2015.09.01
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
今日は晴れたり大雨だったり・・・天候の急変が多い1日でしたね。
最近はかなりこまめにブログを書いていますので、ぜひ以前の記事もみてください。
さて、今日は「名前は知っているけど診断し難い&治し難い」という皮膚病です。
症例はトイ・プードルです。
痒みとして目立つ部位の一つは背中です。
少しわかり難いので、赤い枠で記します。
拡大してみましょう。
この部位だけ被毛が短くなっているのがわかると思います。
何度もかじることでその部位だけ毛が短くなっています(毛が抜けているわけではない)。
続いて、右側です。
同じように赤い枠で記します。
2箇所をそれぞれ拡大しましょう。
続いて、左側です。
少し拡大してみます。
痒い部位を記してみます。
それでは初診時から1ヵ月後です。
それぞれ画像をクリックすると拡大することができます。
痒みもほとんどなくなり、均一な毛並みにもどっています。
さて、初診時に僕が下した答えは・・・・・・・・・・・「心因性皮膚病」です。
心因性皮膚病、これは精神的な問題で痒み行動を引き起こすという皮膚病です。
アレルギーでもなく、菌でもなく、寄生虫でもなく、ホルモン疾患でもありません。
客観的な検査方法もなく、明確な診断基準もありません。
また、心因性にはホルモン疾患、寄生虫疾患、細菌性皮膚炎などのように、皮膚そのもに特徴的な診た目があるわけでもありません。
典型的な場所であればまだわかりやすいこともなるのですが、今回の症例は典型的な場所ではありませんでした。
ではどのように診断するのか?
基本的なことですが、話を聞く、わんちゃんの行動をよくみる、皮膚をよくみる・・・・・たったこれだけです。
診察室に入り話をききながら、わんちゃんの動作を見る、皮膚をみる・・・15分くらいあれば頭の中には「心因性」という言葉が最上位にきます。
あとはその他の疾患を除外しながらアプローチします。
実は心因性皮膚病を診断するために、あと一つ大事なポイントがあります。
それは検査でも、診た目でもなく・・・・・・積極的な診療をしていくとだんだんとつかめてくることです。
逆に消極的な診療ばかりしていると、なんとなく診落とされがちで「癖?」とされていたりします。
「アグレッシブに美しく」
皮膚病は初診時の診極めが最も重要で、今回も確信をもってアプローチできました。
投稿者:
2015.08.31
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
本日は前回の記事に引き続き、2回目のブログ更新です。
今日は皮膚科の初診が4件あり、1件を先ほどの記事で紹介しました。
今回は2件目の紹介です。
先ほどの中高齢のわんちゃんと異なり、まだ1歳半の若いポメラニアンです。
2ヶ月間抗生物質とステロイドを服用してきましたが、痒みが改善しないということで受診されました。
被毛を書き分け撮影してみましたが、若干わかりにくいところですね。
病変を正確に把握するためには思い切ってカットすることも重要です。
まずは頚部を中心に。
頚部中心の拡大です。
続いて、右前肢のワキ~肩のあたりの拡大です。
続いて、頚部の右側面から。
右側面の拡大部分です。
ラストは左後肢の膝から下の部位(内側)、とその拡大写真です。
2ヶ月のうち半分以上の日数で0.5mg/kgのステロイドを服用しても痒みが止まりませんでした。
今日最優先で行うべき治療法は?
そして今後予測される治療方針は?
すべて初診時に判定可能です。
投稿者:
2015.08.31
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
恒例の31日耐久マリオカート・・・・・いやいや、8月の最終日が終わりましたね♪
通常であればレース終了翌日にはスタートラインで「よーいドン!」という過酷なスケジュールなのですが、今月は最終日が月曜ということもあり、明日・明後日と心の休息時間が確保できました。
普段できない仕事もするのですが、何にも追われることのない時間を過ごそうと思います。
今日は皮膚科の初診が4件ありましたので、そのうちの1件を紹介します。
もちろん今日が初診です。
約11歳のシーズー、6年前からの痒みを伴う皮膚病で当院を受診されました。
こういった皮膚疾患も初診時にほぼ診極めが可能です。
考えるべきことは2つ、「どのように痒みをとめるのか?」、「皮膚病の原因は?」です。
治し方と原因が常に完全一致するとは限りませんので、改善方法と原因追求は別次元で考えます。
この皮膚病の原因としては大きく2つ、どちらかでしかありません。
検査はそれを区別するために行いますが、必ずしも初診時に検査することが最優先だったり、効果的であるとは限りませんので、何回かに分けて行います。
その方が検査エラーに出会わなくてすむこともあるためです。
確定診断は1~2ヵ月後ですが、それまで治療法が未確定になるわけではないため、診断保留のまま改善していきます。
診断名がつくころにはある程度症状(痒み)の改善があると思います。
投稿者:
2015.08.26
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
今日はいつもと違った症例報告を行います。
どう違うのか?
