2014.01.11
2014年 謹賀新年
それでは、今年最初の症例報告です。
前回紹介したシェルティと同じ犬種ですが、同じ時期に来院された別のシェルティの慢性皮膚炎の治療症例を紹介します。
【症例】
7歳 シェルティ 女の子
【病歴】
〇3歳のころから背中に痒みと痂皮・脱毛を伴う皮膚病で治療を継続している
〇初回は抗生物質、抗ヒスタミン剤、ステロイド、抗真菌剤で治癒したが、2年前からは少しずつ悪化して今に至る
〇最近は痒みが強く、よく眠れない
それでは症例をみてみましょう。
病変はまず左右の口唇の脱毛と痒みから。
若干わかりにくいかもしれませんが、口唇周囲に炎症・脱毛が認められます。
続いて背中全体です。
本来であれば立派な被毛で地肌が見えることはないのですが、脱毛が多く地肌が見えています。
この背中を拡大してみてみましょう。
では、続いて腹部です。
この腹部を拡大してみてみましょう。
続いて、四肢端の病変ですが、四肢すべてに同様の病変が認められたため、右前肢のみ掲載します。
それではこの指間を広げてみてみましょう。
※クリックするこどで拡大できます。
その他、両耳の外耳炎も併発しており、ほぼ全身に強い皮膚炎、痒みが認められました。
それでは、この状態から2カ月半後と比較してみましょう。
まずは右口唇から。
※クリックすると大きくなります。
ほぼ100%に近い毛並みまで回復したと思われます。
では拡大してみていきましょう。
※クリックすると拡大できます。
同じく背中の拡大です。
被毛をかき分けても綺麗で密な被毛が十分に回復してきました。
続いて、腹部です。
※クリックすると拡大してみることができます。
上記で拡大した病変部と同じ部位を比較してみましょう。
最期に、右前肢端です。
同じく指の間をみてみましょう。
意外と治療が難しいのがこの指の間の皮膚炎かもしれませんね。
全身でもほぼ痒みがなく、そして元気にもなりました。
今回の症例の治療で大事なことは、この病変をみて病気のメカニズムを2つ考えなければいけないことです。
すべての病変部が同じ治療で改善するわけではありません。
そのことを初回にお伝えし、順に治療をステップアップしていくことで、スムーズな診療を行うことができます。
四季の森どうぶつクリニック
平川将人
投稿者:
2013.12.25
メリークリスマス♪
こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。
今年もいよいよカウントダウンとなり、年内の症例報告も今回でラストとなります。
今日は難治性皮膚疾患になりやすい犬種・・・とまではありませんが、時々来院がある『シェルティ』の症例を紹介します。
【症例】
犬 シェルティ 9歳 去勢雄
【病歴】
〇2年前から全身の痒みを伴う痂皮と脱毛
〇この2年間で綺麗に改善したことがない
さて、初診時の状態です。
一見全体に被毛があり、遠目には皮膚病のように見えないのかもしれません。
部分的に被毛をかき分けて診てみましょう。
まずは右の側面、肩のあたりです。
この写真でも被毛が薄く、炎症を起こし赤くなっている皮膚が見えます。
さらに被毛をかき分け拡大してみます。
局所ではなく、全体的にこの皮膚炎が広がっています。
続いて、腰背部辺りの被毛をかき分けで診てみましょう。
このあたりを拡大してみます。
右肩のあたりと同様です。
続いて頚部をみてみましょう。
頚部の拡大をみてみます。
続いて、腹部です。
その拡大です。
このような皮膚疾患の場合、治療の効率化と全身病変部の評価のため、被毛のカットが非常に重要となります。
被毛をカットした背中を上からみてみます。
胸部~肩付近の拡大です。
さらに拡大してみます。
同じく上からですが、腰背部の拡大です。
つづいて、右大腿部の側面をやや尾側からみてみましょう。
さて、お気づきかもしれませんが、胸部~肩の付近と大腿部の側面は病変部が非常に似ていませんか?
そしてそれら2カ所に比較すると、腰背部の病変は若干異なっているように見えます。
それでは7週間の治療結果をみてみましょう。
まずは右肩付近の治療前と治療後の比較です。
同じくこの右側面の拡大です。
続いて、
この頚部を拡大してみましょう。
続いて、胸部背側の比較です。
続いて、右大腿部側面の比較です。
病変はほぼ消失し、痒みもありません。
現在治療の最終段階で終わっているわけではありませんが、今以上時間が経過するとシェルティの美しい被毛で完全に覆われ、皮膚がほとんどみえなくなるため、その直前で比較してみました。
あと1~2カ月もすれば完全に被毛が再生し、見違えるほど美しいシェルティになると思います。
毎回同じことですが、重要なのは初診時にこの改善までの道筋を描くことです。
確かに初診時に実施した検査結果が一通り出揃うまでは、「もしかしたら〇〇かも?」「もしかしたら△△△があるかも?」と考えることもありますが、初診時にあらゆるパターンを想定してこのゴール地点までの道筋を描きます。
ときに「この皮膚病は先が読めない」と感じることもありますが、ほとんどの症例は初診時に3ヶ月後までの先を読むことが可能です。
今回の症例も初診時に複数の検査を行いましたが、初診時の想定通りの治療結果をなりました。
幸い大きな基礎疾患がなかったため、2年間治らなかった皮膚病が7週間でここまで改善しました。
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