脱毛症(アロペシアX・ホルモン異常など)

ステロイドの副作用で脱毛したシェルティの治療症例

2017.03.25

愛知・名古屋で犬の皮膚病治療のみを行う動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

春になりましたが、まだ少し寒さを感じます。

一時期ストレスから口内炎・吹き出物が多発し、寝不足も重なって絶不調でしたが、今はいいスパイラルに入り絶好調です♪

今日紹介するのは脱毛症のわんちゃんです。

普段は「痒みを伴う皮膚病」を診る機会が圧倒的なのですが、今回は「痒みを伴わない脱毛症」です。

【症例】

 犬 シェルティ

それでは初診時の状態をみてみましょう。

まずは全体像です。

綺麗な毛並みで、一見脱毛症があるようにはみえません。

今回の病変は1箇所だけ・・・

この左耳の裏側の脱毛です。

脱毛している部分と、正常な被毛がある境の部位を拡大してみましょう。

白くめくれたようなフケが大量に付着しています。

診断はここで決まります。

初診時から約2ヵ月後の状態と比較してみましょう。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

非常に綺麗な毛並みが再生しました。

このタイプは「完治」といえます。

原因は非常にシンプルで、「ステロイド外用薬の塗りすぎによる副作用」です。

当院としては「脱ステロイド」を正義の御旗のように謳うことはなく、積極的にステロイドを使う方なのですが、「使いこなすこと」がとても大事だと考えています。

ステロイドを使いこなすというのは、ステロイドを使っていいシーンと使わない方がいいシーンの診極めであり、使うべきときにしっかりと使う、使ってはいけないシーンを間違えないことです。

そして「使いすぎに早く気づくこと」、ですね。

今回のわんちゃんがステロイドを使うキッカケになった皮膚病をみていないため、「使うべきだったのかどうか?」に関してはわからないのですが、使いすぎに気づかなかったのが原因だと思います。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

耳の先端でフケを伴う脱毛症「耳介辺縁皮膚症」

2016.10.02

犬の耳のふちに、フケやかさぶたが出たり、毛が薄くなったりすることがあります。

こうした症状がみられる場合、「耳介辺縁皮膚症」が関係していることがあります。この病気は、見た目の変化だけでは原因や状態を判断しにくく、改善までに時間がかかることもある皮膚トラブルの一つです。

今回は、実際の症例を交えながら、主な治療法や当院での考え方をご紹介します。

耳介辺縁皮膚症とは?

耳介辺縁皮膚症は、犬の耳のふちにフケやかさぶた、脱毛などがみられる皮膚トラブルです。

当院では、耳のふちなど体の末端部分で血管に炎症が起こり、血流が悪くなることが症状に関係していると考えています。血流が悪くなると、その部分に十分な酸素が届きにくくなり、脱毛や皮膚組織のダメージにつながることがあります。

一方で、なぜこのような血流障害が起こるのかは、現在の医療でも十分には分かっていません。当院では、腸内環境や免疫の状態、生まれつきの体質、食生活なども関係している可能性があると考え、一頭ごとの状態を確認しながら治療しています。

耳介辺縁皮膚症の治療症例

耳介辺縁皮膚症は、下記のような症状が現れることがあります。

  • 耳のふちの毛が抜ける
  • 耳の先にフケがつく
  • フケと一緒に毛が抜ける

ただし、耳のふちにフケや脱毛がみられるからといって、必ずしも耳介辺縁皮膚症とは限りません。ほかの皮膚疾患でも似た症状がみられるため、皮膚の状態や症状の経過を確認することが大切です。

症例1|チワワ

1つ目の症例としてご紹介するのは、2016年に診察した耳の脱毛がみられたチワワの症例です。

もともと当院に通院していたワンちゃんのため、初診時の症例ではありませんが、耳のトラブルに気づいた最初の診察時の状態をご紹介します。

【治療前】

診察時には耳の脱毛がみられ、耳のふち(耳介辺縁)には、フケを伴いながら毛が束になって抜け落ちている部分が確認できました。

【治療後】

この症例では、おおよそ2〜3か月で改善がみられました。治療後は、抜けて薄くなっていた部分にもしっかりと毛が生えていることがわかります。治療前と比べると、耳のふちにみられていたフケや脱毛も改善している様子が確認できます。

