2017.12.07
シーズーのアトピー・アレルギー性皮膚炎、脂漏症を伴うマラセチア性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
シーズーの皮膚病治療、特にシャンプー療法(スキンケア)に力をいれている当院ですが、スキンケアだけで皮膚病がなんでもよくなると思っているわけではありません。
サプリメントもしかり、当院ではスキンケア&サプリメントを推奨していますが、このスキンケア&サプリメントで皮膚病が治ると思っていたら病院を閉めています。
今でもクリニックとして皮膚科治療を行っているのには理由があります。
今日はそんな医療(治療)がなければ改善しない、というシーズーの症例報告です。
【症例】
8歳 シーズー 避妊雌
【経過】
〇約5年前から慢性的な皮膚病
〇1年前までステロイドを1日1回投与(約3年間継続投与)
〇9か月前からアポキルを1日2回投与開始
〇1か月前からアポキル1日2回に加えて、シクロスポリン1日1回投与併用開始
それでは初診時の状態を紹介します。
今回は来院時の状態のまま、毛をカットする前のコンディションを紹介します。
まずは正面から。
続いて、頚部とその拡大。
続いて、胸部~腹部とその拡大。
身体全体の右側面。
続いて、身体全体の左側面。
続いて、右後肢。
続いて、左後肢の膝~脛の付近。
同じく左後肢の側面拡大。
初診時から約5か月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックするとおおきくすることができます。
5か月というのは当院の中でもやや長めですが、見違えるような劇的な改善です。
今回も「スキンケアとサプリメントが重要で・・・」と言いたいところですが、このレベルの皮膚疾患をスキンケア&サプリメントだけ改善するのは正直かなり困難です。
今回の症例では投薬治療を含めて、全総力をあげての治療となりました。
院内薬浴も初期は週1回、その後も2~3週間に1回、投薬治療も同様です。
確かにスキンケア&サプリメントも非常に重要ですが、初期治療にはお薬の力がかかせません。
なにせ1年間アポキルを1日2回も服用して、さらにシクロスポリンを併用して改善しなかった症例ですので、相当な体質なのはご理解いただけるかと思います。
参考までに当院でこういった脂漏症のシーズーちゃんに推奨しているスキンケアとサプリメントは以下のオンラインショップでお求めいただけます。
あくまで適切な診断・治療の上でご利用ください。
では何が足りなかったのか?
当院ではどのような投薬内容を行ったのか?
1年間1日2回投与したアポキルをどう考えるべきか・・・?
ステロイドの副作用と考えらえる脱毛はなぜ投薬中止後1年たっても改善しなかったのか?
当院ではこういった難治性皮膚病の症例をどうみていくのか、定期的に勉強会を開催したり獣医師向けの診療レポートを作成しています。
今回の症例でも診療レポートを作成して配信する予定です。
スキンケアとサプリメントを含めて提携をご希望の方はお問い合わせください。
※皮膚科のない動物病院に限ります。
投稿者:
2017.12.04
シーズーのアトピー・アレルギー、マラセチア性脂漏性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
12月に入り、病院も随分と落ち着いてきました。
この余裕のある時期を利用して症例報告、執筆などいろいろやっていこうと思います。
【症例】
シーズー 7歳4ヶ月 女の子(避妊済)
【経過】
〇2歳頃から痒み
〇季節性があり、夏が最も悪化する
〇アポキルを1日1回ないし2回服用しているがよくならない
それでは初診時の状態、毛をカットしました。
続いて、頸部とその拡大です。
続いて、右前肢
続いて左前肢。
続いて、胸部。
続いて、左脇の拡大。
続いて、内股。
続いて、膝周囲(右と左)。
初診時から6週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
痒みは元々の10分の1までへりました。
赤み、フケ、臭いほぼありません。
参考までにアポキルは当院でも処方したので、アポキルが効かないわけではありません。
治療に必要なのはアポキルだけではない、がより適切な答えですね。
不足していた治療は大きく3つです。
