フレンチブルドックの症例報告

検査で異常が見つからないフレンチブルドッグの皮膚病治療

2019.02.05

フレンチブルドッグに多いアトピー・アレルギー・膿皮症・手舐めなどの痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

 

フレンチブルドッグの皮膚病は難治性になりやすいですね。

当院でも受診数の上位犬種に入ってきますので、体質として「現代の皮膚科医療アプローチ」と「フレンチの遺伝的体質」に大きなギャップがあると考えています。

参考までに「ギャップがある」というのはどういうことかというと、「今どきの医療ではフレンチを治せない」という意味です。

逆に「ギャップがない」というのは「検査したら答えが分かる」という意味です。

すわなち

「フレンチの皮膚病の治療法は検査ではわからない」

ということです。

今日紹介する症例はそんな「異常値が一切でないザ・体質からくる典型的な皮膚病をたくさん抱えたフレンチブルドッグ」です。

 

【症例】

 フレンチブルドッグ 4歳 男の子

【経過】

〇2歳のときから皮膚炎、背中の湿疹・外耳炎・手舐め&足舐め

〇過去の治療はアポキル、抗生物質、ステロイド、外用薬

〇背中をカットしたら生えてこなくなった

それでは初診時の状態です。

続いて、背中とその拡大です。



続いて、側面とその拡大です。

続いて、左耳です。

続いて、足裏です。


それでは治療後とひかくしてみましょう。

※写真をクリックすると大きくすることができます。








非常に綺麗になりましたね。

今回の皮膚治療は合計2年超に及びました。

純粋に2年かけてよくなったというわけではありません。

折角なので順番に解説していきます。

①毛が生えない

シンプルに「ステロイドの副作用」です。

外用薬や内服薬によっておきたものなので、ステロイドを使わないことで改善が期待できます。

 

ただ考えなければいけないことがあります。

「(以前の病院で)なぜステロイドが処方され続けていたのか?」

ここからは推測ですが、ステロイドを使うからには「炎症」があったのだと思います。

このわんちゃんでどんな炎症があったのか?

背中にはブツブツ(フケ&脱毛)タイプの湿疹(おそらく膿皮症)があったのだと思います。

手先・足先にはアトピー&心因性の皮膚炎がずっとあったのだと思われます。

これらの皮膚炎のコントロールのためにステロイドを使ったと推測されますので、ある程度改善したあとに起こりえることを想定しなければいけません。

 

②背中の湿疹

それは「背中の膿皮症の再発」と「手先・足先の皮膚炎の再発」です。

もちろん初診時に想定できますので、「毛が再生してきたら背中に膿皮症がでやすくなるかと思います。そのときには新しいアプローチが必要です

と伝えておきました。

※初診時に背中の膿皮症がなかったのは、幸か不幸かステロイドの副作用により毛がなく蒸れにくくシャンプーもしやすく細菌が増えにくい状態だったのが膿皮症をでにくくさせていたと思われます。

実際、治療から4~6カ月で背中の毛並みが再生してきたのですが、やはり湿疹(膿皮症)がでるようになってきました。

飼主さまも「この湿疹が昔からずっとあったもの」とおっしゃっていました。

もちろんこの膿皮症がでることも想定の範囲内なので、準備していたアプローチを併用します。

もちろん当院が開発したサプリメント、「スキンケアECプラス」です。

基礎疾患がない、食事の選択に間違いがなく、スキンケアも適切であれば、かなりの割合で改善が見込めるサプリメントです。

もう2年継続していただいていますが、膿皮症のトラブルはかなり少なくなりました。

 

③耳の脱毛

これも多いトラブルですが、耳介辺縁の脱毛です。

正常であればしっかりと密な毛が生えているのがフレンチブルドッグですが、皮膚トラブルが多いと耳の毛が抜け落ちやすくなります。

これにも原因と対策があるので、体質に合う治療法を取れば写真のようにきれいな毛並みに戻ります。

問題は検査で原因がわかるわけではないので、「体質に合った」という答えが導き出しにくいことでしょうか。

これはステロイドをやめても、膿皮症を治療しても治りませんので、特別なアプローチが非常に有効です。

 