症例2|ミニチュア・ピンシャー

2つ目の症例は、2025年7月に診察したミニチュア・ピンシャーの耳介辺縁皮膚症の症例です。治療前後の写真をご紹介します。

治療前は耳のふちの毛が薄くなっていましたが、治療後は毛が生えてきました。

症例3|ビーグル

3つ目の症例は、2025年12月に診察したビーグルの耳介辺縁皮膚症の症例です。治療前後の写真をご紹介します。

治療前は耳のふちや耳の裏に脱毛がみられましたが、治療後はどちらも毛が生えるようになりました。

※治療の効果や改善までの期間には個体差があります。

耳介辺縁皮膚症の主な治療方法

当院では、耳介辺縁皮膚症の治療において、耳のふちなど末端部分の血流を改善することが大切だと考えています。

症状が重い場合は、投薬を中心に治療します。一方、症状が比較的軽い場合には、食生活を見直したり、サプリメントを取り入れたりしながら経過を見ることもあります。実際に、サプリメントを取り入れた治療で改善がみられた症例もあります。

 

改善までには時間がかかることも

耳の毛や皮膚は、治療を始めてすぐに見た目が変わるとは限りません。

現在現れている脱毛などの症状は、2〜4か月ほど前に受けたダメージが反映されている場合があります。そのため、治療を始めたあとも、数か月単位で経過を確認していきます。

また、投薬せず、食生活の見直しやサプリメントを中心に治療する場合には、6か月〜1年ほどかけて変化を見ることもあります。

症状の程度や体質によって治療方法や改善までの期間は異なるため、当院ではそれぞれの状態を確認しながら治療を進めています。

耳のふちの脱毛やフケが気になる場合

犬の耳のふちにフケや脱毛がみられる原因は、耳介辺縁皮膚症だけとは限りません。次のような症状がみられる場合は、皮膚の状態を一度確認することをおすすめします。

  • 耳のふちの毛が抜けてきた
  • フケやかさぶたが増えている
  • 一度よくなっても繰り返す
  • 症状が長く続いている

耳のふちの毛が抜けていたり、フケやかさぶたがなかなか治らなかったりすると、このまま様子を見ても大丈夫なのか、不安に感じる飼い主さまもいらっしゃると思います。

見た目の症状が似ていても、症状が起こる原因はさまざまです。気になる状態が続いている場合は、そのままにせず早めに診察を受けることが大切です。

四季の森どうぶつクリニックでは、耳の状態だけでなく、これまでの経過や治療歴も確認しながら診察しています。耳のふちの脱毛やフケ、かさぶたなどが続いている場合は、一度ご相談ください。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

医療に必要なものは経験か?それとも検査結果か?

2016.09.16

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

四六時中お話している「初診時の診極め」ですが、実は現代医学で重要視される「根拠」とは正反対にあるものです。

日常の診療でよくあるパターンですが、診た瞬間「きっとこうだろうな」という経験からの判断に対して、初診時には検査結果が出揃っていないこともあるため客観的な根拠がないこともあります。。

もちろん初診時に顕微鏡検査や一部の血液検査、画像診断などでの総合評価が加わっての判断のため、後日出揃う検査結果をみて想定外の「こんな結果がでるとは・・・」ということはほぼ皆無です。

しかし時に出揃った検査結果が予想通りではなく、診断名に悩むこともあります。

それは「診極め」に問題がある・・・という意味ではなく、「診極め」と「根拠となるべき検査結果」がリンクしないときです。

今日はそんな症例報告です。

【症例】

 9歳 紀州犬 男の子(去勢済み)

【病歴】

 〇3ヶ月前からお腹の脱毛、背中の脱毛と広がってきた

初診時の状態、症状は背中のみになっています。

診た目の診断面は「感染症」、この判断で間違いではないですが、ポイントは基礎疾患の評価です。

高齢期になり、フケを伴う円形脱毛症が複数・・・・・疑うべきは「内分泌疾患」です。

初診時の「診極め」は

 〇感染症は内服&スキンケアで改善可能
 〇基礎疾患に内分泌疾患として候補は2疾患、甲状腺疾患または副腎疾患のどちらかがあるはず!