まずは当院のヒーリングケアLFプラス、そしてスキンケア、残りは・・・院内薬浴です。
薬用=スキンケアではないのもポイントの一つです。
あくまで投薬治療が必要なタイプではありますが、投薬治療に足りない分は当院のスキンケア&サプリメントが非常に相性がいいと思います。
投稿者:
2017.11.10
シーズーのアトピー&アレルギー性皮膚炎、脂漏性マラセチア性皮膚炎などの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院の治療ブログでもたびたび登場している「アポキル」というお薬ですが、基本的には効果が出やすく副作用が少ないため非常に使いやすいお薬といえます。
ただどんな痒みでも抑えることができるか?というとそうではなく、効きにくい痒みもあります。
そのため診療では「アポキルが抑える痒みかどうか?」の判定と、「アポキルで抑えられない痒みにどうアプローチするのか?」の腕が非常に重要といえます。
今回紹介するのは「アポキルで改善するが、抑えきれない痒み」についての症例です。
【症例】
シーズー 8歳 女の子
【経過】
〇1年前半まえから当院で治療開始し、薬浴・アポキルによって著しい改善を認める。
〇ここ数ヶ月、内股の痒みが強く、従来どおりの投薬治療で改善が認めらにくい
それでは、初診時から約1年半後の状態を紹介します。
顔・頚部・四肢はほぼ正常に近いところまで改善しています。
問題は内股、特に右の内股が皮膚炎をおこしています。
右に比べて左に同じような皮膚炎は認められません。
従来どおりの治療を継続していても改善が認められない場合は、新しいアプローチが必要です。
当院の初診からこの日まで使ったことがない別の治療法を併用しました。
約1ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
赤み、痒みともにほぼ消失しました。
アポキルを毎日服用していても抑えられなかったかゆみが、新しい投薬治療により数日で消失しました。
「アポキルが効かない」ではなく、アポキルも効果的だったが、すべての痒みを抑えるわけではないということです。
アポキルを処方するときにはこのアポキルによりどの部位の痒みがどの程度抑えられるのかを予測した上で、さらに「改善がなかった次の手」を準備して処方するようにしています。
「アポキルが効かなければお手上げ」とならないためにも痒みの原因を診極める必要があります。
今回の治療に併用したサプリメントは当院のヒーリングケアLFプラスです。
ヒーリングケアLFプラスは投薬治療の補助、アポキルの減量に非常に有効と考えています。
今回のシーズーの脂漏性マラセチア性皮膚炎の院内薬浴にしようしているスキンケア商品とサプリメントは以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
正確な診断、適切な投薬治療があってこそのスキンケア&サプリメントですので、遠方にお住まいの方は当院の遠隔診療とご一緒に継続されることをお勧めしています。
また、当院では個人動物病院向けに、皮膚科の診療提携を行っています。
診断・治療内容、スキンケア商品・サプリメントについて提携をご希望の方はお問い合わせください。
投稿者:
2017.02.19
脂漏性マラセチア性皮膚炎になりやすいシーズーの皮膚病治療にスキンケアを取り入れいている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
2016年の夏に新しいお薬が発売されてこのタイプの皮膚病がぐっと減るのではないか・・・と予測していたのですが、今のところあまり大きな変化はありません。
効かないわけではないのですが、1つのお薬単独で劇的な改善があるわけでもないので、やはりスキンケアがなければいいお薬も生かされないのだろうと思います。
【症例】
シー・ズー 7歳 男の子(去勢済み)
【症歴】
〇3年前から続く慢性的な皮膚病
〇1年中発症しているが、特に梅雨~夏に悪化する
まずは初診時の状態をみてみましょう。
被毛が多いと皮膚コンディションが診え難いのと、スキンケアの効果メリットを考えて全身をカットさせていただきました。
それでは治療後の状態を、初診時及びカット後の状態と比較して見ましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
