約1ヶ月前のことですが、当院オンラインショップを通じてある動物病院の先生から当院のサプリメントにご興味をもっていただき、メールで簡単な情報交換をする機会を得ることができました。

痒みを伴うトイプードルのわんちゃんの治療で困っていて、食物アレルギー対策としてアミノペプチドフォーミュラと、痒み対策としてアポキルを1日1回服用するもいい改善が認められないということで、当院から痒み改善のために必要な治療プランを立てさせていただくことにしました。

幸いそのトイプードルのわんちゃんは、その動物病院の院長先生が飼育しているトイプードルちゃんということで、大きな病気の除外はできていますし、改善の評価も的確にできるということで、当院の治療方針の良し悪しの判定にはうってつけともいえました。

ここで治療の条件を列挙します。

・面識のない動物病院の院長先生 → お世辞などはなく、客観的にかつ最も厳しい目線で評価していただけます
・遠方の動物病院 → もちろん僕がこの目で実際に診ることはありません
・すでにアポキル1日1回と、アミノペプチドフォーミュラを食べています。(その前はZ/ D) → 今の皮膚科医療で考えられるベストに近い組み合わせです。
・痒みは四肢端の手足舐めを中心に、口唇や目や体幹などあちこち → アポキルと食事療法で改善がなければお手上げになりがちな「あるある」です。

加えて

・1ヵ月後にその動物病院にご挨拶に伺う約束をしたため、それまでに改善させるのが目標
・もちろんメールでの情報だけで狂いなく改善までの道筋をつくらなければいけません

という条件です。

あとはメールで簡単な情報をお聞きして、写真をおくっていただき、こちらから治療方針をメールでお伝えしました。

そしてご挨拶に伺ったのが今日・・・・

もちろん十分すぎるほど劇的に改善したということです。

※1ヶ月も必要なく、2週間の時点で十分に改善していたのをメールでお聞きしていたので予測通りの順調さでした。

今回のチャレンジには院長先生と、ケアの担当の看護師さんの2人で取り組んでいただいたのですが、「だまされたと思ってやってみることにしたらビックリ」という評価で、うれしいやら複雑やら・・・ですね(笑)

まぁ、おどろきのアプローチでびっくりするのも致し方ないと思います。

どうしてこのアプローチなのか、どう考えたのかなどと色々質問をいただきまして・・・・

なんと、その動物病院と当院で皮膚科の診療提携を結ぶことになりました!!

僕よりはるかに年上の先生で、どこの馬の骨ともわからない僕のお話を聞いてくれるのか?と不安でしたが、「結果(改善)がすべて。同じ獣医師だから、年齢は関係ないよ」とおしゃっていただけました。

近いうちにプライベートセミナーで当院の治療方針を共有することができればと思います。

またご紹介したいと思います。

※診療提携

スキンケア商品、サプリメント、治療方針などを当院と共有する新しい医療サービスです。

ご希望の方はご説明に伺いますので、ご連絡いただけると幸いです。

今後、提携動物病院が増えると制限を行う予定ですのでご興味のある方はお早めにご連絡ください。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

IBD(慢性腸症)に新薬アポキルが効く?

2018.03.26

四季の森どうぶつクリニックの平川です。


以前も紹介した「学術活動」の続きです。

今回は消化器疾患として

「慢性腸症」


をテーマにした症例報告です。

慢性腸症とは、以前はIBD(炎症性腸疾患)といわれていた疾患です。

たんぱく漏出性腸症という病名も含まれるかなり一般的な消化器疾患です。

この慢性腸症の問題点は2つあり、1つは確定診断が全身麻酔下での内視鏡検査であること、2つめはステロイドにより長期治療が必要という点です。

この2つの難点を解決するかもしれない新しい治療法について記載しています。






そう、あのアポキルが効く・・・・と思います。

いや、思いますというより効くと確信しています。

5年後10年後には標準治療の1つに入るでしょう。

その第1歩です。

治りにくい嘔吐&下痢にアポキルという選択肢です。

アポキルがどんな痒みも抑えるというわけではないように、消化器症状=アポキルではないので、ここは獣医師の腕の見せどことです。

当院では「この消化器症状にアポキル効きそう」と思った症例には、100%期待通りの効果を発揮していますので、ぜひ雑誌を購入して読んでください。

掲載は、インターズーさんのクリニックノート4月号(153号)です。

なお妄想から生まれた症例報告のため、参考文献はありません(笑)

