2022.08.11
こんにちは。ミニチュアダックスフンドの皮膚病にも力を入れている四季の森どうぶつクリニックです。
今回は、掻き癖と散歩中の吠え癖のあるミニチュアダックスフンドの症例をご紹介します。
【症例】
ミニチュアダックスフンド 3歳11ヶ月 男の子(去勢済)
【経過】
〇2年前から治らない皮膚病
〇エリザベスカラーを付けていないと腕を舐めるのが止まらない
それでは初診時の様子をご覧ください。
まずは首の写真です。
一見そんなに異常を感じないかもしれませんが、本来の毛量に比べて少ない状態です。ちょうど首の真中辺りは地肌が見えています。
次に腕の部分です。
こちらは脱毛と皮膚の状態の悪さがわかります。舐めてしまう為、赤みや傷が確認できます。
こちらはお腹側の全体とお腹部分の写真です。
特に胸の部分の脱毛が目立ちます。本来は毛のある部分になります。
そして側面から見た全体の写真です。
見た感じは普通に見えるかもしれませんが、もっとボリュームがあるのが望ましい状態です。後程出てくるビフォーアフターの写真で見比べてみてください。
最後に毛をめくったところの写真です。地肌が見え、スカスカなのがお分かりいただけると思います。
それでは約2ヶ月後の写真と比べてみましょう。
いかがでしょうか
毛量が全体的に増えたのがお分かりいただけると思います。
そして、舐め癖が緩和したこともあり腕の状態がかなり改善しています。
今回は痒みだけではない、問題行動を伴う心因性の治療を積極的に行いました。
散歩中に「他の犬に吠え続ける」「ドッグランで上手に遊べない」「バイクを追いかける」「掃除機に攻撃的」など心因性を疑う行動パターンが認められたため、痒みと心因性に対する治療を積極的に行うことで劇的に改善しました。
治療を始めて約1ヶ月後には劇的な改善が認められ、飼主様から「この毛並み初めて!」と喜んでいただけました。
今回の症例の特徴の1つである「心因性に対するアプローチ」について情報を下にまとめましたのでぜひ参考にしてください。
今回のわんちゃんの日常行動のうち、注目すべき特徴的なパターンを紹介します。
・散歩が苦手、好きじゃない
・他の犬・人に吠える
・犬(人)が視界から消えるまで見続ける
・乗り物(今回はバイク)が通ると追いかける
イコールではありませんが、こういった特徴が揃うと痒みではない舐め・掻き癖が強く出る傾向があります。
こういった症例にはアポキルでは抑えきれないため、他のアプローチが必要です。
今回は行動に対する投薬治療を行った結果、舐め癖の緩和はもちろん日常の行動にも改善が認められました。
「散歩がスムーズになった」
「バイクを追いかけなくなった」
「他の犬に吠えなくなった」
舐め癖だけでなく、飼い主さまが日常的に抱えていた散歩のストレスが軽減されとても喜んでいただけました。
当院では皮膚だけでなく、わんちゃんの行動に対する診断・治療を行うことで治療成績を向上させています。
皮膚×行動の診断・治療は非常に難しいため、当てはまる方は当院までご相談ください。
尚、関東にお住まいの方は、東京サテライトにて当院獣医師が初診をさせていただき、継続治療をオンライン診療で行う遠隔診療も行っています。
※症状によってはできないこともございます。
詳しくは東京サテライト(←クリックすると見られます)のご案内をご覧下さい。
【症例報告制作者】 看護師 森
投稿者:
2022.02.08
こんにちは。犬の皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はミニチュアダックスフンドの症例をご紹介します。
【症例】
ミニチュアダックスフンド 1歳11ヶ月 女の子(避妊済)
【経過】
〇9ヶ月程前から痒みや赤み、皮膚炎が悪化している
〇アレルミューン注射(アトピー性皮膚炎のわんちゃんに使用される注射)を6回打ったが効果なし
〇アポキル、ステロイドも効果なし
それでは初診時の様子をご覧下さい。
こちらは顎を上げたところです。皮膚炎に加え、かなり毛の薄い状態です。
次はお顔のアップです。
口周りは特に痒みが出ている部位で、毛も無く、ひっかき傷もできています。
そして頭頂部の毛も脱毛している状態です。
そしてこちらは胸、前足の写真です。
特に胸にの辺りは毛がほとんど無く、赤みもあります。
足にはかさぶたもあり、皮膚の状態もごわごわしているのが分かります。
次は胸~お腹の写真をご覧下さい。
胸は毛がスカスカで、脇やお腹の辺りは毛がありません。
そして側面から見た後足です。
こちらも毛がスカスカの状態で毛並みも良くありません。
全体の写真も毛並みが悪く、少ない印象を受けます。
それでは、約3ヶ月後の写真をご覧下さい。
この子は発症してから、アポキルやステロイド、アレルミューンなど色々試しても悪化が続いていました。
食事を切り替えたり、シャンプーも2週間に1度行っていたそうです。
今回の当院の治療で効果が出たのは、基礎疾患に原因がある事を見極めその治療を行うことができたからです。皮膚病からホルモン疾患などは見落とされがちですが、根本の治療を行わないと中々改善しない場合も多くあります。この子の場合は必要な投薬治療と、腸内環境を整える為に当院オリジナルのサプリメント(スキンケアECプラス)を使用しました。それに加えて、ご自宅でのスキンケアも行って頂きました。