上記でも軽く触れましたが、こういったタイプでは投薬治療が有効なため、当院でもいろいろ組み合わせて処方するのですが、「スキンケアなくして改善なし」は共通です。
その理由は当院に特別なお薬があるわけではなく、処方するほぼすべてのお薬がどんな動物病院でも日常的に処方されているものだからです。
今回処方した内服も、どの動物病院でも処方されているタイプのものです。
そのため治療の差で「今までなかったもの」については、「スキンケア」と「サプリメント」くらいだと思います。
医療において魔法のようなお薬はありませんので、すべての治療パーツを組み合わせてはじめていい治療効果を生み出します。
内服の組み合わせやタイミングを変えることでコントロールしやすくなることもあるので、それは皮膚の経過・コンディションをみながら、経験を生かして変化をつけていきます。
当院で使用しているスキンケアとサプリメントは以下のオンラインショップからでもお買い求めいただけます。
適切な医療とともに併用することで相乗効果を生むことができると思います。
また、当院ではこのタイプのわんちゃんにも遠隔診療を提供しています。
投稿者:
2016.12.02
名古屋・愛知で皮膚病治療を専門に行っている動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
シーズーといえば難治性皮膚病が多くで、原因にはマラセチアと脂漏症・・・・・・・教科書的に書くとこうなります。
間違いではなく、マラセチアが関連した皮膚病ですし、脂漏症が起きやすいことで悪化しやすく、治りにくくなっています。
しかしマラセチアをなんとかすることが治療ではありません。
脂漏性マラセチア性皮膚炎という理由で治療が「抗脂漏シャンプー」と「抗真菌剤シャンプー」と「抗真菌剤」に・・・一見理にかなっているようですが、こう考えるからまったく改善しない症例がいます。
そのため難治性といわれていますが、実は治療はいたってシンプルです。
今日はそんな典型的な症例報告です。
【症例】
シーズー 7歳3ヶ月 男の子(去勢手術済み)
【症歴】
〇5年前(2歳)に痒み、赤みが発症
〇他院で抗生物質、ステロイド、ステロイドスプレーをもらったが治らない
それでは初診時の状態そのままの姿です。
まずは正面から。
続いて頚部。
同じく頚部の拡大。
続いて胸部です。
続いて、右前肢です。
続いて、右前肢(手首あたり)の拡大です。
続いて、膝~足先です。
続いて後肢の甲の部分拡大です。
続いて右後肢の甲の拡大です。
この初診時からわずか5週間後、比較してみましょう。
※画像をクリックすると大きくみることができます。
飼主さまからは「赤みも痒みも極端に減った」と喜んでいただけました。
スキンケアも重要で、当院から免疫のためのサプリメントも併用しています。
もちろん投薬治療、当院での薬浴もとても改善に役に立ったと思います。
1つも欠けてはいけない治療の組み合わせです
投稿者:
2016.11.22
痒みを伴う皮膚病治療を専門に行う動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
1年のピークである10月が過ぎ去り、時間の余裕がでてきたので症例報告に力をいれていきます。
当院では圧倒的にフレンチブルドッグ、シーズー、柴犬の痒みを伴う皮膚病治療が多いのですが、この3犬種の中で最も治療しやすいのが「シーズー」です。
今日はそんな治療が簡単な、典型的なシーズーの難治性皮膚炎「脂漏性マラセチア性皮膚炎」の治療紹介です。
「診断は瞬間、治療は最速」でのぞみます。
【症例】
シーズー 7歳 男の子(去勢済み)
【経過】
〇2年前から発症
〇一年通じた痒みの継続(2年間改善したことがない)
〇過去に3件の動物病院を受診するも改善なし
まずは初診時の状態、毛が多かったため治療のためにも毛をカットさせていただきました。
つづいて、頚部。
つづいて、右前腕。
同じく右前肢の先端。
続いて、左前肢先端。
続いて、後ろ足。
同じく後ろ足の拡大、順番に左、右です。
重度の脂漏性皮膚炎で、足先はパンパンに腫れています。
この初診時からわずか17日後、初診時と比較してみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
