2017.01.14
フレンチブルドッグに多いアレルギー・アトピー性皮膚炎、膿皮症、脂漏症などの皮膚病治療に力をいれている動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
名古屋も雪で真っ白!寒いですね♪
明日のスキー場は深いパウダースノーで楽しそうです(笑)
それでは、今日はフレンチブルドッグの典型的な皮膚病の1つ、アトピー性・脂漏性皮膚炎の治療症例です。
【症例】
フレンチブルドッグ 7歳 女の子(未避妊)
【症歴】
〇生後6ヶ月からの発症
〇季節性があり、夏に最も悪化する
それでは初診時の状態です。
まずは顔正面。
続いて、頚部。
続いて、右前腕です。
同じく右前肢端です。
同じく右前肢端の内側(親指周囲)です。
続いて、左前腕です。
続いて、胸部です。
続いて、仰向けの胸~腹部です。
続いて、左後肢の甲~足首あたりです。
フレンチブルドッグの皮膚病の中でもかなりの重度で、慢性化している状態です。
治療2~3ヶ月で劇的に改善し、今でも月1回継続治療をつづけられています。
もう2年以上経過しているのですが、2年継続して治療をつづけるとどこまでよくなるか?
初診時と継続治療した約2年後の状態と比較してみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗になっています。
治療のスタートラインが非常に重度かつ慢性だったため、部分的に被毛の再生が不十分ですが、かなりの改善といえるでしょう。
症状の改善に2年かかったわけではなく、痒みや赤み、べたつきなどの症状は2~3ヶ月で随分とよくなっていました。
大事なことは、主な症状が改善した後も欠かさすことなく治療し続けたことで、皮膚コンディション・毛並みがここまで改善したということです。
主な症状である痒み・べたつきなどの症状が改善した治療2~3ヶ月で治療をやめていたら、すぐに最初の状態まで再発していたでしょう。
こういった皮膚疾患には投薬治療も重要ですが、スキンケアやサプリメントも非常に重要になっています。
投稿者:
2016.12.16
獣医師が最も難治性とする犬種の1つである「フレンチブルドッグ」の皮膚病治療に力をいれている動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回は随分になるのですが、関西(兵庫)から受診されたフレンチブルドッグの皮膚病のわんちゃんです。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 8歳 女の子(避妊手術済み)
【症歴】
〇3年前から痒みを伴う皮膚病の発症
〇年々悪化、今年さらに悪化
初診時の状態です。
いつも意識するのは「最速の治療」です。
初診時にさまざまな検査を行いますが、治療方針は診た瞬間に決まります。
「検査結果が出るころには改善」は十分に可能です。
それでは約2週間後の状態と比較してみましょう。
※クリックすると画像を大きくすることができます。
飼主さまからは
「感動しました」
「すごくびっくりした!」
「すごく元気になりました」
と、とても喜んでいただけました。
肝心な、痒み・赤み・フケ・臭いというとこでは劇的な改善が認められ、短期間ではあるものの毛並みもある程度の改善が認められましたが、
もっと綺麗になる余地が残っています。
今回それでも2週間という短期間での紹介になったのは飼主さまが海外へ行かれるという事情があったため、「短期間で目処をつける」という目標もありました。
余裕をもってクリアできて本当によかったと思います。
投稿者:
2016.11.09
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
今日は風が強く、秋の深まりというより冬でしたね。
先日開催した東京の皮膚科診療でも色々と報告したことがあるのですが、まずはこの夏の症例をまとめていこうと思います。
【症例】
フレンチブルドッグ
長期にわかって湿疹と痒みで悩まされてきたわんちゃんです。
まずは初診の状態をみてみましょう。
頚部からです。
身体の側面です。
身体の右半身を斜め後ろからみることで、湿疹がわかりやすいです。
右腕の内側~脇のです。
右前肢の外側~右肩です。
治療後と比較してみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
側面です。
右腕~脇です。
左腕~脇です。
非常に綺麗に改善しました。
肝心な痒みも随分と抑えられています。
このタイプであれはサプリメントが非常に有効で、スキンケアと組み合わせることで随分と改善できるのではと考えています、
短期間で治療するには投薬治療を併用していいと思いますが、大事なことは治療だけではなく「なぜ皮膚病になったのか?治りにくいのか?なぜ再発するのか?」まで考えてアルプローチすることだと思います。
投稿者:
2016.09.26
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
当院では1年以上前から遠方にお住まいの方でも継続治療ができる遠隔診療に取り組んでいます。
この1年は治療成績も非常に高く、改善率は100%です。
※改善率・・・改善を実感できる割合(痒みがゼロになるという意味ではありません)。
今回紹介する症例は、今年の7月に埼玉で開催した遠隔診療で初診として診療したわんちゃんの治療成績です。
【症例】
フレンチブルドッグ
診断名:アトピー性皮膚炎
初診時の状態です。