それは「まだ治療が終わっていない症例」です。
来院したばかりで、2~3ヵ月後を目標に改善を目指していきます。
症例はパグ、初診時の状態をみてみましょう。
顔を左側から。
「
下顎~頚部です。
胸部です。
右前肢とその拡大です。
両後肢です。
甲の部分の拡大です。
左の後肢を外側から。
獣医師としては初診時に何を考えるか?
大きく2つ、診極めることが重要です。
1つは、初診時に鑑別診断としてどのような病名・病態を候補にし、優先すべき検査が何かを判断することです。
2つ目は同時に治療方針が何か、検査結果の如何にかかわらず初診時に想定できていることです。
検査結果が予測不可能な結果であることはほぼないため、検査結果で初診時の想定した治療内容が考え直されるようなことはほぼほぼありません。
1ヶ月後には臨床症状(痒み・フケ)の改善と皮膚機能の正常化が認められ、3ヵ月後にはパグらしい雰囲気になっていると思います。
四季の森どうぶつクリニック
平川将人
投稿者:
2015.08.25
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
休診日にあわせて胃腸風邪でダウン・・・・・まさに休息日となりました。
「めずらしく・・・」とでもいえれば仕事の疲れ?などいえるのですが、年に何度も熱を出すので基本的にちょっと病弱?
しかし食欲もしっかりあるせいか麻衣子先生もそんなに心配してくれません(涙)
休診日明けには元気になっているでしょう!
さて、最近ちょっと怠っていた症例報告です。
最近のマイブームは「いかに薬をつかわずに治すか?」です。
もちろん使用するのは当院にしかないスキンケア&サプリメントです。
何度もいうように医療を超えるわけではありませんし、万能ではないため、「優先順位は何か?」を診極める必要性がありますが・・・・・10中8,9はずしません。
先日来院されたわんちゃんでも診た瞬間「いける」と判断できたので、あえて初回に投薬治療を選択せずに治療スタートしました。
症例はフレンチブルドッグです。
初診時の状態をみてみましょう。
右のワキです。
大腿部の尾側からの写真です。
その拡大、左大腿部です。
同じく右大腿部です。
ここの状態から12日後の状態をみてみましょう。
写真をクリックすると拡大してみることができます。
右のワキ。
次は大腿部を尾側からみた写真です。
たった12日でここまで綺麗になりました。
診断名は細菌性皮膚炎、「膿皮症」です。
一般的な治療法としては「抗生物質の服用」ですが、今回の症例ではあえて処方しませんでした。
それは「スキンケアとサプリメントでいける!」と確信があったからです。
フレンチブルドッグの皮膚病には非常に特徴があります。
その一つがこの湿疹、細菌性皮膚炎「膿皮症」です。
皮膚で細菌が増えることで湿疹ができます。
治療で抗生物質を選択する理由は「抗生物質が皮膚に到達して、皮膚で増えている細菌を抑えることができるから」です。
しかし多くの症例で「再発」が認められます。
抗生物質は治療法として最適か?????
毎回お話していますが、もうみなさんおわかりですよね?
