2015.11.07
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
あっ・・・・・という間に1週間が経ちました。
明日は下町ロケット、前回以上に手に汗握る展開になりそうで麻衣子先生と一緒に楽しみにしています!
さて、今日はいつもの症例とはちょっと違った雰囲気の症例を紹介します。
症例はミニチュアダックスフンド、痒みを主訴に来院されました。
もちろん痒みの治療を行って、100%とはいえなくもそこそこのレベルまで改善しました・・・・が、
比較的短期間で再発する、または当初の予想以上の治療継続が必要という状態が続きました。
そこで元々気になっていた「脱毛症」を再評価することに・・・
この脱毛症、受診当初から認められたのですが、飼主さまからの主訴になかった(こういうものと思っていたそうです)ので痒みの治療を最優先にして、脱毛症は後からやりましょうという流れにしていました。
しかし再発頻度も気になったため、脱毛症が関係しているのでは?と疑い、脱毛症の治療を始めました。
その前後を紹介します。
え?脱毛症??
そんな感じがしますよね。
でもこれは初診時の時点で主訴になくても「脱毛がある」と把握しておかなければいけません。
もちろんこの脱毛症は「美容上の問題で、治療の必要はない」といわれていますが、それは教科書上の話です。
証明はされていませんが、この脱毛症はただ毛が少なくなるだけで美容状の問題だけではなく、皮膚コンディションの低下を引き起こすものと考えていて、理論上のそうですがいずれそれを実証されるレポートがでると確信しています。
では、治療後の状態をみてみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
一見「首から毛が生えた」「耳の飾り毛が増えた」だけ・・に見えますが、重要なのはそこではありません。
この治療により全身の皮膚コンディションが改善し、痒みの治療成績が改善し、ほとんど投薬治療が必要いらないレベルに到達しました。
何がいいたいのかというと、
「現在の動物医療ではこの脱毛症が『美容上の問題であり、治療するかしないかは飼主の希望に沿う』と定義されていることにより、疾患としての治療の意味が過小評価され皮膚病全体の治療成績低下の要因になっている。」
ということです。
あともう一つは、
本当は「被毛を含めた皮膚に影響を及ぼす疾患であり、皮膚コンディションの低下および脱毛を引き起こす疾患」であるにも関わらず、脱毛症という名前にまどわされ「毛が抜けるだけの病気」と獣医師が誤解していることです。
そのため想像以上に見落とされている可能性が高いです。
はい、僕も過去10年間ほとんどアプローチしていませんでした。
そしてたくさん見過ごしていたと思います。
中には明らかな脱毛症が認められず、皮膚コンディションの低下・毛質の変化だけという症例もかなりいます。
教科書的な診断名の「脱毛」という命名がよくないのだと思います。
脱毛であり、美容上の問題であり、治療はしなくてもQOL(生活の質)には影響ない・・・・・
教科書にそうかかれてしまうと軽視されるのも仕方ないで、今後の改善を期待しましょう。
「教科書では病気は治らない」というのが僕の口癖なのですが、やはり本を読むだけでなく、皮膚をよく診ること・・・これに尽きます。
投稿者:
2015.11.05
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
さて、今日は久しぶりに柴犬の皮膚病治療の
紹介をします。
常にエリザベスカラーと、洋服を着て傷を防止している柴犬のわんちゃんです。
まずは初診時の状態、まずは顔からみてみましょう。
続いて、頚部です。
つづいて、全体の右側です。
同じく右側の拡大、ちょうど胸の側面です。
続いて、背中(腰背部)です。
同じく、背中の拡大をやや斜めから。
今回の柴犬の皮膚病治療にはいつもよりも少し制限がありました。
それは、非常に遠方からの来院でしたので、通院間隔は極力長くする必要がありました。
こまめに診れないということは、治療の修正をするチャンスが少ないということで、もし判断や選択にミスやズレがあった場合にいたずらに時間だけが過ぎてしまう・・・という不安もあります。
ですが、そこは「初診時の診極め」です。
初診時に2ヶ月、3ヶ月後までの道を描きます。
初診時、再診、再診の3回の診察した後の状態(4回目の診察時)をみましょう。
普段は初診時の写真と並べますが、今回は並べる必要性すらないので全体像で掲載します。
初診時からわずか2ヵ月後、カラーもありませんし、洋服もありません。
痒みは10分の1まで減少しています。
初診時に描いた道筋どおり、一寸の狂いすらなく2ヶ月でたどり着きました。
ポイントは「柴犬を知る」ですね。
柴犬がどういう体質か、十分に把握することが重要です。
投稿者:
2015.10.31
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
明日はいよいよ下町ロケットですね!
楽しみな反面、なんだか内容が苦手な方向に向かっていきそうな気もしなくもありません。
というのも予告CMで「諦めていた夢をもう一度・・・」な流れがあり、従業員が辞める?(帝国重工の引き抜き?)みたいな
流れが紹介されていました。
従業員の同意の得られない事業計画を推し進めて従業員が辞める・・・なんてストーリーになるのでしょうか?
零細企業とはいえ従業員を雇用している立場として、同じ思いになれるのだろうか?・・・なんて一人で勝手に悶々としています。
人生でこんなにドラマに夢中になったの初めてです(笑)
さて、今日紹介するのは・・・
第1回 ⇒ 初診時のブログ9月12日来院
第2回 ⇒ 1週間後のブログ9月19日来院
第3回 ⇒ 2週間後のブログ9月27日来院
と過去に3回掲載しているミニチュアダックスの重症皮膚炎の治療経過です。
それでは本日10月31日に来院されたので、初診時の状態と比較してみましょう。
初診時から7週間後、わずか2ヶ月弱です。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
サラサラの美しい被毛が再生しています。
初診時から積極的な治療を開始し、わずかな修正もなく想定どおりの最短ルートで改善しました。
治療成績がよく通院頻度も4週間に1度まで減っていますので、ここで一旦区切りとして症例報告は終了です。
継続さえしていれば、もう初診時のようなことになることはないでしょう。
「アグレッシブに美しく」、初診時の診極めが重要です。
投稿者:
2015.10.30
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
最近は症例報告の形を「〇ヶ月でここまで改善しました」というスタイルから、初診時をすぐに紹介して「今から治療します。〇ヶ月後が改善でしょう。」というスタイルを増やしています。
それは多く診察している中で、紹介されている症例が偶然うまくいった治療症例ではなく、しかも初診時に治療方針を診極めることができるタイプであることをお伝えするためでもあります。
ですが、そんな僕も「いけるかな?」と少し躊躇することもあるため、事後報告のパターンも未だにあります(笑)
今回は「改善できるかわからない」と思ったわけではなく、薬との相性も考えて「この薬が飲むことができる子であればいける!」という条件付でしたので、事後報告バージョンとなりました。
ただ治療内容と投薬がOKであれば「いける!」と確信をもって臨んだ症例です。
【症例】
フレンチ・ブルドッグ 9歳 避妊メス
【病歴】
〇1歳前から皮膚病
〇食事療法、外用、内服などさまざまするも、効果的な治療法は今までなかった
初診時の状態です。
続いて、右前肢。
続いて、左前肢。
続いて、後肢。
最後は左後肢を裏側から。
初診時からちょうど2ヵ月後です。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
※下顎だけ微妙に見えますが、実際はかなり改善しますよ!
非常に綺麗に改善しています。
もちろん過去8年ほぼ皮膚病でしたので、ダメージの蓄積から被毛の再生がまだの部分もありますが、かなりの改善といえます。
治療内容は初診時の提案通りで軌道修正はありませんでした。
投稿者:
2015.10.28
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
先日のブログで「休日はスイッチをOFFに」とか言ってましたが、今週の休日は事情により明日の午後にスイッチを切る予定です。
実質の休日は半日ですが、麻衣子先生と素敵な半日を過ごしたいと思っています♪
では初診時の診極めの新しい症例です。
チワワによく認められる難治性になる典型的な皮膚病です。
実はもう1症例同じ時期に、まったくタイプのチワワの症例が来院されましたので、同じく紹介します。
皮膚病をみるときに教科書的な診断名からアプローチすると「間違ってはいないけど改善しない」という迷走につながることが多々あります。
大事なのは
体質 × 診断名 = 表現形
というイメージを持って初診時に診ることです。
すると診断名のもつ意味が違ってきます。
僕がよく「教科書だけでは治らない」といっているのはこのことです。
教科書には間違ったことは書いていないのですが、治療に大事なことが書かれているとは限りません。
そのため臨床家は「読む」ではなく「診る」が大事なんですね♪
痒みの改善に必要なのは1週間
ベタベタの皮膚がサラサラになるのに2~4週間
被毛がフワフワになるには2~3ヶ月
必ず改善できます。
投稿者:
2015.10.23
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
秋が深まっているのですが、晴れた日の日中の車の中はまだまだ暑さも感じますね。
では今日は当院の症例報告にはあまり出てこない「脱毛症」についてです。
脱毛症と一言にいっても原因はさまざまなのですが、一般的に治療成績がでにくい脱毛症として「毛周期停止(少し前までアロペシアX)」という病気があります。
今回はそのアロペシアXの中でもさらに「治療反応が悪い」と評されているトイプードルのアロペシアの症例を紹介します。
地肌も見えますし、横から背中のラインがすけてみえるほど被毛が薄いのがわかります。
治療開始から2ヵ月後です。
非常に綺麗な被毛が再生してきました。
まだ局所ですが、まずこれでうまくいくと思います。
治療成績がでにくいアロペシアXですが、最近はかなり治療成績が高くなってきました。
選択肢としてはかなり積極的な治療と、やや消極的な治療の2パターンあるのですが、ある組み合わせの相性がいいことに最近気づきました。
根拠はないんですけど、いけそうな感触です。
半年後にはいい結果がだせていると思います。
投稿者:
2015.10.22
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
今朝は出勤時にベルトをつけるのを忘れてしまい、ベルトをしていなくてもズボンの違和感がない(=体重が増えた)ことにショックを覚えつつ、お昼にケンタッキーにいき「またやってもうた・・・」と明日につながらない反省をしました(笑)
さて、今日は「従順になった柴犬」の報告です。
いえ、決して問題行動のわんちゃんに行動療法を行ったわけではありません。
あれこれ説明せず、写真をみてみましょう。
毎年皮膚病になる柴犬ちゃんで、今年は半年前からエリザベスカラーがないと血だらけになるまで掻いてしまうまで悪化したということで来院されました。
もちろん来院時もカラーがはずせず、自宅でも散歩中でも常時エリザベスカラーを装着しています。
柴犬に多いタイプの皮膚炎ですね。
この初診時から3週間後です。
※画像をクリックすると拡大してみることができます。
痒みは10分の1、もちろんエリザベスカラーは完全に外すことができ、普通のわんちゃんらしい生活ができています。
飼主さまから「とても従順になりました♪」を喜んでいただきました。
やはりエリザベスカラーはわんちゃんにとって予想以上に強いストレスになっているため、カラーは必ず外さなくてはいけません。
いえ、基本は「痒みのためにカラーをつけてはいけない」というスタンスが必要で、やむを得ず装着する場合は「責任もって必ず外すこと」を自分に課さなければいけないと考えています。
カラーを外す自信なくしてつけてはわんちゃんにツライ思いをさせてしまうかもしれません。
投稿者:
2015.10.21
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
下町ロケットを見て以来なんだかやる気がでてきています。
普段であれば数日でスイッチが切れることも多々あるのですが、週1ドラマのおかげでしばらくテンション高く維持できそうです(笑)
ではやる気になった僕は何をするのか?
そういえば・・・ではないのですが、毎年「来年は何をしよう」と明確な目標を立てるようにする習慣があり、過去には
平成25年(一昨年)に考えたこと ⇒ 移転しよう! (平成26年6月移転)
平成26年(去年)に考えたこと ⇒ 自宅でできるスキンケア・サプリメントを全国へ (平成27年6月実現)
今年もあと少しですが、来年に向けた新しいチャレンジを絞り込む時期になりました。
色々考えていたことがあったのですが、実現可能かな?と手ごたえを感じるものがあるので、来年の目標は決まりました♪
「閃きは確信へ」というほどではないのですが、いけそうな気がします。
さて、今日は以前から継続で掲載しているパグちゃんの治療経過です。
第1回 ⇒ 初診日 平成27年8月26日
第2回 ⇒ 再診日 平成27年9月8日
第3回 ⇒ 再診日 平成27年9月25日
そして本日紹介するのが、 平成27年10月16日の状態です。
もうすでに良くなっている途中なので、すべての部位ではなく主要な部位だけ掲載します。
※画像をクリックすると拡大してみることができます。
正面からみたらもう皮膚病の面影はほとんどありません。
初診時に「3ヵ月後にはパグらしい雰囲気に」とお伝えしましたが、2ヶ月またずにほぼ改善したといえます。
ここからは100点ではなくとも、どう簡単に維持管理するか?が重要になります。
よく書いていますが、「改善させるための治療法」と「悪くなった原因」は違うこともよくあるため、これからの治療は「悪くなった原因をいかに長期的にコントロールするか」にかかっています。
なので初診時と同じことを続けているだけではいけません。
徐々に治療の方向性をシフトしていきます。
このパグちゃんの症例報告に関しては一旦終了です。
投稿者:
2015.10.19
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
昨日から始まった下町ロケットはご覧になった方はいらっしゃいますか?
当日のCMで初めてしったのですが、引き込まれるように見入ってしまいました。
ああいうドラマをみると雑草魂に火がついて脳内アドレナリンが噴出してやる気になります!
中2病の素因がある証拠ですね(笑)
さて、今日は以前紹介したシーズーの経過を紹介します。
第1回 ⇒ 初診時の診極め (初診時平成27年8月31日)
第2回 ⇒ 初診時の診極めⅡ
症例の詳細はまだ書いていませんが、シンプルに紹介すると「過剰なステロイド投与による皮膚病の悪化」です。
そして今日は3週間後ぶりの再診でしたので、紹介します。
まだ治療途中ですが、皮膚のコンディションが非常によくなってきました。
被毛も再生していきます。
あと1~2ヶ月あれば随分とシーズーらしい毛並みにもどっていると思います。
投稿者:
2015.10.11
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
雲ひとつない青空が広がりましたね♪
ここ2回紹介しているヨーキーの症例は初診時から1ヶ月でとてもよくなりましたが、その後想定外の悪化が認められたため、さまざまな修正を加えて1年かけて改善した症例です。
そのためには初診時の判断と1ヶ月で改善した治療内容すら一旦撤回しなければいけませんでした。
※僕もすっかり忘れていたのですが、1年前の初診から1ヵ月後の時点で「随分とよくなりました!」とブログを書いていました。
1年前は治療1ヶ月で随分とよくなり、違和感を感じることなく「このままいける!」と考えていました。お恥ずかしい限りです。
今回の第1回目ブログ ⇒ 診極めの甘さ
第2回目ブログ ⇒ 診極めの甘さ2
治療から2~3ヵ月後から認められた予想外の皮膚トラブルにより治療方針の変更を繰り返して1年後・・・
顔・頚部・前胸部・四肢端までは初診時の判断と1ヵ月後の状態のまま、特に治療を変更することなくさらに改善しています。
問題は治療後2~3ヵ月後から認められた体幹の痒み&湿疹&脱毛です。
まずは体幹、左からと背中から。
続いて腹部~胸部の中間くらい(臍の側面)
続いて、右大腿部尾側です。
その拡大、膿を含んだ湿疹があります。
さまざまな治療を行い・・・
現在は非常によい状態をコントロールできるようになりました。
通常は2~3ヶ月で一つの区切りですが、今回の症例はまさに1年かけてここまでたどりつきました。
最初の1ヶ月の治療内容と現在の治療内容が異なっている点ですが、初診時の想定範囲外でしたので、診極めが甘かったかなと反省です。
最終的な治療内容は「免疫抑制剤」「外用薬」・・・と「〇〇〇」です。
あと、外科手術も効果的だったと思います。
やはり病変の出方がおかしいとは思いました。
一般的には「背中だけ」や「お腹だけ」という分布になるのですが、下半身だけ・・・というのは通常ありません。
この写真です。
下半身だけの痒みを伴う皮膚病は非常に少ないので、「いつもと違う何か」を探さなければいけません。
皮膚トラブルの原因が常に1つとは限りませんので、複数の要因を想定するのも大事ですね。
個人的にもとてもいい勉強になりました。
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