④手舐め・足舐め

これもフレンチに非常に多いですね。

痒みを抑えるアトピー治療薬「アポキル」で改善すればいいのですが、この症例ではほぼ効果なしでした。

もちろん想定外ではないので、心因性のアプローチにシフトしていきます。

心因性のアプローチといってもどの成分を、どの程度服用させれば改善するか調整が難しいため、改善を導き出すために相当な変更を繰り返しました。

「正解」にたどり着くまでは改善が認められないため、飼主さまには治療方針への理解と協力が不可欠です。

結果がでるまで長くお付き合いしていだき本当に感謝です。

 

症状に対するアプローチを紹介しましたが、検査結果はどうだったか?というと特筆すべき異常値は何も認められませんでした。

検査でわかるものはほぼなし、ということです。

フレンチブルドッグの皮膚病治療が難しいのはこういった、「検査で答え(治療・薬)が分からない」ということだと思います。

 

今回紹介したスキンケアECプラスは、以下のオンラインショップでお買い求めいただけます。

適切な診断、適切な投薬治療、適切な食事療法、適切なスキンケアがあれば非常にお勧めできるサプリメントです。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【フレンチブルドッグの皮膚病】膿皮症が治らない

2018.11.16

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。

今回はフレンチブルドッグの症例です。

 

【症例】

フレンチブルドッグ 9歳3ヶ月 男の子(去勢手術未)

 

【経過】

〇生後3か月頃からアレルギー

〇季節性あり、春と秋がひどい

〇体中に円形脱毛がある

〇食事療法・抗生物質の投与を行ったが改善しなかった

〇大腿部、指間を舐める

〇顔をこする、耳を掻く

〇専門病院での治療歴あり

 

それでは、初診時の状態です。

まずは、体の正面です。

 

左耳の後ろ側です。

 

首~前胸部です。

 

前肢の指間です。

 

右後肢です。

 

左大腿部です。

 

それでは、初診時から約8週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。

 

重度&慢性であったため、毛が再生しない部位もありますが、体中にあった湿疹はほぼ消失しました。

前胸部や指間の赤みも引き、エリザベスカラーを外すことができました。

 

このような症例には投薬治療が必須ですが、治療成績の向上や再発予防には当院が開発したスキンケアとサプリメントが非常に有効です。

当院で開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求め頂けます。

・・・・・・・・・・

【獣医師の解説】

すでに専門医の継続治療を受けており、膿皮症の診断と「抗生物質+アポキル」という処方が変更になることはありません。

問題は、

①よくある膿皮症とどう違うのか?

②膿皮症になる理由がどこにあるのか?

③「抗生物質+アポキル」以外に必要な治療はなにか?

だと思います。

そのため治療の最大のポイントは、初診時にこの3点に対する回答(治療方針)をイメージできるか?です。

 

 

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【フレンチブルドッグの皮膚病】重度の膿皮症の完治&再発防止

2018.10.20

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。

今回は繰り返す湿疹に悩むフレンチブルドッグの症例です。

 

【症例】

フレンチブルドッグ 10歳 男の子(去勢手術未)

 

【経過】

○2~3歳頃から湿疹、円形脱毛

○5歳から胴体全体に悪化し、2ヵ月前から腕・足にも急激に悪化

○1年中痒いが、梅雨~夏にかけて悪くなる

○頭、耳を掻く

○手を舐める

○食事療法を行ったが改善しなかった

 

それでは、初診時の状態です。

まずは体の正面です。

 

顔の正面、右側、左側です。


 

続いて、右耳の正面です。

 

続いて、後頭部です。

 

続いて、頚部と前胸部です。
 


 

続いて、右前肢の足先です。

 


続いて内股です。
 

続いて、右後肢とその拡大です。

 


右側面と後ろから見た様子です。


 

それでは、初診時から約4週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。



 






 


 


 


痒みも減り、身体を掻くことも無くなりました。

頚部と前胸部の被毛も綺麗に生えてきているのが分かります。

また、全身にあった湿疹もほぼ綺麗になりました。

飼主様からも、「本当に綺麗になった!」と嬉しいお言葉を頂きました。

※2018.11月追記

抗生物質と院内薬浴を終了し1カ月以上経過しても、1つも膿皮症の再発が認めらていません。

 