痒み・フケ・臭い・見た目、すべてにおいてパーフェクトだと思います。
飼主さまも「すごく良くなった!痒がるのが珍しい!」、「去年のこの時期は足がはれて痛くて歩けなかったくらい」と喜んでいただけました。
また治らなかった2年間、わんちゃんがずっと掻いている姿に「見てみぬフリをするしかなかった」というつらい過去を・・・でも笑顔でお話してくださいました。
本当によくなってよかったです。
シーズーの典型的なこの脂漏性マラセチア性皮膚炎では「やってみなければわからない」ではなく、確信をもって望んでいます。
「よくならないイメージが湧かない」
大事なポイントの一つがスキンケアとサプリメントです。
投稿者:
2016.11.14
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
晴れていると暖かく過ごしやすい1日ですが、日中に陽が当たらないと夜には寒さを感じますね。
さて、今日紹介するのは関西からの受診のわんちゃんです。
【症例】
シーズー 14歳 女の子(避妊手術済み)
初診時の状態をみてみましょう。
シーズーで治り難い特徴である、脂漏とマラセチアの典型症例です。
初診時に検査と処方、そして院内薬浴を行い24日後に再診に来ていただきました。
その比較を紹介します。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
シーズーの皮膚病に多く認められる臭い、フケ、脂っぽさ、痒みの全てにおいて劇的な改善が認められました。
一般的に「脂漏性マラセチア性皮膚炎」といわれているシーズーの皮膚病の典型で、教科書的には「シャンプーをこまめに(3日に1回)」、マラセチア対策に抗真菌剤の内服と抗真菌剤入りシャンプー」と書かれていますが・・・・・・・そもそもそれで治れば苦労しないわけで、まったく異なるアプローチをします。
それでもこの典型的なタイプであれば「改善しなかった例がない」レベルまで治療成績が高くなっています。
薬を飲んでもよくならない、シャンプーしても数日後には臭いと大量のフケが・・・・でお困りの方は当院までご相談ください。
投稿者:
2015.03.15
こんにちは、四季の森どうぶつクリニック院長平川です。
昨日スキンケア商品とサプリメントの紹介をしましたが、今日はこれに絡めて皮膚病の再発防止についてお話します。
治療を行うことで改善するのは当然として、治療を終了もしくはフェードアウトしていくとどうでしょうか?
そのまま再発がないにこしたことはありませんが、当院を受診するわんちゃんは重要例が多いためやはり再発は十分に考えなければいけない症例の方が多いのが現状です。
そのため治療がうまくって、お薬をなくして治療レベルを落としていくときにはこの再発の可能性を十分に考慮しながら治療をやめていきます。
大事なのは「再発したらまた同じ治療をしましょうね」ではなく、「再発したら次どうするのか?」を考えながら治療をやめていくことです。
今回紹介する症例はこの再発についての症例報告です。
経過は非常に長いのですが、
①最初のアプローチは投薬、薬浴で徐々に改善
②十分に改善しているところで徐々に治療薬からフェードアウト、そして薬浴の間隔を長くする
③治療レベルを落としたところ再発
④治療を再開するが、最初の治療方針とは異なるアプローチをする
という概要です。
参考までに今回の症例は以前簡単に紹介している症例です。
⇒ プチ症例報告
それでは再発時の状態をみてみましょう。
病変は体幹部、背中からみていきます。
次に頚部のやや右から。
続いて腹部の右側面から。
皮脂・フケが多いためシャンプーで除去すると皮膚炎のレベルがよくわかりますので、シャンプー後の状態をみてみましょう。
やや左から。
ここから2週間後です。
実際によくみると病変がないわけではなく、個人的にはまだあるという評価ですが、初診時と同じ条件の写真で比較すると随分ときれいになっているのがわかると思います。
では今回の2週間は初診時と同じ治療をしたのか?というと実は違います。
もちろん同じ治療をほどこしても改善するとは思うのですが、同じことをしてしまうと治療のフェードアウトのときに今回と同じ再発を招いてしまいます。
そのため次は再発防止を意識して別のアプローチが必要になってきます。
