2017.02.13
フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れて取り組んでいる皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回は当院受診のきっかけがちょっとだけいつもと異なる症例報告です。
きっかけは、当院のオンラインショップの無料相談(スターターセット購入の特典)からでした。
飼主さまからいただいた写真の状態は重度の皮膚病であり、過去の治療歴の経過もかんばしくなかったこともあったので、当院の遠隔診療を提案させていただきました。
もちろん写真をみて「遠隔診療で十分に対応できる」と判断したのもあります。
では、治療症例です。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 3歳6ヵ月 男の子(去勢済み)
【症歴】
〇1年半前からの皮膚病
〇過去に2件の動物病院を受診
それでは初診時の状態から紹介します。
まずは正面から。
続いて、顔の皮膚炎。
続いて、頚部の湿疹。
続いて、胸部の湿疹。
続いて、わきの湿疹。
続いて、腹部・内股の湿疹。
続いて、側面です。
斜め後ろからみると湿疹の分布が非常にわかりやすいです。
実際に診たのはこの上記の初診1回のみで、この後はすべてメールと写真による遠隔診療としました。
治療後、飼主さまにご自宅で撮影していただいた写真を紹介します。
まずは、顔。
続いて、腹部。
続いて、背中全体。
続いて、左側面。
続いて、右側面。
続いて、右前肢。
もちろん湿疹は一つもなく、顔・身体・四肢端すべての痒みも改善されました。
よく「初診時の診極め」とお話しますが、現実はメールと写真でもほとんど診極めができるのが皮膚科です。
もちろん当院でも治療成績がかんばしくない場合もありますし、本当のマレな難治性もいるのですが、確率論で「一般的な体質」に入るのが現実です。
今回のフレンチブルドッグのわんちゃんも同様で、抑えるべきところを抑える治療を選択すれば治療は一瞬です。
もちろんこういった症例には当院のスキンケアとサプリメントは必要不可欠です。
メールと写真で行う遠隔診療の実例を紹介してみました。
同じようなわんちゃんであれば、遠隔診療でもかなりの高い精度で治療成績を劇的に向上することが可能と考えています。
もしお困りの飼主さまは、一度ご相談ください。
投稿者:
2017.02.10
フレンチブルドッグの皮膚病治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
ステロイド、この言葉にどう反応するのか・・・診察をしていると人それぞれですので、本当に奥の深い世界なのですが、みなさまはこのステロイドにどんなイメージをお持ちでしょうか?
世の中には「脱ステロイド」という魔法のような魅力的な言葉があり、限られた世界だけではありますが、まるで「正義の御旗」のような存在感すら感じさせます。
当院では「ステロイドは使いこなしてこそ」というスタンスで、ステロイドにしかない魅力を最大に生かす皮膚科診療を目指しているほど積極的に使用します。
しかし「脱ステロイド」という言葉が正義の御旗になってしまうには理由があります。
そう、ステロイドの副作用です。
当院でも数え切れないほどこのステロイドの副作用を見てきました。
今日はそんなステロイドの副作用で難治性皮膚病になったわんちゃんの治療症例です。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 3歳 男の子(未去勢)
【経過】
〇2年前からずっと皮膚トラブル
〇2年間ステロイド外用薬を処方され続け、年に4~5本使用してきた
〇28年2月に湿疹対策で背中の毛をカットしてから、ずっと生えてこない(半年以上)
〇過去に使った内服薬は抗生物質、ステロイド(2種類)、抗アレルギーの痒み止め(新薬)
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずはお顔の正面から。
続いて、身体の右側面。
同じく右側面からみたやや背中にできている病変部の拡大です。
続いて、背中です。
続いて、上の写真のやや左側にある病変部を横から撮影しました。
続いて、腰背部の拡大です。
続いて、背中のやや右にある病変部の拡大です。
この初診時から5ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
非常に綺麗に再生してきました。
この症例では考えるポイントはいくつかあります。
Q1.なぜ生えなかったのか?
Ans.ステロイドの内服、外用薬の影響で被毛再生がストップしてしまった
続いて考えることは?
Q2.なぜ被毛が再生したのか?
Ans.ステロイドの服用と外用を中止して一定の時間が経ったため
非常にシンプルですね。
では
Q3.使っていたものをやめただけの治療なのか?