です。

検査結果は・・・・

 〇一般&生化学検査は甲状腺疾患・副腎疾患の両方を示唆
 〇エコーは副腎疾患の可能性を残す
 〇ホルモン測定では、副腎検査が正常値、甲状腺検査のみの異常値

副腎疾患の検査精度はあまり高くなく、正直なところ検査結果より自分の判断が正しいことの方が圧倒的に多いのですが・・・

実際の治療レベルとしては、

 〇甲状腺疾患の治療薬は、万が一副腎疾患だったとしても副作用はまずないだろう
 〇副腎疾患の治療薬は、万が一副腎疾患でなければ使うべきではないし、副作用が起きたら大変

のため、自分の判断は一旦保留としました。

ということで、初期治療は「まず甲状腺疾患の投薬治療を試験的に開始、ただし副腎疾患であれば改善しないためあくまで試験的治療である」としました。

しかし初診時から6ヶ月後、感染は完全に治ったにもかかわらず、被毛の再生は若干あるものの、十分とはいえませんでした。

そこで飼主さまとよくよく相談して、検査結果上では副腎疾患を確定する結果はなかったのですが、投薬治療を副腎疾患へシフトすることにしました。

それから2ヶ月・・・・

※クリックすると拡大することができます。

フワフワにもどってきました!

この時代の医療は難しいですね。

個人的に重要視している経験は根拠にならず、必要な根拠は検査結果(データ)です。

しかし検査の正確さは100%に遠く及びません。

そのため最後の最後の判断は検査結果に頼りきらずに、たとえ検査結果がそろわなくても、検査結果を否定する医療であっても経験を優先すべきと日々感じています。

時代はAI(人工知能)にシフトする方向でもう変わることはありませんが、AIがこの難問をどうクリアするのか見物ですね♪

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

ポメラニアンのアロペシアX(毛周期停止)の治療成績②

2016.05.17

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

昨日非常にうれしい連絡がありました♪

GWの東京遠隔診療で診察したシーズーのわんちゃんの飼主さまから、

「痒みは気にならない程度です。(以前は寝ていても突然起きてガシガシ噛んだり舐めたり、足でボリボリ掻いてました)今はないです。

炎症は赤い所はないです。(以前赤く(かさぶたの様なフケ?)腫れぼったかった足の関節(踵?)が薄いピンク色程度になりました。(かさぶたなし)

シャンプーして4日目ですが、匂いは気になりません。

べたつきも気になりません。(毛並みもいい状態)

フケはほとんど落ちなくなり、目の上、喉 お腹 手足 フケかさぶたほとんどない状態です」

というご連絡をいただきました。

事前の問診で「2次医療施設で長期間、さまざまな治療を受けてきました」という経過があったため、少し心配でしたが、予測通りのいい反応が10日間という非常に短期間で得られたことで本当に一安心です。

ですが、何度もお話するように、すべてが遠隔診療の対象になるわけではありません。

その疾患の一つに、ポメラニアンやトイプードルに多い脱毛症「アロペシアX(毛周期停止)」という疾患があります。

当院のブログでも何度も取り上げてきた疾患ですが、今日は少し前にも紹介したわんちゃんのその後を紹介しようと思います。

   以前の紹介記事 ⇒ ポメラニアンの脱毛症「毛周期停止」「アロペシアX」の治療

まずは初診時の写真を改めてご紹介します。

初診時から約2.5ヶ月後をみてみましょう。

本来あるべき毛並みの80~90%は改善したと評価できます。

それに伴い湿疹もほぼ消失し、皮膚コンディションそのものが改善したということも言えると思います。

ポメラニアンやトイプードルに多い「アロペシアX」「毛周期停止」という脱毛症ですが、必ずしも同様の治療成績がだせるわけではありません。

「やってみないとわからない」というものですが、この2~3年は以前よりも随分と治療成績があがってきました。

しかし同時に「それでも改善しないわんちゃんもいる」のは事実で、事前に予測することもできません。

そのため最近は新しい治療に取り組み始めました。

おそらくいい反応が得られるのではないか・・・と予想しています。

1~3ヵ月後にまたお知らせができるように取り組んでみようと思います。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