今回は言葉では悪く聞こえてしまうかもしれませんが「再発必至ですが、それでも再発を前提にあえて治療からフェードアウトしましょう」としました。
もちろん僕の中では同時に「再発したら次のアプローチはこう!」というのを決めて望みました。
参考までに使用したのは先日も紹介した改良に改良を重ねたサプリメントです。
元々外用薬も併用していたのですが、外用薬だけで効果がでたのでは?という点については、外用薬を体幹の右半分の局所のみとしたため、全体が改善したことを考慮するとサプリメントが十分に効果がでたのではないかと思います。
投稿者:
2014.10.13
☆シーズーの難治性皮膚病症例報告☆
こんにちは、四季の森どうぶつクリニック院長平川です。
当院を受診するわんちゃんで圧倒的に多いのがフレンチ・ブルドッグ、柴犬、そしてシーズーです。
それぞれ独特の体質があり、犬種によって診療スタイルを変えているのですが「シーズー=〇〇〇」という型にはまった診療をしているわけではありません。
確かにシーズーが10件来院したら7~8件は典型的な病態であることは事実ですが、時にそうでない疾患もあります。
今回はそんな「シーズーだからといってすべてが同じとは限らない」という症例報告です。
【症例】
シーズー
【経過】
〇数年前から内股・四肢を中心に痒みを伴う皮膚病。
〇梅雨~夏が最も悪化し、冬はそれほど悪くない
〇今年の冬から頭、首など全身の悪化
初診時の状態と、病変部を正確に把握するためと治療のために全身カット後の状態をみてみましょう。
まずは全体から。
正面からみると一見重症の皮膚疾患にはみえませんね。
右腕をみてみましょう。
同じく右前腕の拡大。
そして右前肢甲の拡大。
続いて、左前肢とその拡大。
続いて、背中の全体。
頭部の背側面。
胸部背側の脱毛部位の拡大です(被毛をカットしたわけではありません)。
最後に内股。
病変部を正確に評価するためと、治療のため全身のカットを行いました。
ここから5週間後の状態を比較してみましょう。
実はこのシーズー、非常に複雑な病態(病気の原因)をもっています。
まずは数年前から抱えている慢性、再発性の皮膚病です。
もちろんその時点で診ていたわけではないので予測に過ぎませんが、おそらく当院でよく紹介している脂漏性マラセチア性皮膚炎が内股・四肢を中心に認められたのだと思います。
またアトピー性皮膚炎が悪化因子としてあってもおかしくありません。
脂漏性マラセチア性皮膚炎や、アトピーがあると梅雨~夏が最も悪化しますので、去年まではそうだったのだと思います。
では当院を受診するきっかけになった今年の冬から悪化したこの皮膚病はというと、顕著な悪化が頭部・頚部・背中に認められました。
これは非常に特徴的な病変(見た目)なのですが、毛包虫(ニキビダニ)という病気です。
・・・と、ここまでは当院を受診する前の病院で診断がついていました。
にもかかわらずなぜ当院を受診するほどの難治性になってしまった理由はなぜなのか?も問題なのですが、もう一つ考えるべきことがあります。
『なぜ毛包虫が発症したのか?』
治療も大事ですが、個人的に今回の症例で重要なポイントの1つはここです。
これもおそらくですが、去年までは毛包虫はなかったと思われます。
シーズーは毛包虫の好発犬種であることはよくしられていますが、中高齢から発症についてはそれまでなかった基礎疾患があるのでは?と考えた方がいいでしょう。
甲状腺機能低下症と副腎皮質機能亢進症(クッシング)の有無はチェックしていきます。
※ここから先は専門用語が頻繁にでてくるため、ご注意ください。
まず甲状腺機能低下症の判定のために甲状腺ホルモン濃度を測定します。
同時に副腎皮質機能亢進症(クッシング)の評価のために、腹部超音波画像検査で副腎サイズ測定と尿検査「尿コルチゾール/クレアチニン比」を測定します。
また甲状腺機能はユーサイロイドで誤診が多くなるため、超音波画像で甲状腺も一緒にみておくとよりベターだと思います。
※甲状腺を超音波で評価するにはリニアプローブが必要になります。
ACTH刺激試験について、これは好みで別れるとは思いますが、個人的には偽陽性・偽陰性も多く、信頼性が低い検査であるため、画像と尿検査の結果をみてからの方がいいと思います。
※同時にしても悪いことではありませんが、そう急ぐ必要性はないです。「急ぐ必要性はない」という理由はこの後の説明で伝わると思います。