と思いませんか?
それにお答えする前にこうも考えられないでしょうか?
Q4.以前は何を目的にこんなにステロイドを使っていたのか?
もっと詳しくいうと、「最初にどんな病変があって、何に対してステロイドを使ったのか?本当はどうするべきだったのか?」を予測しなければいけません。
飼主さまは「昔の皮膚病はこうではなかった」ということで、特徴をお話してくださるのですが、何せ言葉だけですから、頭の中で想像するしかできません。
ですが初診時に「最初がどんな皮膚病だったのか?」はすぐにわかりました。
わかるというより、確信です。
そのため、「今から治療の中でステロイドをやめると、時間はかかりますが被毛は再生してくるでしょう。・・・・ただ、おそらく元々の皮膚病が再発しますから、再発したら元々のあった皮膚病に必要な治療を開始しましょう」と伝えました。
では、
Q5,元々の皮膚病はどんな病変だったのか?
予測どおり途中で再発したのはこのタイプでした。
再発するのをわかってて、あえて何もせずこのタイミングまで待ちました。
Q6.なぜ再発するのをわかっていて、それをまったのか?
Ans.フレンチブルドッグの場合は皮膚トラブルとは長いお付き合いになるため、なぜでるのか、どうすべきなのか、実際の診療をとして実感していただくのが何より飼主さまのためになるからです。
Q7.では元々あった皮膚病に対して、どうアプローチすればよかたのか?
さらにもう一つ追加があります。
Q8.なぜこの湿疹が再発しやすく、今でもこうやって再発するのか?そしてどうしたら再発しないのか?
当院から提供したのは2点です。
1点目は、「2年前の湿疹のとき、こうやっていれば治ったのですよ」という本来あるべき理想的な治療アプローチ、「ほら、綺麗に治るでしょう?」です。
2点目は、「なぜこんなに再発するのか? 〇〇〇〇が原因で、〇〇〇したらで再発しないんですよ。」という根本的再発防止アプローチ、「ほら、治ったあとも再発しないでしょう?」
すべて、初診時に用意していた通りです。
とても気さくで明るい飼主さまのおかげで、途中から診察室は爆笑の連続で、非常に楽しい診察をさせていただきました(笑)
僕の診療のパフォーマンスをすべて正面から受け止めていただけたので、獣医師冥利に尽きるとはまさにこのことですね。
受け入れていただけたことに感謝です。
そして最後の追加ですが、このわんちゃんには耳介辺縁皮膚症も治療途中に明確になり、
随分前にコツを掴んだとおり、ここも綺麗に改善さえることができました。
※アフターの写真を撮影するのを忘れました・・・
最後に、このタイプの皮膚トラブルにはスキンケアとサプリメントが非常に有効です。
投稿者:
2017.02.08
トイプードルのアトピー・アレルギー膿皮症・脂漏症・マラセチア性皮膚炎・脱毛症などの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今日紹介するのは三重県の随分遠い南の方から受診されたトイプードルのわんちゃんです。
当院を受診するキッカケが印象的で・・・
来院された飼主さまは、この子が子犬のころからずっと同じ先生に診てもらっていたのですが、
その先生が動物病院を退職されるということで、最後に当院受診をお勧めされたそうです。
【症例】
トイ・プードル 5歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇3年前から1度も改善するのことのない皮膚病
〇アミノ酸系療法食による食事療法を継続中
〇かかりつけ動物病院の先生からの紹介で当院受診
〇過去に抗生物質を3種類変更しながら服用するも改善しない
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは全体から。
続いて、左目。
続いて、口唇(左)。
続いて、右前腕(肘の屈曲部)。
続いて、腹部。
続いて、前肢の指の間。
続いて、左後肢先端。
わかりやすい写真ではなかたので掲載しませんでしたが、背中全体にも湿疹が認められました。
この初診時から3ヶ月少し、治療後の状態との比較をみてみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
痒み、湿疹ともにほぼ消失しています。
もちろんこの3年間でベスト!と喜んでいただき、「もっと早くここに来ればよかった」とおっしゃっていただけました。
今回の皮膚病治療のポイントですが、全体を1つの皮膚病として捉えないことです。