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

皮膚科病院の久しぶりの学術活動が「消化器系疾患」

2018.03.14

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。


今日は皮膚科モードではなく、普通の一般獣医師としてブログを書いています。

動物病院で働く獣医師を一般的に臨床獣医師と呼ぶのですが、臨床獣医師の仕事にはメインとなる診察以外にも学術という仕事があります。

飼主さまにも伝わりやすい学術活動としては、「新しい治療法の発見」「新しい病気の発見」「新しい診断法について」などなどがあります。

臨床獣医師の全員が取り組んでいるわけではないのですが、先生によってはこの学術活動に力を入れている先生もいて、こういった学術活動の成果で日々医療は変化していると思います。

相当な努力の積み重ねの活動なので本当に尊敬できる先生ばかりです。

僕個人としては新しい治療を色々するにも関わらずほとんど学術活動をしない変わった獣医師ですが、今回かなり久しぶりに学術活動をすることになりました。

内容は「新しい治療法」の紹介です。

しかも症例の多い皮膚科ではなく、「消化器疾患」です。

内視鏡ももっていない皮膚科の動物病院が消化器疾患の新しい治療法?というのに驚きかと思いますが、皮膚科みていると色々な病気を診る機会がありますし、なにより消化器疾患はホルモン異常と並んでとても皮膚科に関連がありますので、とても重要視しています。




今回みつけた新しい治療ですが、この治療法に気づいたのはほんの一瞬の閃きで、かつての閃きと一緒のような感じでした。

  参考ブログ 2014年10月27日  5年ぶりの閃き?

        2014年11月13日  閃きの続き

        2014年11月27日  閃きは確信へ


あの閃きも当初想定していたことの発展ではなく瞬間的な発見で、今回も診察しながら突然頭に閃きました。


「あれ?〇〇〇、△△△に効くんやない?」

〇〇〇はあるお薬で、△△△は病気のことです。そして〇〇〇の本来の効能に△△△のことはまったく書かれていません。

そして△△△の治療法に、〇〇〇の記載があったことは一度もありません。

そして実際に予測通りの治療結果がでたとき、頭の中はお花畑だったのですが、この大発見のことをよくよく調べたら・・・・・・

人の医療では将来的にそうなる方向らしいので、5年後10年後には動物医療でも誰かが気づいて自然とそうなった可能性はあると思います。

ただ動物医療では当院の発表が最も早いと思いますし、おそらく5年後10年後にはスタンダードな治療の1つに組み込まれると思います。

きっと全国の先生のお役に立てる内容で、消化器疾患専門の先生が後に続いて確立されていくと思います。


この新しい治療法はインタズー出版のクリニックノート4月号で掲載される予定です。

きっと大半の先生が驚くことだと思いますし、ほとんどの先生が即使える治療法なのでご期待ください♪

ちなみに参考文献の記載は僕らしくゼロ、すべて妄想の世界から生まれたものです(笑)

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

アポキルが効かない精神的な痒み治療

2018.02.20

アトピー・アレルギーなど犬の痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

つい先日「アポキルが効かないとき」という内容でブログを書きましたが、結論としては

「心因性」 「食物有害反応」  「内分泌疾患」

の3つの診断精度をあげていくこと、としました。

もちろんその他にもたくさんあるのは事実ですが、今の動物皮膚科診療で圧倒的に不足しているのがこの3つです。

不足の根拠は当院への症例の分析で、この3点で無治療ないし治療のズレがある症例が圧倒的だからです。

ペット医療とはいえ、がん治療、透析、心臓外科・・・などこれほど医療が進んでいるにも関わらず、なぜこの3点に不足があるのでしょうか?

理由はとても簡単です。

①目に見えない

 皮膚にできる出来物などを異なり、大きさ・形の異常がないため、わかりづらいのは事実です。

 ※目でわかる毛並みの異常もあるため、全部が見えないわけではないです。

②数値化できない

 心因性は数値化できません。血液検査もできません。

 食物有害反応も数値ができませんし、検査もありません。

③モノで治せない

 医療機器では絶対に治りません。

④情報が足りない

 教科書に書いていない、誰も教えてくれない

おそらくですが、血液検査で数値化さえできれば、また超音波や内視鏡のようなもので見えれば、またレーザーなどの医療機器で治せるものであれば、瞬く間に周知されてどこでも的確な診断&治療にが可能になると思います。

では当院ではどうしているのか?