「尿コルチゾール/尿クレアチニン比測定」は回り道のような気もするかもしれませんが、もし尿コルチゾール/尿クレアチニン比でクッシングを否定することができれば判定に悩む検査を行う必要性もなくなります(ACTHの疑陽性を排除できる)し、甲状腺の数値の信頼性も高くなります。
※甲状腺機能が正常であってもクッシングがあることで甲状腺ホルモン濃度が下がることが多いため。
もちろん診た目が皮膚の石灰化や脱毛症など、「いかにもクッシング」であれば初診時にACTH刺激試験から入りますが、今回のような「いかにもクッシング・・・とまではいかない症例」では初診時でなくてもいいと思っています。
現に今回の症例では
①甲状腺ホルモン濃度が明らかに低かったためユーサイロイドの可能性を考えつつも投薬治療開始
②尿コルチゾール/尿クレアチニン比が8を超えていたためACTH刺激試験を実施
③ACTHのPost値は13と明らかに正常値であったが、信頼性は低いためLDDS試験を実施
④LDDS試験では4時間後、8時間後ともに抑制されていなかったため副腎皮質機能亢進症と診断
となったのですが、この④のLDDSの検査結果が出揃い『副腎皮質機能亢進症』と確定できたのは、この治療後を撮影した5週間後でもあります。
要するに副腎皮質機能亢進症の判定ができなくともここまでの治療結果はだせるため、初診時にACTHが最優先だったか?というと個人的には皮膚コンディションをある程度改善してからの方が誤診につながらなくていいのでは?と思っています。
※ここまで悪化した皮膚コンディションでは、体調もベストではないため、初診時にACTH刺激試験を行っても検査結果に影響がでることも考慮して。
そして今回の症例に限らずACTH刺激試験を行う時の注意点ですが、ACTH刺激試験でクッシングを否定することは非常難しいため「クッシングかどうか?」のための検査として用いては誤診につながると思います。
あくまで「さまざな条件(症状・皮膚所見・一般血液検査・尿検査)でクッシングが疑わしいため、確定のためにACTH刺激試験を行い、異常値であればもちろん確定。もし正常値であればLDDS試験を行い偽陰性を拾う。」と考えていた方がいいと思います。
LDDS試験もまた先生によって見解が分かれるのですが、ACTH刺激試験の黒だけがクッシングであれば絶対治せない症例がでてくると思います。
それを「クッシングとは言えない『クッシング風の皮膚病』で内分泌疾患としては認められない」であればそれは学術的・教科書的であって医療ではない・・・と思っています。
クッシングの診断では今でも悩むことが多いため、5年後には違うことを話しているかもしれませんけどね(苦笑)
・・・で、一つ残っていることがありますよね?
そう、内股の皮膚病です。
実はこれはまだ改善していません。(多少は改善しています。)
理由はこの内股はニキビダニでもクッシングでもなく、元々あった脂漏性マラセチア性皮膚炎(または+アトピー)だからです。
※さらなる悪化の要因にはなっていますが、クッシングになる以前から認められています。
そこで必要になってくるのが・・・・・・・もちろん当院の薬浴です。
ところでこの5週間で薬浴していないか?といえば実は2回実施しています。
でもそれは毛包虫対策の薬浴で、脂漏性マラセチア性皮膚炎のための薬浴ではありません。
薬浴内容は診断名や皮膚コンディションで異なるため、それぞれに適した薬浴内容となっています。
この5週目の撮影後に行った3回目の薬浴は毛包虫対策の薬浴ではなく脂漏性マラセチア性皮膚炎のための薬浴としました。
おそらく次回には随分と改善しているでしょう。
最後まで読んでくださった方、お疲れ様でした。
投稿者:
2014.08.25
こんにちは、四季の森どうぶつクリニック院長平川です。
崩れやすい天候が続いていますが、ようやく暑さのピークを越えたような気がしますね。
さて、最近は診療に関することをまったく書いていなかったので、簡単な報告をしようと思います。
症例はシーズーです。
来院時、ツルツルの皮膚でしたが、綺麗な被毛が再生しています。
現在も継続治療中なので、もっともっと改善すると思います。
ブログランキングに参加しています♪
応援していただける方は下のボタンを押してください♪
投稿者: