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【シーズーの皮膚科専門外来】検査と治療の同時進行

2014.10.13

☆シーズーの難治性皮膚病症例報告☆

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック院長平川です。

当院を受診するわんちゃんで圧倒的に多いのがフレンチ・ブルドッグ、柴犬、そしてシーズーです。

それぞれ独特の体質があり、犬種によって診療スタイルを変えているのですが「シーズー=〇〇〇」という型にはまった診療をしているわけではありません。

確かにシーズーが10件来院したら7~8件は典型的な病態であることは事実ですが、時にそうでない疾患もあります。

今回はそんな「シーズーだからといってすべてが同じとは限らない」という症例報告です。

【症例】

  シーズー

【経過】

 〇数年前から内股・四肢を中心に痒みを伴う皮膚病。
 〇梅雨~夏が最も悪化し、冬はそれほど悪くない
 〇今年の冬から頭、首など全身の悪化

初診時の状態と、病変部を正確に把握するためと治療のために全身カット後の状態をみてみましょう。

まずは全体から。

正面からみると一見重症の皮膚疾患にはみえませんね。

右腕をみてみましょう。

同じく右前腕の拡大。

そして右前肢甲の拡大。

続いて、左前肢とその拡大。

続いて、背中の全体。

頭部の背側面。


※画像をクリックすると大きくすることができます。

胸部背側の脱毛部位の拡大です(被毛をカットしたわけではありません)。

最後に内股。

病変部を正確に評価するためと、治療のため全身のカットを行いました。


※画像をクリックすると大きくすることができます。

ここから5週間後の状態を比較してみましょう。


※画像をクリックすると大きくすることができます。


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※画像をクリックすると大きくすることができます。


※画像をクリックすると大きくすることができます。

実はこのシーズー、非常に複雑な病態(病気の原因)をもっています。

まずは数年前から抱えている慢性、再発性の皮膚病です。

もちろんその時点で診ていたわけではないので予測に過ぎませんが、おそらく当院でよく紹介している脂漏性マラセチア性皮膚炎が内股・四肢を中心に認められたのだと思います。

またアトピー性皮膚炎が悪化因子としてあってもおかしくありません。

脂漏性マラセチア性皮膚炎や、アトピーがあると梅雨~夏が最も悪化しますので、去年まではそうだったのだと思います。

では当院を受診するきっかけになった今年の冬から悪化したこの皮膚病はというと、顕著な悪化が頭部・頚部・背中に認められました。

これは非常に特徴的な病変(見た目)なのですが、毛包虫(ニキビダニ)という病気です。

・・・と、ここまでは当院を受診する前の病院で診断がついていました。

にもかかわらずなぜ当院を受診するほどの難治性になってしまった理由はなぜなのか?も問題なのですが、もう一つ考えるべきことがあります。

『なぜ毛包虫が発症したのか?』

治療も大事ですが、個人的に今回の症例で重要なポイントの1つはここです。

これもおそらくですが、去年までは毛包虫はなかったと思われます。

シーズーは毛包虫の好発犬種であることはよくしられていますが、中高齢から発症についてはそれまでなかった基礎疾患があるのでは?と考えた方がいいでしょう。

甲状腺機能低下症と副腎皮質機能亢進症(クッシング)の有無はチェックしていきます。

  ※ここから先は専門用語が頻繁にでてくるため、ご注意ください。

まず甲状腺機能低下症の判定のために甲状腺ホルモン濃度を測定します。

同時に副腎皮質機能亢進症(クッシング)の評価のために、腹部超音波画像検査で副腎サイズ測定と尿検査「尿コルチゾール/クレアチニン比」を測定します。

また甲状腺機能はユーサイロイドで誤診が多くなるため、超音波画像で甲状腺も一緒にみておくとよりベターだと思います。
※甲状腺を超音波で評価するにはリニアプローブが必要になります。