このような症例には当院が開発したスキンケアとサプリメント(特にECプラス)が非常に有効です。

当院で開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求め頂けます。


【症例報告制作者】 看護師 長尾

・・・・・・・・・・・・・・

以下、獣医師によるコメントです。
フレンチブルドッグの膿皮症は多いのですが、今回の症例は特別です。
理由は重度であるという簡単な表現ではなく、数と分布の問題です。
かなり密度の濃い膿皮症(かさぶた)があること、四肢にもでていることはイレギュラーな証拠です。
また耳のダメージも特徴ですね。
これらを加味すると、イレギュラーなりの原因が推測でき、初診時に原因を特定することにつながりました。
そのためたった4週間という短期間での治療が可能になったという側面もあります。

やはり診た瞬間にどれだけ原因と対策をイメージできるかが治療のポイントになります。
今回の症例は当院と診療提携している動物病院に解説メールをお送りします。

獣医師 平川

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【フレンチブルドッグの皮膚病】心因性?手舐めの改善

2018.10.15

こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。

今回はしつこい手舐めが続いているフレンチブルドッグの症例です。

 

【症例】

フレンチブルドッグ 3歳 女の子(避妊手術済)

【経過】

○1年前から手を舐める

○寝ている時以外ずっと舐めている

○季節性あり(夏がひどい)

○胸部、腹部に湿疹が出やすい

 

それでは、初診時の状態です。

まずは体の正面です。

 

次に、右前肢の甲、指間、足裏です。

 

続いて、左前肢の甲、指間、足裏です。

 

それでは、初診時から約4週間後の状態と比較してみましょう。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

 

 

痒みも減り、寝ている時以外はずっと舐めていた手も舐めなくなりました。

犬の癖のような手舐め・足舐めといった心因性の痒みには、当院が開発したヒーリングケアLFプラスが非常に有効です。

当院で開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求め頂けます。

【症例報告制作者】 看護師 長尾

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

夏のフレンチブルドッグの典型的皮膚病とそのケア

2018.08.10

夏になると悪化しやすいフレンチブルドッグの膿皮症・アトピー・手舐めの治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。


今年の夏は暑いですね。

ブルドッグ犬種は気温・湿度での悪化がありますので、この時期上手に乗り切りたいところですね。

【症例】

 フレンチブルドッグ 1歳5ヶ月 男の子

【経過】

 〇半年前から全身の湿疹が消えない

 〇顔の痒み、手を舐める

それでは初診時の状態です。

それでは初診時から4週間後の状態と比較してみましょう。

非常に綺麗になりました。

湿疹はなく、顔の皺の皮膚炎もなく、手舐め・足舐めもほぼありません。


体質的には再発しやすいため、こういった症例では再発予防のためにスキンケア&サプリメントが非常に有効です。

 身体の湿疹(膿皮症) → スキンケアECプラス
 アトピーの体質改善  → スキンケアECプラス
 手舐め・足舐めの改善 → ヒーリングケアLFプラス
 顔の皺のケア → Medicareローション
 全身のスキンケア →Medicareオイル&シャンプー&ジェル

当院のオンラインショップからお買い求めいただけます。

適切な診断・医療とともに併用いただければ非常に効果的と思います。

 

1点注意があります。

食べているドッグフードが合っていないといつまでたっても治りません。

「よかれ」と思って、「アレルギー検査の結果をみて選んだ食事」に限って皮膚病の原因になっていることが圧倒的に多いので注意が必要です。

診断(アレルギー検査)が合っているのであれば、その食事療法で劇的に改善しているはずです。

治っていないということは、診断(検査結果)そのものに皮膚病との関連がないと考えてもいいと思います。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

フレンチブルドッグの副腎皮質機能亢進症(クッシング)

2018.08.03

フレンチブルドッグの皮膚炎・脱毛・ホルモン異常などの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。


【症例】

 フレンチブルドッグ 7歳 女の子(不妊手術済)

【経過】

 〇1歳からフケを伴う円形脱毛が複数できる皮膚病を繰り返す

 〇去年の1年間は珍しく何もなく、きれいな状態を保っていた

 〇半年前からぶり返し?