雑誌「犬の気持ち」に掲載されました♪

2016.04.19

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

寒くなったり、雨上がりに夏のような暑さを感じたり、風が強かったり・・・季節の変わり目を実感しますね。

今日はベネッセの犬の気持ちの雑誌に掲載されたわんちゃんの症例報告です。

【症例】 ポメラニアン

【経過】 全身の脱毛で治療を行うも改善がない

去年の2月に途中経過を掲載しましたので、その続きです。

この脱毛症は「毛周期停止」といい、かつては「アロペシアX」とよばれていたり、ポメラニアンに特に多いため「ポメハゲ」ともいわれていた非常に有名な脱毛症です。

積極的な治療をしなければ改善しないことが多く、いかに適切に診断し、積極的な治療をするかが治療のポイントになります。

初診時の状態をみてみましょう。

まずは顔を正面から。

続いて、脱毛がでやすい頚部です。

続いて胸部。

続いて、この脱毛症の特徴的な胸部~頚部の脱毛です。

最後に大腿部、尾側からみた写真です。

それでは治療後の写真です。

まずは頚部。

続いて、胸部。

続いて側面。

最後に大腿部です。

フワフワの美しい被毛が再生しました。

そしてタイトルにあるとおり、ベネッセの犬の気持ちの雑誌5月号に掲載されています。

獣医師として来院された飼主さまのリクエストに応えることは当然でもありますが、「飼主さまの笑顔」につながる仕事ができたことは何より獣医師冥利につきるなと改めて感じることができました。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

ポメラニアンの脱毛症「アロペシアX」「毛周期停止」の治療

2016.03.28

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。

今日はFNSうたの春まつりをみながらブログを書いています。

この時期ですので卒業に関連した内容なのですが、みなさまは卒業式に何か思い出は残っていますか?

僕は卒業式の日に女の子に第2ボタンを・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もらわれたこともないので、いい思い出は何もないです(笑)

さ、そんなさみしい思い出話は早々にやめて、数ヶ月お休みしていた症例報告にきりかえましょう。

日々同じような診察をしているようで、新しい発見が次から次にみつかるのが診療最前線なのですが、つい先日も新しい発見がありました。

今回紹介するのははるか昔から有名な病気、「ポメハゲ」「アロペシアX」「毛周期停止」の名前で呼ばれる脱毛症の治療です。

まずは初診時の正面・・・は向いていませんが、実はこの脱毛症は「かわいい子に多い」というのが定説になっています。

バンザイの姿勢で、胸のあたりをみてみましょう。

大きな湿疹がたくさん認められます。

続いて、腹部です。

同じく大きな湿疹が数多く認められます。

続いて、側面。

この疾患に特有の脱毛が認められますね。

この湿疹が全身に無数にあります。

最後に背中を上からです。

重度ではありませんが、典型的なアロペシアXです。

その診断を下して治療開始からわずか4週間後をみてみましょう。

まずは胸とお腹です。

湿疹は非常に綺麗になっています。

胸の辺りはすでに新しい被毛が再生しており、数ヵ月後にはフワフワになっているのが予想できます。

続いて、側面です。

アロペシアで脱毛が進行しやすい頚部の側面を拡大してみます。

同じくアロペシアXで脱毛が早期から認められる胸部側面です。

当院の治療の中で湿疹が治るのは当然として、「治し難い脱毛症」で早くも被毛の再生が認められています。

個人的にはこんなに早くの再生があるのは初めてなので、ちょっと驚きました。

多くの疾患で「おおよそ〇ヶ月でよくなるでしょう」が予測できる中で、この脱毛症だけは被毛の再生時期を予測することが難しいです。

中には半年以上かかることもあります。

今回のポメちゃんはかなり早い時期での再生が認められたと思います。

このアロペシアXの脱毛症の治療にはさまざまな考え方があり、「命に関わらないため治療の必要性はない」とされがちですが、個人的には病気の1つとして積極的な治療は選択肢の1つだと思います。

その理由は今回の症例の膿皮症です。

この膿皮症、おそらくアロペシアが原因で起きています。

ポメラニアンは本来ではそうそう難治性の膿皮症になることはないのですが、「アロペシアがゆえに膿皮症が治らない」となる症例が少なくありません。

従来では「アロペシアは毛が生えないだけ」とされていましたが、「皮膚コンディションが低下する病気」として捉えて治療が必要だと思います。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

ミニチュア・ダックスフンドの痒み治療と脱毛症

2015.11.07

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。

あっ・・・・・という間に1週間が経ちました。

明日は下町ロケット、前回以上に手に汗握る展開になりそうで麻衣子先生と一緒に楽しみにしています!