「皮膚が弱い」という意味では一つですが、治療の上では大きくわけて2つあります。
そのため何か1つの特効薬、魔法のようなお薬で全身改善させることができるわけではありません。
パーツの組み合わせのように、同時に複数のパーツをピタッと合わせることでここまで改善することができます。
そして大事なことを追加しておきます。
当院が非常に重要視している食事療法ですが、このわんちゃんが継続していたアミノ酸系療法食は・・・・・
理由を丁寧に説明した上で変更していただくことにしました。
もちろん今食べているドッグフードは、普通にペットショップで販売されている一般食です。
そしておやつなどの食事制限はなく、何を食べてもかまいません(笑)
大事な大事な食事療法、本当の食事療法が飼主さまには伝わっていると思います。
投薬治療も重要ですが、治療と再発予防に必要なのがスキンケアとサプリメントです。
今回のわんちゃんにも処方して継続してもらっています。
また当院ではこのようなタイプのわんちゃんに遠隔診療に対応しています。
他の症例に比べてコントロールは非常に難しいタイプですが、遠方にお住まいの方でお困りの方はご相談ください。
今回は獣医師の先生から紹介されたということで、とてもプレッシャーのかかる診察でした。
もう退職されたということでご連絡はとれないのですが、ご期待に応えることができてよかったです。
ご紹介ありがとうございました。
投稿者:
2017.02.06
フレンチブルドッグの湿疹・膿皮症・アトピーなどの皮膚病治療に力をいれている動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
診療でよく実感することですが、「医療に魔法はない」です。
もちろん劇的な改善で、「うちの子に何をやったんですか!?」と喜んでいただくことは少なくないのですが、それでも医療に魔法はないのです。
大事なことの一つはピンポイントの診断・治療、そしてそれらを適切に生み合わせることです。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 11歳3ヶ月 女の子(避妊済み)
【症歴】
〇3ヶ月前から皮膚病
〇かかりつけ動物病院で治療するも改善なし
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは顔から。
続いて、頚部。
つづいて、前胸部。
続いて、左前肢(肩付近~前腕にかけて正面から撮影)。
続いて、右前肢の外側面。
続いて、左前肢先端です。
続いて、右側面の胸部付近。
続いて、右側面腹部~大腿部。
それでは初診時から9週間後の状態と比較してみてみましょう。
※写真をクリックすると大きくみることができます。
まだ治療途中ですが、出血・傷はもちろん、湿疹もほとんど消失しました。
ここまで到達すればもう安心です。
あとは「もっとよくなる」、そして「再発させない」が重要です。
もう一度フワフワ&サラサラの被毛に回復させ、お薬がなくても再発もない状態へ導きます。
今回の症例をスキンケアとサプリメントのみで改善させるのはさすがに無理なのですが、治療と「再発防止」として重要なのがスキンケアとサプリメントです。
投稿者:
2017.02.05
ダックスフンドのアトピー・アレルギー性皮膚炎、湿疹や脱毛疾患の治療に力を入れている動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今日は、以前紹介したことのあるミニチュア・ダックスフンドの慢性皮膚疾患のその後の経過を紹介します。
以前の記事 ⇒ 【ダックスの皮膚病治療】治療の差は?隠された問題は?
上記の記事では、初診時からわずか2週間で皮膚炎・痒みといった問題点が改善されたところまで紹介しました。
ただ同時に「隠された問題点」があり、別次元でもっとよくなることをお伝えしました。
初診時から2週間で実施しなかったアプローチを3週目から行い、予測どおりの改善を導き出すことができましたので、改めて紹介します。
新しいアプローチから約2ヵ月半後、初診時から3ヵ月後の状態をみてみましょう。
左側にある比較写真は初診時ではなく、初診時からよくなった2週間後の状態との比較です。
※1枚だけ初診時との比較になっています。
※画像をクリックすると大きくみることができます。
まずは頚部から。
つづいて、胸部です。
続いて、腹部。
続いて、右前腕、そして左前腕です。
続いて、後肢です。
※この後肢のみ、初診時との比較です。
続いて、左耳、そして右耳です。
非常に毛並みが綺麗になりましたね!