抗生物質では何か足りません。
そう、「なぜ皮膚で細菌が増えたのか?」をまったく無視したのが抗生物質での治療です。
抗生物質は増えた菌を抑えます。
確かにこの症例に抗生物質を処方すれば、同じような改善があったと思われます。
でも細菌が増える原因はまったく考慮されていません。
それに比べて当院のスキンケア&サプリメントは皮膚を正常化するために必要なケアができるように設計されています。
重症化している症例ではどうしても投薬治療を最優先性にするため、スキンケアとサプリメントは「補助と再発予防に」という目的で後から使いますが、本当はこの程度の皮膚病なら治してしまうほどの力があると実感しています。
基本はフレンチブルドッグ、イングリッシュブルドッグ、シーズーをメインにしていますが、当院ではトイプードル、チワワ、ヨーキーなどさまざまな犬種でも使用しています。
皮膚トラブルでお困りの方はぜひご利用ください。
すでに当院で通院されている倍以上の方が、オンラインショップで継続使用されています。
また、当院では遠方の方のために「遠隔診療」にも取り組んでいます。
遠隔診療とは、1回目の初回に実際の診察を行い、2回目以降を写真とメールで継続治療する診療です。
スキンケアとサプリメントが万能ではないため、医療とセットにすることが最も重要と考えています。
すでに石川県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県と遠方からの遠隔診療を行っています。
すべての皮膚疾患が遠隔診療の対象になるわけではありませんが、シーズ、ブルドッグ犬種(フレンチブルドッグ、イングリッシュブルドッグ)を中心に、HPに掲載されているような典型的な症例では十分にコントロールすることが可能ではないかと考えています。
その他犬種としては、トイプードルの脂漏性疾患も遠隔診療でいい結果がでています。
ご希望の方はお問い合わせフォームからご連絡ください。
四季の森どうぶつクリニック
平川将人
投稿者:
2015.05.22
フレンチブルドッグの繰り返す膿皮症の根本的な治療に力をいれている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
なぜフレンチブルドッグは皮膚病になるのか?
なぜフレンチブルドッグの皮膚病は再発しやすいのか?
なぜフレンチブルドッグの皮膚病は難治性なのか?
今回紹介するのは「治療」という側面よりもさらに「根本的に皮膚病にさせない」という新しい取り組みです。
【症例】
フレンチブルドッグ 3歳 去勢雄
【病歴】
〇3年前から全身に湿疹ができる。
〇診断名は「膿皮症」
〇やや少ない季節もあるが、1年中湿疹がある
〇3年間湿疹に対してさまざまな治療をしてきた
【過去の検査&治療歴】
当院受診までに行った治療や検査などです。
〇抗生物質・・・過去に持続型注射薬を含め5種類服用(同時ではなく、変更しながら)
〇シャンプー・・・セラミドシャンプー、角質溶解系シャンプー
〇抗ヒスタミン剤
〇サプリメント・・・セラミド系、脂肪酸系などさまざま
〇食事療法・・・複数の食事療法にチャレンジ
〇免疫抑制剤
〇減感作療法(注射薬)
〇外用薬・・・ステロイド系、セラミド系など
〇アレルギー皮内反応検査、食物アレルギー検査(2回)
犬の皮膚病治療の選択肢でほぼすべてが含まれるような過去3年間といえます。
それでは初診時の状態をみてみましょう。
※写真をクリックすると拡大できる写真もあります。
診た目も、検査結果も診断は「細菌性皮膚炎、膿皮症」と呼ばれるものです。
フレンチブルドッグで最も多く、診断は難しくないのですが再発が多くコントロールしにくい傾向にある皮膚病です。
それでは初診時から4週間後の状態と比較してみてみましょう。
処方は当院が開発したオリジナルのサプリメントと、同じく当院が開発したクレンジングオイル、シャンプー、ローションのスキンケアのみとしました。
内服薬は一切使わず、食事療法などの指示もせず「今まで通り」としました。
写真をクリックすると拡大してみることができます。
※赤い三角は主な湿疹がある部位を示しています。
湿疹がゼロではありませんが、劇的に改善しています。
皮膚に残っているくすんでいる部分は、湿疹が改善したあとにのこる色素沈着で時間とともに薄くなっていきます。
今回の症例のポイントは「診極め」です。
何を診極めるのか?