 〇多飲多尿を認めるが、飲み薬(不明)をやめたら元の状態に戻った

それでは初診時の状態です。

 

それでは初診時から3カ月弱後の状態と比較してみましょう。

 

わずかに残っている部分もありますが、かなりよくなりました。

診断は内分泌疾患の1つ副腎皮質機能亢進症(通称クッシング)です。

昔は細菌性皮膚炎「膿皮症」を繰り返していたのだと思います。

よくもわるくもホルモン異常により免疫がかわり、昨年は膿皮症が一時的にでにくい状態になり、いよいよ皮膚コンディション低下のときにステロイドが投与が医原性となりクッシングが表面化したと考えられます。


今回の症例のポイントです。

ホルモン異常は進行しなければ発見しにくいかもしれませんが、日常的に皮膚をよくみていればかなり早期に気づくことができます。

軽症であれば確定所見をえることが難しいこともあるかもしれませんが、「あれ?これはおかしい。将来的にホルモン疾患の診断が必要かも」と伝えられるタイミングがきっとあります。

明らかな症状がでて副腎皮質機能亢進症(クッシング)と診断できる1~2年前には「おかしい」と気づける所見がどこかにあるので、「皮膚をよくみる」を繰り返していくことが大事だと思います。

今回の症例ではスキンケアやサプリメントでどうにかなるものではないので、的確な判断力・診断力を提供する医療が非常に重要だったと思います。

 

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

フレンチブルドッグの湿疹・アトピー・皮膚炎・舐め癖治療

2018.06.23

アトピー・アレルギー・膿皮症・舐め癖など難治性の痒い皮膚病が多いフレンチブルドッグの治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

梅雨に入り皮膚トラブルがフレンチブルドッグも多いのではないでしょうか。

フレンチブルドッグの皮膚トラブルといってもさまざまなタイプがあり、①冬が発症せず、夏を中心にでる、②1年変わらずでる、③1年でるけど冬はマシの3パターンに分けられます。

今日紹介するのは季節と関係なく1年中皮膚トラブルが続いていたフレンチブルドッグのわんちゃんです。※それでも冬少しマシ?

【症例】

 フレンチブルドッグ 2歳 女の子(避妊手術済)

【経過】

 〇1歳前から痒みを伴う皮膚病

 〇この1年半、皮膚病が治ったことはない

 〇顔・耳・手の赤み&痒い、内股の湿疹&痒み

それでは初診時の状態です。

それでは初診時の状態から8週間後の状態と比較してみましょう。

湿疹は完全に消失しました。

顔・耳の赤みもほぼ消失です。

手なめのレベルが元々10として3程度の若干のこりましたが、気になるような痒み・舐め方ではないので許容範囲という評価です。

今回の皮膚炎・痒み・手舐め・足舐め・湿疹(膿皮症)はすべてフレンチブルドッグの典型的な皮膚病です。

このタイプには投薬治療も併用しながら、当院が開発したスキンケア&サプリメントが非常に相性がいいです。

フレンチブルドッグの湿疹(膿皮症)→スキンケアECプラス、スキンケア商品(オイル&シャンプー&ローション)

フレンチブルドッグのアトピー → スキンケアECプラス&ヒーリングケアLFプラス

フレンチブルドッグの手舐め・足舐め → ヒーリングケアLFプラス

これらのスキンケア商品&サプリメントは以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

【成功の秘訣】撤退せず、躊躇なく踏み込む

2018.06.07

フレンチブルドッグのアトピー・アレルギー、脂漏、舐め癖(手舐め・足舐め)など痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

医療は奥が深いです。

日々疑問が湧き出ますし、新しい発見があります。

今回の新しい発見はある改善症例から得られた発見なのですが、「もしこれが効くなら、これから他のわんちゃんの治療がもっと大変になるかも」という治療内容で、また悩みと苦労が増えた気がしています。

【症例】

 フレンチブルドッグ 約4歳 男の子(去勢済み)

【経過】

 〇発症は1歳から

 〇お腹&背中に赤い湿疹

 〇顔、四肢端、耳の痒み(季節性ない)

初診は1年以上前だったのですが、このときは抗生物質とアポキルですぐによくなりました。

それから約9ヵ月後、再発?で来院されましたので、この再発?時点を基準に紹介します。

まずは全体から。

続いて、頚部とその拡大です。

続いて、前胸部とその拡大です。

続いて、右前腕とその部分的な拡大です。

続いて、左前肢とその部分的な拡大です。

続いて、腹部とその拡大です。

]

