2018.06.03
柴犬のアトピー・アレルギーや、アポキルが効かない痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
痒みを抑える画期的な新薬「アポキル」が発売されて2年が経ちます。
副作用が非常に少なく、さまざまなシーンで使いやすい非常にいいお薬で、特に従来の治療では改善しにくかった典型的なアトピーの柴犬ではかなり効果を発揮します。
ただ柴犬の痒い皮膚病は独特で、原因が違うのに見た目が一緒ということが多いため、柴犬のアトピーだからアポキルが効くだろうと処方したのにまったく改善しないこともあります。
アポキルを使って改善しない場合にどう考えるか、今の皮膚科の課題の一つだと思います。
今日紹介する症例は「アポキルを1日2回服用しているのに改善しない柴犬の痒い皮膚病」です。
【症例】
柴犬 1歳半 男の子
【経過】
〇2ヵ月前(春)から口周り、お尻周りが痒い
〇他院にてアポキル1日2回2週間、3週目から1日1回を2週間の合計1カ月服用したが改善なし
〇口唇もお尻周りも血が出るまで痒がる
〇傷防止のためにエリザベスカラーを装着している
それでは初診時の状態です。
まずは口唇です。
診断と治療方針はこの初診時の一瞬で決まります。
初診時からわずか12日後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
まだ毛は生えていませんが、皮膚炎はかなり改善しました。
飼主さまから「すごくいい!びっくりした!」と喜んでいただけました。
エリザベスカラーもはずして、まったく掻かないそうです。
たしかに柴犬の皮膚病はどの症例も似ているのですが、本当は少しづつ違います。
原因の違いがほんのわずかでも見た目に反映されていますので、よく見ればアポキルが効かない理由をみつけることができます。
なお当院でもアポキルは1日1回で継続投与としています。
治療の差はアポキル以外のところにあります。
大事なのはアポキルを出すことではなく、アポキルが効く痒みと効かない痒みを見分けられること、そしてアポキルが効かない痒みをどう評価してどうアプローチするかの方法を初診時に把握できることです。
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