それでは振り返って、「初診時に何を診極める必要があったのか?」・・・
1つ目は、何より重症なのは主症状でもある「痒み」の改善、すなわち表面上の皮膚炎のコントロールです。
フケ・皮脂、湿疹、炎症、皮膚の肥厚などの改善が急務です。
これらの症状を最短で改善するには何を行えばいいのか?、検査結果のいかんにかかわらず初診時に把握しておかなければいけません。
2つ目は「皮膚炎以外に何が隠れているのか?」です。
ただ、この「皮膚炎以外の隠された疾患」ですが、この疾患への治療なく2週間の治療結果はでたのですから、結果としても「基礎疾患へのアプローチはなくとも改善は可能」ということになります。
それでもこの基礎疾患があったがためにここまで重症化したのも事実のため、初期の治療で症状が緩和でき次第、次の治療にシフトしていくのがベストでしょう。
初診時にこの隠された疾患を診極めつつ、あとから追加しても十分に改善するという診通しをたてておくのも重要なポイントだったと思います。
今回の症例でも初診時、再診時に院内で薬浴を行いました。
スキンケア、体質管理のサプリメントも重要なケアと考えています。
投稿者:
2017.01.28
フレンチブルドッグの皮膚病の中でも特に多い膿皮症の治療に力をいれている皮膚科専門動物病院の四季の森どうぶつクリニックです。
難治性皮膚病になりやすい犬種の代表でもあるフレンチブルドッグ、その中でも圧倒的に多い膿皮症、治らないことで困っている人もいれば、再発で困っている人もいるかと思います。
当院ではフレンチブルドッグの膿皮症に対して、まさに当院だけといえるオンリーワンのアプローチをして高い治療成績をだしています。
今回はそれを証明する治療症例報告でもあります。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 3歳9ヵ月 女の子(避妊済み)
【症歴】
〇1年半前に保護したが、そのときにはすでに皮膚病を患っていた
〇食事療法のために完全手作り食
〇過去の投薬治療はアポキル、抗生物質2種類、ビタミン剤、ステロイド、減感作療法(6回)など
〇皮膚組織検査では「アレルギー性皮膚炎」
〇過去に2件の動物病院(うち1件は兵庫県まで通院)
〇過去の1年半の治療のなかで、湿疹が消えたことは1度もない
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは全体から。
続いて、顔の正面。
続いて、下顎~頚部。
続いて、頚部の拡大。
続いて、腹部とその拡大。
続いて前肢端。
続いて、右側面全体。
同じく左側面の頚部~肩の拡大。
続いて、背中全体。
続いて、左耳。
初診時から4週間後の状態を比較して見ましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
過去1年半消えなかった湿疹ですが、95%以上綺麗に消失しています。
※見た目でもパッと見はわからず、探してかぞえられるレベルです。
では肝心の診断名と治療法を紹介します。
診断名は見た目の通り、「膿皮症」で、細菌感染が原因です。
膿皮症の一般的な治療法は抗生物質で、ここは僕個人としてもまったく異論はないのですが、今回はさまざまな事情を考慮して・・・
「抗生物質を使わずに治療する」としました。
膿皮症とは関係ない疾患に抗生物質ではない内服を処方していますが、それは膿皮症のためではありません。
では膿皮症がなぜこれほどきれいに改善したのか?