この初診時から約6ヵ月後の状態と比較してみましょう。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

頚部の皮膚炎、腕の皮膚炎、四肢端の痒み、お腹の湿疹・・・フレンチブルドッグのこのタイプの皮膚病は非常に多いです。

見た目の第一印象では典型的なタイプの1つにみえたので、いつものアプローチで2~3ヶ月で十分綺麗になると判断していました。

が、結果的には6ヶ月もかかってしまいました。

当院で6ヶ月というのは異例な長さで、正直にいうと苦戦しました。

ただ、診断と治療方針は初診時から一切変更せず、改善が十分でない途中の診察でも「(初診時の)診断は撤回しない」と何度もアピールしてました(笑)

撤回しない診断はというと、「心因性掻痒症」です。

もちろん心因性だけでこの全身の皮膚病の説明はできないため、心因性の解説の前に心因性以外の診断名を列挙しておきます。

診断①アトピー性皮膚炎

診断②膿皮症

診断③食物有害反応

診断④脂漏性皮膚炎

そして、最後の診断⑤が「心因性掻痒症」です。

この心因性、当院ではかなりの症例数と治療実績数があるため、自信をもってアプローチしたのですが、治療の序盤の結果はかんばしくありませんでした。

6ヵ月かけて徐々によくなったというのではなく、月1回の再診のたびに投薬治療内容を見直しつづけ、ようやく明らかに改善したのは最後の1ヶ月でした。

※もちろんアポキルは最初から1日1回でスタートしていますが、この腕~手先、足先の皮膚炎はアポキルでまったく改善しませんでした。

その微調整とは「投薬量の変更」なのですが、なんと最初に処方したときの3.5倍量です。

たしかに最初の投薬量はかなり少なめで、一般的な教科書に掲載されている量の最下限よりわずかに下回る量でした。

ただ、その最下限以下で処方したにも理由があり、その量で効果を示す症例も稀ではないくらい普通にいるのです。

体質によって薬の合う合わないということがあるのと、多い量より少なく効くにこしたことはないので、少なめから処方したのですが、初回の投薬内容ではまったく改善が認められませんでした。

そこで増量、薬の種類変更・・・と序所に変化を加えてみたのですが、どれもスッキリせず平行線。

最終的には3.5倍量まで増やしたときに、急によくなりました。

3.5倍量で劇的に改善するのではれば、2.5倍量でもそれなりに・・・せめて半分くらい効いてくれてもよさそうなのですが、2.5倍量ではまったく改善しませんでした。

飼主さまには「スイマセン・・・適量にたどりつくまで随分時間がかかってしまいました。よくここまで信じて通院してくださってありがとうございます。」とお伝えいたしました。

結果的には心因性の診断はあっていましたし、治療結果もよかったのですが、今後の悩みも増えます。

教科書に掲載されている推奨量は1~2の範囲であり、今回のような3以上の投薬量というのは一般的な投薬範囲を超えています。

ただ今回の結果から心因性の治療に必要な投薬量は1~3.5まで範囲があるかもしれない、ともいえます。

効果のある投薬量はわんちゃん次第で、2でまったく効かなくて3以上に増やせば効く症例がいるということであれば、少なめからの投薬治療であれば効果が出るのに相当なステップを踏まなければいけません。

高用量からの処方は副作用の観点から避けねばいけませんし、かといって低用量で処方して改善がなければ「効かない薬」や「心因性が原因ではない」という烙印を押されかねないため心因性のアプローチはますます難しくなります。

ここをどう解決するか、アプローチ開始時点で丁寧なインフォームドをして、こまめに再診を設定して増量していくことくらいでしょうか。

当院のように遠方からの来院が多い場合はまた悩みが増えてしまいました(涙)

参考までに今回のわんちゃんの心因性は腕~肢端のみで、その他の部位は心因性との関係はありません。

現に心因性のお薬を増量していく5ヶ月までに湿疹は完全に消失して再発すらなくなっていましたし、頚部~胸部の皮膚炎と脂漏症は90%改善していました。

心因性の治療だけでこの全身の皮膚炎が改善するわけではないので、総合的なアプローチが重要です。

また、こういった膿皮症、アトピー、脂漏、心因性があるわんちゃんにはスキンケア&サプリメントも非常に重要なアプローチになります。

当院で開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求めいただめます。

今回の症例でもそうですが、投薬治療があってこそのスキンケア&サプリメントです。

将来的な体質ケア、お薬の減量、再発防止のためのアプローチになりますので、適切な皮膚科医療とともにご利用ください。

当院では皮膚科のない動物病院開業の獣医師向けに、今回紹介したような複雑な病態を示す難治性皮膚疾患の的確なアプローチの仕方について、実際の症例を交えたプライベートセミナーを行っています。