必要な治療ができれば、この子の場合だと1週間後には痒みを半分まで減らす事ができ、1ヶ月後には皮膚炎も落ち着きました。2ヶ月後には痒みはほぼ無くなり毛も再生し、3ヶ月後には写真の様に毛並みもかなり良くなり、毛量も増え、毛が無かった所にもしっかり毛が再生しました。
ずっと皮膚病で悩んでいる、中々良くならない、アポキルやステロイドを服用しても改善しない、など、わんちゃんの皮膚病や毛並みの事でお困りの事があれば、是非当院にご相談下さい。
尚、関東にお住まいの方、関東の方が近い方は、東京サテライトで当院の獣医師が初診をさせて頂き、その後の診察をオンライン診療で行うことも可能です。
※疾患によっては適応できないこともありますので、ご了承下さい。
詳しくはこちらのホームページでご覧いただけます。⇒東京サテライト
今回、腸内環境を整える為に使用した当院オリジナルのサプリメント(スキンケアECプラス)、ご自宅で行って頂いたスキンケア製品は以下のオンラインショップからご覧頂けます。⇒サプリメント・スキンケア製品
【症例報告制作者】 看護師 森
投稿者:
2021.09.18
こんにちは、ダックスの毛並み治療なども行っている四季の森どうぶつクリニックです。
今回は、ダックスの症例です。
【症例】
ダックス 1歳 男の子(去勢済み)
【経過】
〇生後5ヶ月頃から赤み、痒みが出てきた(お腹、目)
〇痒みがあるところを後肢で掻いたり、噛む
〇背中や腰が化膿している
それでは、初診時の様子をご覧ください。
まず頸下、胸の写真です。
皮膚に赤みがあり、毛が薄くなっているのが分かります。
次にお腹全体と脇、胸を拡大したものです。
最後に左側面と頸の拡大です。
頸のところは皮膚がガサガサになっています。
それでは、初診時から約5か月後と比較してみましょう。
この子は、ダックスにはよくある遺伝的な毛並みの異常があり投薬治療でここまでよくなりました。
皮膚が赤くなってしまっていた首や胸の赤みは無くなりました。
毛が薄くなってしまっていたところは徐々に生え、毛並みも治療前と比べていただくとふわふわになりました。
このようにダックスの毛並み異常、その他のわんちゃんの皮膚病でお困りの方は是非当院までご連絡ください。
他にも関東圏にお住まいの方は、継続治療をオンライン診療で行う遠隔診療も行っています。
症状によってはできないこともございますが、ご希望の方はご相談ください。
詳しくは東京サテライトのご案内をご覧ください。
【症例報告制作者 】看護師 佐野
投稿者:
2018.02.19
ミニチュアダックスフンドのアトピー・アレルギーなど、フケや痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
ダックスフンドは飼育頭数を考慮すると、皮膚病が特別多い犬種ではないのですが、柴犬・シーズー・フレンチブルドッグ系と比較するとかなりさまざまなタイプの皮膚病がでるため、広い範囲で疾患をみるようにしなければ難しいと感じることがあります。
【症例】
ミニチュアダックス 14歳 女の子
【経過】
〇1年半前からフケと脱毛と痒みを伴う皮膚病
〇かかりつけ動物病院で治療するも改善せず、当院を紹介されて受診
それでは初診時の状態を紹介します。
まずは正面から。
続いて、頚部。
続いて、胸部。
続いて、腹部と臍付近の拡大。
続いて内股とその拡大です。
続いて、右側面と拡大です。
続いて、背中とその拡大です。
続いて、左側面とその拡大です。
最後に尾です。
それでは初診時から治療約3ヶ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
フケはなくなり、毛並みも非常にきえいになりました。
当院の治療報告の中では3ヶ月という長い時間がかかりましたが、高齢なのと原因を考えるともっとかかるかと思っていたため十分な成績かと考えています。
今回の治療方針では、やはり投薬治療が必要なタイプですが、皮膚表面のフケを伴う皮膚炎にはスキンケアが必須です。
特に当院のクレンジングオイルが非常に重要で、このオイルの併用がなければ短期間での改善は見込めなかったと思います。
基礎疾患の的確な診断&治療とともにスキンケア、またはサプリメントを併用することで治療成績は大きく向上します。
当院の開発したスキンケア&サプリメントはオンラインショップでお買い求めいただけます。
スターターセットをご購入の方にだけ、後日当院から無料相談メールをお送りしています。
投稿者:
2017.02.05
ダックスフンドのアトピー・アレルギー性皮膚炎、湿疹や脱毛疾患の治療に力を入れている動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今日は、以前紹介したことのあるミニチュア・ダックスフンドの慢性皮膚疾患のその後の経過を紹介します。
以前の記事 ⇒ 【ダックスの皮膚病治療】治療の差は?隠された問題は?
上記の記事では、初診時からわずか2週間で皮膚炎・痒みといった問題点が改善されたところまで紹介しました。
ただ同時に「隠された問題点」があり、別次元でもっとよくなることをお伝えしました。
初診時から2週間で実施しなかったアプローチを3週目から行い、予測どおりの改善を導き出すことができましたので、改めて紹介します。
新しいアプローチから約2ヵ月半後、初診時から3ヵ月後の状態をみてみましょう。
左側にある比較写真は初診時ではなく、初診時からよくなった2週間後の状態との比較です。
※1枚だけ初診時との比較になっています。
※画像をクリックすると大きくみることができます。
まずは頚部から。
つづいて、胸部です。
続いて、腹部。
続いて、右前腕、そして左前腕です。
続いて、後肢です。
※この後肢のみ、初診時との比較です。
続いて、左耳、そして右耳です。
非常に毛並みが綺麗になりましたね!
それでは振り返って、「初診時に何を診極める必要があったのか?」・・・
1つ目は、何より重症なのは主症状でもある「痒み」の改善、すなわち表面上の皮膚炎のコントロールです。
フケ・皮脂、湿疹、炎症、皮膚の肥厚などの改善が急務です。
これらの症状を最短で改善するには何を行えばいいのか?、検査結果のいかんにかかわらず初診時に把握しておかなければいけません。
2つ目は「皮膚炎以外に何が隠れているのか?」です。
ただ、この「皮膚炎以外の隠された疾患」ですが、この疾患への治療なく2週間の治療結果はでたのですから、結果としても「基礎疾患へのアプローチはなくとも改善は可能」ということになります。
それでもこの基礎疾患があったがためにここまで重症化したのも事実のため、初期の治療で症状が緩和でき次第、次の治療にシフトしていくのがベストでしょう。
初診時にこの隠された疾患を診極めつつ、あとから追加しても十分に改善するという診通しをたてておくのも重要なポイントだったと思います。
今回の症例でも初診時、再診時に院内で薬浴を行いました。
スキンケア、体質管理のサプリメントも重要なケアと考えています。
投稿者:
2015.11.07
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
あっ・・・・・という間に1週間が経ちました。
明日は下町ロケット、前回以上に手に汗握る展開になりそうで麻衣子先生と一緒に楽しみにしています!
さて、今日はいつもの症例とはちょっと違った雰囲気の症例を紹介します。
症例はミニチュアダックスフンド、痒みを主訴に来院されました。
もちろん痒みの治療を行って、100%とはいえなくもそこそこのレベルまで改善しました・・・・が、
比較的短期間で再発する、または当初の予想以上の治療継続が必要という状態が続きました。
そこで元々気になっていた「脱毛症」を再評価することに・・・
この脱毛症、受診当初から認められたのですが、飼主さまからの主訴になかった(こういうものと思っていたそうです)ので痒みの治療を最優先にして、脱毛症は後からやりましょうという流れにしていました。
しかし再発頻度も気になったため、脱毛症が関係しているのでは?と疑い、脱毛症の治療を始めました。
その前後を紹介します。
え?脱毛症??
そんな感じがしますよね。
でもこれは初診時の時点で主訴になくても「脱毛がある」と把握しておかなければいけません。
もちろんこの脱毛症は「美容上の問題で、治療の必要はない」といわれていますが、それは教科書上の話です。
証明はされていませんが、この脱毛症はただ毛が少なくなるだけで美容状の問題だけではなく、皮膚コンディションの低下を引き起こすものと考えていて、理論上のそうですがいずれそれを実証されるレポートがでると確信しています。
では、治療後の状態をみてみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
一見「首から毛が生えた」「耳の飾り毛が増えた」だけ・・に見えますが、重要なのはそこではありません。
この治療により全身の皮膚コンディションが改善し、痒みの治療成績が改善し、ほとんど投薬治療が必要いらないレベルに到達しました。
何がいいたいのかというと、
「現在の動物医療ではこの脱毛症が『美容上の問題であり、治療するかしないかは飼主の希望に沿う』と定義されていることにより、疾患としての治療の意味が過小評価され皮膚病全体の治療成績低下の要因になっている。」
ということです。
あともう一つは、
本当は「被毛を含めた皮膚に影響を及ぼす疾患であり、皮膚コンディションの低下および脱毛を引き起こす疾患」であるにも関わらず、脱毛症という名前にまどわされ「毛が抜けるだけの病気」と獣医師が誤解していることです。
そのため想像以上に見落とされている可能性が高いです。
はい、僕も過去10年間ほとんどアプローチしていませんでした。
そしてたくさん見過ごしていたと思います。
中には明らかな脱毛症が認められず、皮膚コンディションの低下・毛質の変化だけという症例もかなりいます。
教科書的な診断名の「脱毛」という命名がよくないのだと思います。
脱毛であり、美容上の問題であり、治療はしなくてもQOL(生活の質)には影響ない・・・・・
教科書にそうかかれてしまうと軽視されるのも仕方ないで、今後の改善を期待しましょう。
「教科書では病気は治らない」というのが僕の口癖なのですが、やはり本を読むだけでなく、皮膚をよく診ること・・・これに尽きます。
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