初診時から、約2ヶ月の状態です。
皮膚の肥厚の改善だけでなく、被毛の改善も認められます。
肝心な「痒み」も十分に抑えられていますが、もっと大事なことは「皮膚コンディションが正常に近づいている(被毛再生)」ですね。
当院で行っているこの遠隔診療の流れですが、
①メールと写真添付である程度病状を把握
↓
②直接の診療を実施
↓
③2回目以降の診察はメールと写真添付で継続治療
となっているため、このわんちゃんも実際に目で診たのは1度のみです。
どの症例でもいえることですが、共通しているのは「検査結果が出揃わなくても治療内容はほぼ決定している」です。
メールと写真で頭の中にストーリーが出来上がり、最終確認と見落とし防止のために実際に診る&検査するが遠隔診療です。
あとは組み合わせ、個体差ともいえるわんちゃんとの相性で微調整をします。
もちろんそうでないわんちゃんもいるのですが、多くは「典型例」ですので犬種別、遺伝的素因を考慮した体質評価が十分にできていれば難しいことはありません。
投稿者:
2015.11.19
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
今年も学会&セミナーシーズンがやってきました。
今週末は大阪での大きな学会「動物臨床医学研究会 年次大会」に参加し、29日、12月6日、12月13日はすべて名古屋でのセミナー参加です。
2015年のアップデートもラストスパートです♪
では、今日は恒例の「診極め」の症例報告です。
ちょうど1ヶ月前の10月17日に来院されたわんちゃんをその日のうちに紹介しました。
診た当日のブログで「1~2ヵ月後には綺麗になる」とお伝えして、今日がちょうど1ヵ月後の再診でしたので比較を紹介したいと思います。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
毛並みは非常に綺麗になりました。
以前の記事を読んでいただきたいのですが、このわんちゃんは2年間ずっとステロイドを投薬していました。
診断名は細菌性膿皮症であり、一般的にはステロイドではなく抗生物質での治療が必要な病気です。
そのため初診時はそのステロイドを止めることができるのか?という検査を行いました。
シンプルに休薬せず、検査を行った理由は「長期間ステロイドを服用していると、急に休薬することで命に関わる体調不良に陥ることがあるから」です。
予測どおり検査結果から「急な休薬はできない」と判断されたため、、初診時から2~3週間かけて徐々に減量してステロイドをゼロにしました。
そして一般的に治療の最優先事項である「抗生物質」は・・・・・・・・・・処方していません。
では何をしたかというと・・・・もちろん当院のスキンケア&サプリメントです。
メディケア スキンクリーニングオイル
メディケア シャンプー
メディケア ローション
スキンケアECプラス(サプリメント)
初診時だけ院内薬浴をしたのですが、オイルクレンジング後の湿疹をみてみましょう。
診た目が痛々しいくらいですが、スキンケアではここまでする必要性があります。
またスキンケアも非常に重要ですが、この湿疹を根本的にコントロールするにはサプリメントが最も重要だと考えています。
初診時の時点で即ステロイドを休薬できればもう1~2週間早く改善したと思うのですが、ステロイドを服用していても1ヶ月でここまで綺麗にすることができます。
参考までに皮膚全体のトラブルが改善しているわけではありません。
ステロイドを休薬したことで数日前から顔・四肢端・耳の痒みが認められるようになりましたが、これも想定の範囲内で初診時に「おそらく顔・四肢端の痒みがでるでしょう」とお伝えしていました。
もちろん今日からこの顔・四肢端・耳の治療が始めています。
皮膚の診断名と治療が1つであることはあまりありません。
病変に応じて治療方針を変えることが重要です。
顔・耳・四肢端すべて、おそらく2~4週間後には綺麗になっているでしょう。
投稿者:
2015.10.30
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
最近は症例報告の形を「〇ヶ月でここまで改善しました」というスタイルから、初診時をすぐに紹介して「今から治療します。〇ヶ月後が改善でしょう。」というスタイルを増やしています。
それは多く診察している中で、紹介されている症例が偶然うまくいった治療症例ではなく、しかも初診時に治療方針を診極めることができるタイプであることをお伝えするためでもあります。
ですが、そんな僕も「いけるかな?」と少し躊躇することもあるため、事後報告のパターンも未だにあります(笑)
今回は「改善できるかわからない」と思ったわけではなく、薬との相性も考えて「この薬が飲むことができる子であればいける!」という条件付でしたので、事後報告バージョンとなりました。
ただ治療内容と投薬がOKであれば「いける!」と確信をもって臨んだ症例です。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 9歳 避妊メス
【病歴】
〇1歳前から皮膚病
〇食事療法、外用、内服などさまざまするも、効果的な治療法は今までなかった
初診時の状態です。
続いて、右前肢。
続いて、左前肢。
続いて、後肢。
最後は左後肢を裏側から。
初診時からちょうど2ヵ月後です。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
※下顎だけ微妙に見えますが、実際はかなり改善しますよ!