さて、今日はいつもの症例とはちょっと違った雰囲気の症例を紹介します。

症例はミニチュアダックスフンド、痒みを主訴に来院されました。

もちろん痒みの治療を行って、100%とはいえなくもそこそこのレベルまで改善しました・・・・が、

比較的短期間で再発する、または当初の予想以上の治療継続が必要という状態が続きました。

そこで元々気になっていた「脱毛症」を再評価することに・・・

この脱毛症、受診当初から認められたのですが、飼主さまからの主訴になかった(こういうものと思っていたそうです)ので痒みの治療を最優先にして、脱毛症は後からやりましょうという流れにしていました。

しかし再発頻度も気になったため、脱毛症が関係しているのでは?と疑い、脱毛症の治療を始めました。

その前後を紹介します。

え?脱毛症??

そんな感じがしますよね。

でもこれは初診時の時点で主訴になくても「脱毛がある」と把握しておかなければいけません。

もちろんこの脱毛症は「美容上の問題で、治療の必要はない」といわれていますが、それは教科書上の話です。

証明はされていませんが、この脱毛症はただ毛が少なくなるだけで美容状の問題だけではなく、皮膚コンディションの低下を引き起こすものと考えていて、理論上のそうですがいずれそれを実証されるレポートがでると確信しています。

では、治療後の状態をみてみましょう。

※画像をクリックすると大きくすることができます。

一見「首から毛が生えた」「耳の飾り毛が増えた」だけ・・に見えますが、重要なのはそこではありません。

この治療により全身の皮膚コンディションが改善し、痒みの治療成績が改善し、ほとんど投薬治療が必要いらないレベルに到達しました。

何がいいたいのかというと、

「現在の動物医療ではこの脱毛症が『美容上の問題であり、治療するかしないかは飼主の希望に沿う』と定義されていることにより、疾患としての治療の意味が過小評価され皮膚病全体の治療成績低下の要因になっている。」

ということです。

あともう一つは、

本当は「被毛を含めた皮膚に影響を及ぼす疾患であり、皮膚コンディションの低下および脱毛を引き起こす疾患」であるにも関わらず、脱毛症という名前にまどわされ「毛が抜けるだけの病気」と獣医師が誤解していることです。

そのため想像以上に見落とされている可能性が高いです。

はい、僕も過去10年間ほとんどアプローチしていませんでした。

そしてたくさん見過ごしていたと思います。

中には明らかな脱毛症が認められず、皮膚コンディションの低下・毛質の変化だけという症例もかなりいます。

教科書的な診断名の「脱毛」という命名がよくないのだと思います。

脱毛であり、美容上の問題であり、治療はしなくてもQOL(生活の質)には影響ない・・・・・

教科書にそうかかれてしまうと軽視されるのも仕方ないで、今後の改善を期待しましょう。

「教科書では病気は治らない」というのが僕の口癖なのですが、やはり本を読むだけでなく、皮膚をよく診ること・・・これに尽きます。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

トイプードルの脱毛症~アロペシアX~

2015.10.23

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。

秋が深まっているのですが、晴れた日の日中の車の中はまだまだ暑さも感じますね。

では今日は当院の症例報告にはあまり出てこない「脱毛症」についてです。

脱毛症と一言にいっても原因はさまざまなのですが、一般的に治療成績がでにくい脱毛症として「毛周期停止(少し前までアロペシアX)」という病気があります。

今回はそのアロペシアXの中でもさらに「治療反応が悪い」と評されているトイプードルのアロペシアの症例を紹介します。

地肌も見えますし、横から背中のラインがすけてみえるほど被毛が薄いのがわかります。

治療開始から2ヵ月後です。

非常に綺麗な被毛が再生してきました。

まだ局所ですが、まずこれでうまくいくと思います。

治療成績がでにくいアロペシアXですが、最近はかなり治療成績が高くなってきました。

選択肢としてはかなり積極的な治療と、やや消極的な治療の2パターンあるのですが、ある組み合わせの相性がいいことに最近気づきました。

根拠はないんですけど、いけそうな感触です。

半年後にはいい結果がだせていると思います。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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