ACTH刺激試験について、これは好みで別れるとは思いますが、個人的には偽陽性・偽陰性も多く、信頼性が低い検査であるため、画像と尿検査の結果をみてからの方がいいと思います。
※同時にしても悪いことではありませんが、そう急ぐ必要性はないです。「急ぐ必要性はない」という理由はこの後の説明で伝わると思います。

「尿コルチゾール/尿クレアチニン比測定」は回り道のような気もするかもしれませんが、もし尿コルチゾール/尿クレアチニン比でクッシングを否定することができれば判定に悩む検査を行う必要性もなくなります(ACTHの疑陽性を排除できる)し、甲状腺の数値の信頼性も高くなります。
※甲状腺機能が正常であってもクッシングがあることで甲状腺ホルモン濃度が下がることが多いため。

もちろん診た目が皮膚の石灰化や脱毛症など、「いかにもクッシング」であれば初診時にACTH刺激試験から入りますが、今回のような「いかにもクッシング・・・とまではいかない症例」では初診時でなくてもいいと思っています。

現に今回の症例では

①甲状腺ホルモン濃度が明らかに低かったためユーサイロイドの可能性を考えつつも投薬治療開始
②尿コルチゾール/尿クレアチニン比が8を超えていたためACTH刺激試験を実施
③ACTHのPost値は13と明らかに正常値であったが、信頼性は低いためLDDS試験を実施
④LDDS試験では4時間後、8時間後ともに抑制されていなかったため副腎皮質機能亢進症と診断

となったのですが、この④のLDDSの検査結果が出揃い『副腎皮質機能亢進症』と確定できたのは、この治療後を撮影した5週間後でもあります。

要するに副腎皮質機能亢進症の判定ができなくともここまでの治療結果はだせるため、初診時にACTHが最優先だったか?というと個人的には皮膚コンディションをある程度改善してからの方が誤診につながらなくていいのでは?と思っています。
※ここまで悪化した皮膚コンディションでは、体調もベストではないため、初診時にACTH刺激試験を行っても検査結果に影響がでることも考慮して。

そして今回の症例に限らずACTH刺激試験を行う時の注意点ですが、ACTH刺激試験でクッシングを否定することは非常難しいため「クッシングかどうか?」のための検査として用いては誤診につながると思います。

あくまで「さまざな条件(症状・皮膚所見・一般血液検査・尿検査)でクッシングが疑わしいため、確定のためにACTH刺激試験を行い、異常値であればもちろん確定。もし正常値であればLDDS試験を行い偽陰性を拾う。」と考えていた方がいいと思います。

LDDS試験もまた先生によって見解が分かれるのですが、ACTH刺激試験の黒だけがクッシングであれば絶対治せない症例がでてくると思います。

それを「クッシングとは言えない『クッシング風の皮膚病』で内分泌疾患としては認められない」であればそれは学術的・教科書的であって医療ではない・・・と思っています。

クッシングの診断では今でも悩むことが多いため、5年後には違うことを話しているかもしれませんけどね(苦笑)

・・・で、一つ残っていることがありますよね?

そう、内股の皮膚病です。

実はこれはまだ改善していません。(多少は改善しています。)

理由はこの内股はニキビダニでもクッシングでもなく、元々あった脂漏性マラセチア性皮膚炎(または+アトピー)だからです。
※さらなる悪化の要因にはなっていますが、クッシングになる以前から認められています。

そこで必要になってくるのが・・・・・・・もちろん当院の薬浴です。

ところでこの5週間で薬浴していないか?といえば実は2回実施しています。

でもそれは毛包虫対策の薬浴で、脂漏性マラセチア性皮膚炎のための薬浴ではありません。

薬浴内容は診断名や皮膚コンディションで異なるため、それぞれに適した薬浴内容となっています。

この5週目の撮影後に行った3回目の薬浴は毛包虫対策の薬浴ではなく脂漏性マラセチア性皮膚炎のための薬浴としました。

おそらく次回には随分と改善しているでしょう。

最後まで読んでくださった方、お疲れ様でした。


四季の森どうぶつクリニック
獣医師  平川将人

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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