非常に綺麗に改善しています。
もちろん過去8年ほぼ皮膚病でしたので、ダメージの蓄積から被毛の再生がまだの部分もありますが、かなりの改善といえます。
治療内容は初診時の提案通りで軌道修正はありませんでした。
投稿者:
2015.03.21
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
今回はフレンチブルドッグの症例報告です。
【症例】
フレンチブルドッグ 9歳 男の子
【過去の病歴】
〇6年前から皮膚病
〇当院治療前に免疫抑制剤を約3ヶ月使用したが改善なし
それでは初診時の状態をみてみましょう。
※一部画像をクリックすることで大きくすることができます。
まずは全体です。
続いて、顔を正面から拡大します。
同じく顔のシワの拡大です。
同じく顔の左側、シワの拡大です。
続いて、右耳。
同じく右耳の拡大です。
続いて、下顎~頚部です。
同じく下顎の拡大です。
同じく頚部の拡大です。
続いて、右前肢です。
同じく右前肢のワキに近い部分の拡大。
同じく右前腕の拡大です。
続いて、腹部とその拡大です。
ここから治療2ヵ月後です。
画像をクリックすることで拡大することができます。
非常に綺麗になりました。
フレンチブルドッグの症例の中ではかなり重度のため集中的な院内薬浴を4回実施したことに加え、全身的な薬物療法(お薬を飲むこと)も併用しました。
このようなタイプでは皮膚のコンディションを改善することが何より重要になるため、スキンケアを集中的に行う必要があります。
当院では医学的な治療を含めたメディカルスキンケアを院内で行っておりましたが、かねてから要望があった「遠方のため当院を受診できない飼主さまが自宅でもできるスキンケア」にも対応することにしました。
すべての皮膚病がスキンケアで改善するわけではありませんが、適切な基礎疾患の診断と医療とともに併用することで治療成績の向上に役立つと考えています。
投稿者:
2013.12.19
こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。
随分と冷え込むようになり、コタツの中からでこれないわんこ、ヒーターの前から動かないわんこもいるのではないでしょうか?
久しぶりの症例報告ですが、今回は院内スキンケアを行わず治療したフレンチブルドッグの症例を紹介します。
【症例】
犬 フレンチ・ブルドッグ 12歳
【病歴】
〇6カ月前から痒みを伴う湿疹がでるようになり、広がっている
〇抗生物質とステロイドを毎日服用しているが、改善しない
では、初診時の状態をみてみましょう。
最も湿疹が多く認められたのが頚部です。
カットは飼主さまご自身が行ったようですが、治療のためには賢明な判断だと思います。
病変部を拡大してみましょう。
続いて、頚部の左側面です。
この湿疹が背側、大腿部などにも認められました。
この初診時から約10週間後、
続いて、頚部側面です。
湿疹は認められず、痒みも消失しました。
今回は「完治」のタイプとして治療終了としました。
フレンチ・ブルドッグに皮膚病が多く、その原因としてアレルギー体質があることはとても有名ですが、「フレンチ・ブルドッグの痒い湿疹=アレルギー」ではないため、病変部をよく診極めることが重要だと思います。
また、いい治療結果を得るためにはフレンチの体質をよく知ることも必要だと考えています。
今回はそのフレンチ・ブルドッグの皮膚を診極めることと、フレンチ・ブルドッグの体質を上手く把握できたこが迷走することなく綺麗な治療結果につながったと思います。
参考までにこのタイプの皮膚病にステロイドは禁忌です。
投稿者:
2013.09.01
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
前回、フレンチ・ブルドッグの皮膚病①として、典型的なフレンチ・ブルドッグの皮膚病の初診時の状態を掲載しました。
そして、初診時に何を伝えるのかが大事、ということも書きました。
主に以下の4点が重要と考えています。
①必要な検査
②過去の治療内容の評価
③必要となる治療
④目標