それはフレンチブルドッグがなぜ皮膚病になりやすく、再発しやすいのか?・・・・・と、この重症かつ難治性の皮膚病に必要なものが何かの優先順位をつけることです。
この優先順位ですが、過去・現在の動物医療では抗生物質を服用することがファーストチョイス(第一選択)です。
これは個人的も同様で、今でも変わることはありません。
ですがそれは「治療」としてで、「なぜこの皮膚病になっているのか?」に対する治療ではありません。
予測ではありますが、今回の症例に適切な抗生物質を処方すれば同じような改善があったのではないかと思いますが、高い確率で服用をやめれば再発したと思います。
だとすればそれは湿疹を診ているのであって、動物の身体を診ているとはいえない・・・と考えています。
「診極め」とは、改善方法を知っていることではなく、「なぜこうなったのか?次こうさせないためには?」を含めた部分を初診時に判定することです。
今回は初診時にいくつか検査も行いましたが、検査結果を見ることなく「まずはこのスキンケアとサプリメントのみ」とし、個人的には「まずこれでいけるだろう」という確信をもってチャレンジしました。
再発防止のメインはサプリメントで、スキンケアは症状にあわせて行うように指導しています。
再発がなければこまめなシャンプーもなくなり、飼主さまにとっても随分とケアの負担が少なくなると思います。
投稿者:
2015.03.21
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
今回はフレンチブルドッグの症例報告です。
【症例】
フレンチブルドッグ 9歳 男の子
【過去の病歴】
〇6年前から皮膚病
〇当院治療前に免疫抑制剤を約3ヶ月使用したが改善なし
それでは初診時の状態をみてみましょう。
※一部画像をクリックすることで大きくすることができます。
まずは全体です。
続いて、顔を正面から拡大します。
同じく顔のシワの拡大です。
同じく顔の左側、シワの拡大です。
続いて、右耳。
同じく右耳の拡大です。
続いて、下顎~頚部です。
同じく下顎の拡大です。
同じく頚部の拡大です。
続いて、右前肢です。
同じく右前肢のワキに近い部分の拡大。
同じく右前腕の拡大です。
続いて、腹部とその拡大です。
ここから治療2ヵ月後です。
画像をクリックすることで拡大することができます。
非常に綺麗になりました。
フレンチブルドッグの症例の中ではかなり重度のため集中的な院内薬浴を4回実施したことに加え、全身的な薬物療法(お薬を飲むこと)も併用しました。
このようなタイプでは皮膚のコンディションを改善することが何より重要になるため、スキンケアを集中的に行う必要があります。
当院では医学的な治療を含めたメディカルスキンケアを院内で行っておりましたが、かねてから要望があった「遠方のため当院を受診できない飼主さまが自宅でもできるスキンケア」にも対応することにしました。
すべての皮膚病がスキンケアで改善するわけではありませんが、適切な基礎疾患の診断と医療とともに併用することで治療成績の向上に役立つと考えています。
投稿者:
2015.03.15
こんにちは、四季の森どうぶつクリニック院長平川です。
昨日スキンケア商品とサプリメントの紹介をしましたが、今日はこれに絡めて皮膚病の再発防止についてお話します。
治療を行うことで改善するのは当然として、治療を終了もしくはフェードアウトしていくとどうでしょうか?
そのまま再発がないにこしたことはありませんが、当院を受診するわんちゃんは重要例が多いためやはり再発は十分に考えなければいけない症例の方が多いのが現状です。
そのため治療がうまくって、お薬をなくして治療レベルを落としていくときにはこの再発の可能性を十分に考慮しながら治療をやめていきます。
大事なのは「再発したらまた同じ治療をしましょうね」ではなく、「再発したら次どうするのか?」を考えながら治療をやめていくことです。
今回紹介する症例はこの再発についての症例報告です。
経過は非常に長いのですが、
①最初のアプローチは投薬、薬浴で徐々に改善
②十分に改善しているところで徐々に治療薬からフェードアウト、そして薬浴の間隔を長くする
③治療レベルを落としたところ再発
④治療を再開するが、最初の治療方針とは異なるアプローチをする
という概要です。
参考までに今回の症例は以前簡単に紹介している症例です。
⇒ プチ症例報告
それでは再発時の状態をみてみましょう。
病変は体幹部、背中からみていきます。
次に頚部のやや右から。
続いて腹部の右側面から。
皮脂・フケが多いためシャンプーで除去すると皮膚炎のレベルがよくわかりますので、シャンプー後の状態をみてみましょう。
やや左から。
ここから2週間後です。
実際によくみると病変がないわけではなく、個人的にはまだあるという評価ですが、初診時と同じ条件の写真で比較すると随分ときれいになっているのがわかると思います。
では今回の2週間は初診時と同じ治療をしたのか?というと実は違います。
もちろん同じ治療をほどこしても改善するとは思うのですが、同じことをしてしまうと治療のフェードアウトのときに今回と同じ再発を招いてしまいます。
そのため次は再発防止を意識して別のアプローチが必要になってきます。
今回は言葉では悪く聞こえてしまうかもしれませんが「再発必至ですが、それでも再発を前提にあえて治療からフェードアウトしましょう」としました。
もちろん僕の中では同時に「再発したら次のアプローチはこう!」というのを決めて望みました。
参考までに使用したのは先日も紹介した改良に改良を重ねたサプリメントです。
元々外用薬も併用していたのですが、外用薬だけで効果がでたのでは?という点については、外用薬を体幹の右半分の局所のみとしたため、全体が改善したことを考慮するとサプリメントが十分に効果がでたのではないかと思います。
投稿者:
2015.03.01
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
3月、暖かくなってきて春を感じさせる日々ですね!