皮膚科診療について詳しくお知りになりたい方は問い合わフォームからご連絡ください。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

フレンチブルドッグのしつこい手舐め・足舐めの治療法

2018.05.18

アトピー・アレルギー、手舐め・足舐めなどが多いフレンチブルドッグの痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

フレンチブルドッグの手舐め・足舐めは「癖?」と思うくらいしつこくて、アポキルが効きにくいことが有名ですね。

はたして手・足は痒いのでしょうか?

今日はそんなフレンチブルドッグのアトピーなのか、アレルギーなのか、癖なのか・・・悩む手舐め・足舐めがひどい症例報告です。

【症例】

 フレンチブルドッグ 1歳未満 男の子(去勢済み)

【経過】

 〇手・足舐めがひどい

 〇左後ろ足が特にひどい

それでは初診の状態です。

まずは右前肢です。


右前肢の指間です。

続いて、左前肢の指の間です。

続いて、右後肢です。


それでは約1ヵ月後の状態と比較してみましょう。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

まずは右前肢。

続いて、左前肢です。

最後に右後肢です。

一番重度であった右後肢は劇的によくなりましたね。

診断名は心因性掻痒症、精神的な、癖のような舐める行動ですね。

ブルドッグ犬種はこの心因性がよくでます。

もちろんアトピーもあると思うのですが、アトピーだけでこうはならないのでその他の要因を疑います。

少しだけ難しいのは、この痒みはアトピーよりなのか?それとも心因性よりなのか?を判断することです。

このタイプは心因性よりでアトピーは軽度と考えられます。

そのため初診時から心因性に対するアプローチを積極的にやるのがいいでしょう。

犬の癖のような手舐め・足舐めといった心因性の痒みには、当院が開発したヒーリングケアLFプラスが非常に有効です。

ラクティウム、ラクトフェリン、テアニンという3つの成分を高濃度に配合したサプリメントはわんちゃんをリラックスさせ、心因性の行動異常を緩和させてくれます。

ヒーリングケアLFプラスは当院のオンラインショップからお買い求めいただけます。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

フレンチブルドッグにおける過去最高の脂漏性皮膚炎治療③

2018.05.14

フレンチブルドッグのアトピー・アレルギーなど脂漏性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

フレンチブルドッグの皮膚病は扱いにくく、こじれやすいです。

昨日は東京・品川の遠隔診療で5頭のわんちゃんを診ましたが、そのうち2頭がフレンチブルドッグでした。

たしかに難しい体質だと思いますが、うまくいかない理由は案外基本にあり、今の皮膚科医療のスタンダードである「アレルギー」と「痒み止め」に縛られてしまっていることだと思いました。

「フレンチブルドッグの皮膚病はアレルギーではない」「皮膚に痒みの異常があるわけではない」という目線でアプローチしなければうまくいかないと思います。

今日は以前にも2回紹介したわんちゃんの経過報告です。

1回目は、 
  3月23日UP 過去最高のフレンチブルドッグの脂漏性皮膚炎治療 (初診)

2回目は、
  3月30日UP 過去最高のフレンチブルドッグの脂漏性皮膚炎治療② (2回目再診時)

今日紹介するのは初診から約6週間後のつい先日の症例報告です。

まずは1回目、2回目と順番医お読みください。

それでは初診時から6週間後との比較をご覧ください。

※写真をクリックすると大きくすることができます。

顔のシワの皮膚炎がまだ十分とはいえませんが、全体的には劇的な改善ができたいと思います。

この方向性でいけばもう2度と元の状態にもどることはないでしょう。

このタイプの症例には院内薬浴を実施して、サプリメント2種類を併用しています。

当院の薬浴で使用しているスキンケアと、サプリメントは以下のオンラインショップからご購入できます。

適切な診断・治療とともにご使用ください。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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