それは、当院オリジナルで開発したスキンケアとサプリメントです。
まずは初診時に薬浴を行いましたが、なにせ湿疹が驚くほど多かったので・・・
2人スタートからはじまり、途中から3人、さらに追加して合計4人がかりで行いました。
オイルクレンジングが非常に重要なのですが、オイルクレンジングに1時間かかりました・・・
薬浴はこの初診時と2週間後の2回行いました。
もちろんスキンケアも重要なのですが、もっと重要なのはサプリメントです。
フレンチブルドッグの膿皮症のために開発したといっても過言ではない当院のサプリメントです。
抗生物質を使いたいところでもありましたが、使いづらい状況を加味しつつ、「スキンケアとサプリメントでもいけるはず」とも思ったのであえて攻めてみましたが、非常にいい結果がでて本当によかったです。
改めて当院オリジナルのスキンケアとサプリメントを紹介させていただきます。
すべての皮膚疾患がスキンケアとサプリメントで改善するほど甘くありませんが、当院の高い治療成績にはなくてはならないものです。
これをなくして皮膚科診療は成り立たない、そんなクオリティにしあげています。
投稿者:
2017.01.15
シーズーの脂漏性マラセチア性皮膚炎の治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
過去数年にわたってシーズーの治療症例を報告していますが、必ず重要といっているのがスキンケアですよね。
だた・・・皮膚病の治療にスキンケアと書くと響きはいいのですが、皮膚病の基本がスキンケアにあるとは思っていません。
大事なんですが、「大事なものは一つではない。」ですのでスキンケアという言葉にあまりこだわっていては本当の意味のいい治療はできないとすら思っています。
ただ、それでもスキンケアがかなり重要になっている皮膚病があります。
それがシーズーに非常に多く認められ、典型的な難治性皮膚炎になるこの脂漏性マラセチア性皮膚炎です。
【症例】
シーズー 3歳1ヵ月 男の子(未去勢)
【症歴】
〇2才のころから発症して、1年間改善なし
〇かかりつけ動物病院で改善なく、当院を受診
それでは初診時の状態です。
まずは顔正面から。
続いて、下顎~頚部。
続いて、わき~肘の内側です。
続いて、腹部全体。
続いて、右後ろ足のスネ~カカト~甲の部分です。
続いて、左後肢の膝の内側です。
初診時から約半年後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
※脱毛疾患ではないので極端な変化ではにようにみえるかもしれませんが、脂漏がなくなっているため、被毛がサラサラになっているところをみてください。
痒み、臭い、フケ、べたつき、すべてでほぼ綺麗に改善しました。
今回のような脂漏性のわんちゃんでは被毛が長くなると悪化しやすいのですが、治療後ではこれだけ長い被毛の状態でも皮膚コンディションがいい状態でキープできていることがポイントです。
また、シャンプーして数日後にはフケと臭いが・・・というのがよくある状況ですが、シャンプーして1~2週間経過してもフケ・臭いなどもほぼありません。
ここで最初にお話したスキンケアについて再度お話しようと思います。
これだけの皮膚病をスキンケアだけで臨むのはかなり無理があります。
個人的には「スキンケアだけでやってみましょう」なんて言った事もありませんし、思ったことすらありません。
適切な医療を併用してこそのスキンケアであり、スキンケアがあってこその投薬治療の効果がでてきます。
要するに「相乗効果があってこその治療成績」です。
今回の症例では「あまりお薬に頼らないようにしましょう」とかではなく、そこそこの投薬治療をしていますが、「お薬は使いこなしてこそ」と考えています。
もちろんスキンケアとサプリメントは基本中の基本です。
投稿者:
2016.12.16
獣医師が最も難治性とする犬種の1つである「フレンチブルドッグ」の皮膚病治療に力をいれている動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回は随分になるのですが、関西(兵庫)から受診されたフレンチブルドッグの皮膚病のわんちゃんです。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 8歳 女の子(避妊手術済み)
【症歴】
〇3年前から痒みを伴う皮膚病の発症
〇年々悪化、今年さらに悪化
初診時の状態です。
いつも意識するのは「最速の治療」です。
初診時にさまざまな検査を行いますが、治療方針は診た瞬間に決まります。
「検査結果が出るころには改善」は十分に可能です。
それでは約2週間後の状態と比較してみましょう。
※クリックすると画像を大きくすることができます。
飼主さまからは
「感動しました」
「すごくびっくりした!」
「すごく元気になりました」
と、とても喜んでいただけました。
肝心な、痒み・赤み・フケ・臭いというとこでは劇的な改善が認められ、短期間ではあるものの毛並みもある程度の改善が認められましたが、
もっと綺麗になる余地が残っています。
今回それでも2週間という短期間での紹介になったのは飼主さまが海外へ行かれるという事情があったため、「短期間で目処をつける」という目標もありました。
余裕をもってクリアできて本当によかったと思います。
投稿者:
2016.12.02
名古屋・愛知で皮膚病治療を専門に行っている動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
シーズーといえば難治性皮膚病が多くで、原因にはマラセチアと脂漏症・・・・・・・教科書的に書くとこうなります。
間違いではなく、マラセチアが関連した皮膚病ですし、脂漏症が起きやすいことで悪化しやすく、治りにくくなっています。
しかしマラセチアをなんとかすることが治療ではありません。
脂漏性マラセチア性皮膚炎という理由で治療が「抗脂漏シャンプー」と「抗真菌剤シャンプー」と「抗真菌剤」に・・・一見理にかなっているようですが、こう考えるからまったく改善しない症例がいます。
そのため難治性といわれていますが、実は治療はいたってシンプルです。
今日はそんな典型的な症例報告です。
【症例】
シーズー 7歳3ヶ月 男の子(去勢手術済み)
【症歴】
〇5年前(2歳)に痒み、赤みが発症
〇他院で抗生物質、ステロイド、ステロイドスプレーをもらったが治らない
それでは初診時の状態そのままの姿です。
まずは正面から。
続いて頚部。
同じく頚部の拡大。
続いて胸部です。
続いて、右前肢です。
続いて、右前肢(手首あたり)の拡大です。
続いて、膝~足先です。
続いて後肢の甲の部分拡大です。
続いて右後肢の甲の拡大です。
この初診時からわずか5週間後、比較してみましょう。
※画像をクリックすると大きくみることができます。
飼主さまからは「赤みも痒みも極端に減った」と喜んでいただけました。
スキンケアも重要で、当院から免疫のためのサプリメントも併用しています。
もちろん投薬治療、当院での薬浴もとても改善に役に立ったと思います。
1つも欠けてはいけない治療の組み合わせです
投稿者:
2016.11.29
皮膚病治療を専門に行う動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
11月は残り2日ありますが、当院の診療日はもう終わりましたので気持ちでは今年もいよいよあと1ヶ月、そろそろ1年を振り返るような時期になりました。
社会人になると1年はあっという間ですね!
今日の治療症例ですが、めずらしく「診断名」も紹介しようと思います。
【症例】
マルチーズ 7歳 男の子(去勢手術済み)
【症歴】
〇最初の発症は1年前、背中に湿疹
〇過去に6件の動物病院を受診するも改善なし
〇シャンプーして数日で油っぽくなる
それでは初診時の状態です。
まずは正面から。
続いて頚部の背側やや左から。
続いて、背中の拡大。
それでは、治療後との比較です。
湿疹が治っただけでなく、毛並みもよくなり、油っぽさもなくなりました。
以前はシャンプーして数日でべったりとしていたのですが、以前のようにサラサラをキープできるようになったということです。
肝心の診断名は、「甲状腺機能低下症による膿皮症」です。
教科書で甲状腺機能低下症について調べると
「膿皮症になりやすい」
と書かれています。
また、膿皮症について調べると
「甲状腺機能低下症が原因になっていることも」
と書かれています。
油っぽいため脂漏について調べると、
「甲状腺機能低下症が原因になっていることも」
と書かれています。
膿皮症の診断は間違いではありません。
抗生物質を使うことも正しいです。
耐性菌を疑って培養検査を行うことも正しいです。
スキンケアも重要ですので、シャンプー療法も適切な判断です。
・・・しかしこれだけでは治らないのも事実です。
1つ1つが正しいことと実際に治ることは別ですので、すべてにアプローチしなければいい結果は得られません。
足りないアプローチはひとつ、「なぜ膿皮症になったのか?」を考えることです。
「木をみて森をみず」という言葉があるように、目の前にみつけたわかりやすい診断名でとどまらず、全体を見渡すことが重要です。
うまく行かなければ1歩、2歩ひいて・・・ときにはスタートラインまで戻って全体を見渡し、仕切りなおすことも重要です。
と、書いてみると簡単なようにみえるかもしれませんが、1件1件診療の背景は異なりますので正直難しいこともあります!
それは膿皮症が100件来院しても、甲状腺機能低下症を併発しているわんちゃんはおそらく1件いるかどうか・・・ですので、全頭に疑いをかけるわけにはいかないのが現状です。
治りにくい場合や、脂漏、毛並み・・・などさまざまなことを考慮して疑っていく病気です。
ただ、問診と視診で10分あれば第一候補に入る疾患でもあるので、特徴を掴めば診断は限りなく早くなります。
ということで次回の症例報告も同じ甲状腺機能低下症の予定です。
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