今日は「犬にも精神的な皮膚病がある」というお話です。
あらかじめお話しておきますが、一概に「ストレスが原因です」というわけではありません。
わんこにはわんこなりに考えることもあるでしょうから、こういった皮膚病が実際にあります。
【症例】
トイプードル
【病歴】
〇今までステロイドで2~3ヶ月かけて痒みを抑えていたが、何度も再発していた
〇今回は治りが悪い
一見皮膚病があるようには見えませんね。
痒みがある部位をみてみましょう。
まずは右前肢、全体的になめるということでした。
続いて、左前肢の状態です。
赤みが少ないため皮膚病っぽさがありませんが、わんちゃんが頻繁にかじっているため被毛が短く毛並みが悪くなっています。
ここから2~3ヵ月後と比較してみましょう。
左が初診時、右が治療後
※画像をクリックすると拡大できます。
左が初診時、右が治療後
※画像をクリックすると拡大できます。
自分でかじってしまう症状が改善されたため、毛並みがとてもきれいになっています。
大事なポイントは「初診時に心因性であることに気づくこと」です。
言葉も通じない犬の心因性の皮膚病は何を根拠に診断するのか?という疑問は僕もなくはありませんが、答えは「直感」です。
今回も初診時の飼主さまとの会話で10~15分くらいでなんとなく「心因性かな?」という感じがしました。
もちろんそうではないことも考えるので、さまざまなパターンを候補に頭に描きつつ・・・ですが、「まず心因性だろう」というイメージをもって治療計画をたてます。
治療薬としては数種類選択肢があり、どのわんちゃんがどの薬に反応するかはわからないので2週間後に変えることもあるのですが、今回は最初に選んだサプリメントで著しい改善が認められました。
もちろん当院受診まで使用していたステロイドは一切服用せず、長期間のステロイドで認められた血液検査の肝臓の異常値もほぼ綺麗に改善しました。
投稿者:
2015.02.24
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
つい先日まで1ヶ月以上放置していたブログですが、今日2回目の更新です♪
今回は再発しやすい皮膚病の中でも最も多い、細菌性の湿疹「膿皮症」についてです。
治療すれば改善するけど、治療をやめると再発する皮膚病・・・悩んでいる方は非常に多いと思います(僕もずっと悩んでいました)。
シンプルな治療方針としては「適切な抗生物質を服用し、適切なシャンプー療法を実施する」ですが、これだけで治るのではあれば誰も困りません。
もちろん耐性菌への対策としての感受性試験だけでなく、アレルギーやホルモン疾患などの基礎疾患が存在することがあるため、
・犬アトピー性皮膚炎の管理
・食事療法
・甲状腺機能低下症などの内分泌疾患の評価および治療
なども重要です。
ですが、できうる客観的な検査法を実施してもこれらの明確な診断名に当てはまらない「皮膚病になりやすい、再発しやすい体質」ということもあります。
それが「体質だから・・・」となるのですが、明確な診断名がなければ改善方法がないわけではありません。
今回はアトピーもない、食事療法も実施して、内分泌疾患もない、シャンプーもしっかりしている・・・・・にも関わらず湿疹が再発する症例についてです。
【症例】
犬 フレンチ・ブルドッグ
【病歴】
〇痒み(顔・耳・四肢端・体幹)を伴う皮膚病
〇ステロイドを服用することで痒みを止めていた
〇ステロイドをやめると身体を傷つけるほど掻いてしまう
【初診時の状態】
上の写真は、ステロイドの副作用で被毛が少なくなっています。
上の写真の円形のフケが細菌感染を起こしている湿疹です。
このタイプにステロイドの使用は治療が難しくなるため、個人的には使用せずに治療を行います。
治療後は、
ステロイドを中止し、適切な抗生物質とシャンプー療法、食事療法で湿疹をコントロールすれば被毛もきれいに再生してきます。
ただし、今回の症例はここではおわりません。
抗生物質の服用を中止すると・・・
湿疹が再発します。
再び抗生物質を服用することで、
綺麗に改善します。
しかし、抗生物質の服用を中止すると1ヶ月たたないうちに必ず再発するのです。
湿疹ができる ⇒ 抗生物質を服用(1~1.5ヶ月) ⇒ 湿疹消失 ⇒ 抗生物質終了
⇒ 1ヶ月ただずに湿疹再発 ⇒ 抗生物質再開(1~1.5ヶ月) ⇒ 湿疹消失 ⇒ 抗生物質終了
⇒ 1ヶ月たたずに湿疹再発 ⇒ 抗生物質再開・・・・・・・・・・
最も皮膚病になりにくい冬に湿疹が少ない(ゼロではない)時期があったため、抗生物質の再投与を先送りして耐えた時期もありますが、身体に湿疹がない状態をみることはほぼできませんでした。
お恥ずかしい話ですが、今回の症例ではこの状態で1年半以上経過しました。
おそらく日数として半分を超える期間で抗生物質を服用していたと思います。
そして昨年の閃き、ここから治療方針が大きくかわりました。
あの治療症例からさらに工夫を重ね、2年目が終わろうとする今回の症例でも治療チャレンジすることに!
すると・・・
抗生物質を服用していないにもかかわらず湿疹がない!!
去年の時点はまだドキドキしていましたが、もう今年に入ってからは確信があったので、今回の症例に対しては「絶対にうまくいく!」と自信がありました。
幸い今は最も湿疹ができにくい冬という条件もあるかもしれませんが(それでも去年の冬は湿疹あり)、もう今までのように抗生物質に頼るようなことはないと思います。
昨年「この冬のうちに磨き上げてみなさまの元へお届けできるようにします」とお話しましたが、そろそろ実現しそうです。
あとほんのわずかな微調整、今治療チャレンジしている柴犬でいい結果がでれば最終決定にしたいと思っています。
ここからは少しマニアックな話になりますが・・・
そもそも細菌が原因となっておきる湿疹『膿皮症』の細菌ですが、元々皮膚の表面にいる常在菌(みんなの皮膚の上にいる菌)です。
他のわんちゃんからもらった菌が原因ではありませんし、どこからか拾ってきたものでもありませんし、皮膚病が治ったあとにも皮膚に残っていますし、皮膚病になったことがないわんちゃんの皮膚にもいます。
※まれにそうでない菌の皮膚病もありますが、非常に少ないです。
そしてこの皮膚病の現在の主流の治療が「菌を抑えるために、抗菌剤を服用する。」「菌を抑えるため殺菌剤の外用を塗布する。」となっているのですが、何か違和感を感じませんか?
そう、「なぜ菌が増えたのか?」についての対策が抜けているのです。
菌を抑える抗生物質も菌を抑える殺菌外用薬も「皮膚で菌が増えた原因」を治療しているわけではありません。
僕も過去、現在、そしてこれからの未来もこの抗菌剤と殺菌外用薬を使用し続けるため、間違った治療アプローチとは考えていませんが、「殺菌」という治療だけでは本当の意味で治療とはいえない・・・・・ずっとそう考えていました。
でも「なぜ増えたのか?」がわからず何年も経ちました。
去年から紹介しているこの閃きのアプローチですが、
〇抗菌剤のように皮膚に到達して菌を抑える効果はありません。
〇殺菌外用薬のように皮膚に直接塗布するものでもありません。
皮膚にはまったく届かないところからアプローチしています。
「なぜ増えたのか?」を説明する明確な答えが1つだけではないとは思いますが、治療結果をみると今まで足りなかったピースの1
つであると思います。
遠くて診察が受けられない飼主さまにお届けできるようにしますので、準備が出来次第このブログ、そしてホームページでご案内します。
予定は3月末か、4月中です。
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