まずは心因性からお話してみたいと思います。

・・・・・・・・・・・長くなるのでまた時間あるときにまとめます(笑)

とりあえずですが、もしわんちゃんの痒みが精神的、心因性、ストレス?などの原因を疑う場合は当院のヒーリングケアLFプラスをお勧めします。

写真をクリックすると専用のオンラインショップに移動することができます。

当院ではこれなしでは診療が成り立ちません。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

犬の痒み治療にアポキルが効かない場合の考察

2018.02.17

犬のアトピー・アレルギーなどの痒い皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。


アポキルが発売されて1年半が立ちました。

アポキルによる痒みの緩和作用と長期服用に対する安全性を考慮すると、「アポキルが皮膚科診療を変えた」と言って過言ではないと思います。

ただ高い効果と安全性がゆえに「とりあえずアポキル」という状態がつくられ、「アポキルが効かなければしょうがない」となっているシーンが多いのも否めません。

実際に当院に転院してくるわんちゃんでもすでにアポキルを服用している割合が高く、大半の初診が「アポキルを服用しているのに痒い。アポキル以外ないといわれている。」という状態で診療をスタートています。

ではアポキルが効かないときにどう診察を進めていくのか?が皮膚科の仕事ですね。



少し厳しい表現にはなるかもしれませんが、皮膚科に限らずどんな病気治療であっても治療がうまくいかないときに考えるのは、

「診断が間違っている」

だと思います。

ただ皮膚病に関しては原因が複数あることが多いため、個人的には「診断のズレ、診断不足」と考えることが多いです。



例えば、アトピー&心因性&食物有害反応という3つの組み合わせをもっている皮膚病のわんちゃんがいるとします。

アポキルはアトピーの部分にはよく効きますが、心因性や食物有害反応にはあまり効果的とはいえません。

そのため、もしアトピーによる痒みが90%で心因性と食物有害反応による皮膚炎が10%であれば、アポキル単独で十分に改善が見込めると思います。

逆にアトピーが20%で、心因性70%、食物有害反応10%という症例に対してアポキル単独でアプローチすると、「たしかに少しよくなったけど・・・十分ではない」という結果になると思います。

この心因性の割合が高いわんちゃんに「アトピー性皮膚炎がありますので、アポキルを使いましょう」と診断することは間違いではありません。

この場合は診断&治療のピースが足りないだけで、的確な診断&治療を足すことで十分に改善します。

決して「アポキルが効かない」ではなく、効く部分(アトピー)には確実に効いていて、痒みの原因が異なる部分には別の診断&治療が必要ということです。

参考までに当院の診断で多いのは、

・犬アトピー性皮膚炎
・膿皮症
・食物有害反応
・心因性掻痒症
・脂漏性マラセチア性皮膚炎

この5つです。

他に、上記の5つほど多くないが、絶対に見落とせないのが、

・内分泌疾患
・寄生虫疾患

この2点です。

以外かもしれませんが、症例が稀のため初診でまず考えないのが

・食物アレルギー

です。

初診時にはこの8つの疾患であてはまるものをピックアップし、それぞれの影響の割合を評価しながら治療プランをたてるいい結果が得られます。

難しいのは明確な診断基準がなく、客観的評価ができない食物有害反応と心因性、意外と見落とされている内分泌疾患です。

食物アレルギーも診断が難しいのですが、食物アレルギーで皮膚病治療に困るわんちゃんがほとんどいないという理由もあり、個人的には「ない(はず)」として無視しています。


アトピーにはアポキルが非常に効果的ですし、膿皮症や脂漏&マラセチアの診断&治療が簡単とまではいきませんが、

治療成績を向上させるポイントは、

①心因性の診断&治療

②食物有害反応の診断&治療

③内分泌疾患の診断&治療

の精度だと考えています。

この3つのポイントを初診で的確に評価できれば、初診の判断通りの治療成績がだせるようになります。

ただ、これら3つの病気は一般的な検査で診断できないため、昔も今もきっとこれからも、フォーカスがあたることはなさそうです。



当院が開催している皮膚科セミナーでは、①の心因性、②の食物有害反応、③の内分泌疾患など今の皮膚科で触れられていないポイントにもフォーカスをあてています。

皮膚科セミナーと診療提携をご希望の方はHPからお問い合わせください。



投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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