この中で①の必要な検査、これは初診時にこの病状をみて鑑別診断として何があげられるか?で変わってきます。
今回のフレンチ・ブルドッグの症例では、「内股は細菌性皮膚疾患」、「四肢&耳はアレルギー性皮膚疾患」、そして全身性疾患として「甲状腺機能低下症」を疑い、各種検査を行いました。
次に②の過去の治療内容についてですが、大きなポイントは2つあります。
「内服のステロイド」と「内股に外用のステロイド」が必要だったか?ですが、僕個人の意見としては「不適切」と判断しました。
次に③の必要な治療は、抗生物質の全身投与とスキンケアです。
次に④の目標は、「内股を綺麗に治す」、「四肢端と耳の痒みを改善する」としました。
それでは初診時から7週間後、治療開始後からは6週間後の状態と比較してみましょう。
まずは内股から。
続いて、左耳。
続いて、右前肢の指の間ですが、上段に初診時の状態、下段に治療後の状態を載せています。
続いて、左の前肢の指の間、同じく上段に初診時の状態、下段に治療後の状態を載せています。
続いて、右の後肢の指の間です。
続いて、左後肢の指の間です。
腹部は非常に綺麗になりました。
耳も多少の汚れはでますが、痒みはありません。
非常に強い痒みのあった四肢端ですが、ごく一部に炎症が残っているもののほとんど舐めないほどの改善を示しました。
治療後にかかった時間はたった6週間でしたが、四肢端は2~3週でほとんど改善することができました。
6週目までかかった理由は、過去のステロイドの影響から回復するのに若干の日数が必要だったことです。
治療のポイントは、
〇ステロイドが必要な皮膚病か?判断すること
〇フレンチの体質を知ること
〇すべての病変が同じ治療で治ると思わないこと、病変ごとへの治療が異なることが判断できること
です。
大事な「診極める」です。
投稿者:
2013.08.31
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
今回の症例報告は、フレンチ・ブルドッグです。
フレンチ・ブルドッグは遺伝的に皮膚疾患が非常に多いですね。
一言に皮膚疾患と言っても痒みや脱毛など色々な症状がありますが、フレンチ・ブルドッグを悩ませる症状は圧倒的に「痒み」です。
痒みを伴う皮膚疾患で悩んでいるフレンチ・ブルドッグの飼主さまは非常に多いと思われます。
なぜ悩むか?
それは治療が難しいからです。
半分は治療を行う僕ら獣医師の責任でもありますが、残り半分の理由はフレンチ・ブルドッグが他犬種とは異なる独特の体質をもっているからだと思います。
そんなフレンチブルドッグの典型的な皮膚疾患の1つを紹介します。
【症例】
犬 フレンチ・ブルドッグ 5歳 女の子(避妊手術済)
【過去の病歴】
〇以前から「アレルギー」と言われていた
〇1歳のころから内股の湿疹(現在と同じ病状)
〇かかりつけの動物病院で抗生物質とステロイドの内服治療
〇この4年間、2カ月に1回(2週間の処方)を継続しているが改善なし
〇内股に外用薬を処方されているが、「あまり塗布しないように」と指示されている
それでは初診時の状態を見てみましょう。
フレンチ・ブルドッグの皮膚病では顔周りの皮膚炎も多いのですが、今回は軽度でした。
まずは強い症状の1つ、耳の痒みです。
続いて、この4年間で1度もよくなったことがない内股の湿疹です。
同じく内股の拡大です。
これはステロイドの副作用(特に外用薬によるもの)が認められます。
続いて、右前肢。
一見綺麗な状態に見えますが、指の間を見てみると、
真っ赤です。
続いて、左前肢です。
同じく一見綺麗に見えますが、指の間を見てみると、
全ての指の間が真っ赤になっていますね。
続いて、右の後足の指の間(真ん中)です。
続いて、右後肢の指の間(真ん中)です。
四肢の全てに痒みと炎症が認められました。
ここでは掲載していませんが、足の裏も皮膚炎があります。
こういった診療では、初診時になにを伝えるかがとても重要になります。
今回の症例では、
①必要な検査
②過去の治療内容の評価
③必要となる治療
④目標
について、予測の範囲内ではありますがお伝えしました。
投稿者: