2018.08.04
シーズーの脂漏症・マラセチア性皮膚炎・ニキビダニ(毛包虫・アカラス)といった皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
シーズーの皮膚病は非常にシンプルですが、負のスパイラルが回りだすと非常に重症化して何をどうすればいいのか優先事項がわからなくなることがあるため難治性になりやすい傾向があります。
シーズーの皮膚病はこれを把握すれば10中8,9うまくいきます。
〇膿皮症
〇マラセチア性皮膚炎
〇脂漏症
〇アトピー
〇食物有害反応
〇心因性掻痒症
〇内分泌疾患
〇毛包虫(アカラス、ニキビダニ)
平均で4~5つありますので、治療成功の秘訣は1つも漏らさず診断して、優先順位を間違わないことです。
当院でのシーズーの皮膚病改善率が100%なのはこの診断と優先順位の診極めだと思います。
【症例】
シーズー 4歳 女の子(不妊手術済)
【経過】
〇今までずっとアトピーと言われていた
〇食事療法している
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは正面から。
続いて、顔の左側です。
続いて、顔の左側です。
続いて、頚部とその拡大です。
続いて、前胸部です。
続いて、右前肢です。
続いて、左前肢と腕、肢端の拡大です。
続いて、胸部です。
続いて、腹部です。
続いて、右後肢と左後肢です。
続いて、側面とその拡大です。
それでは初診時から6週間後の状態と比較してみましょう。
痒みは皆無に近く、非常に元気になって体調も絶好調になったそうです。
診断は、毛包虫(ニキビダニ、アカラス)、脂漏性マラセチア性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、食物有害反応です。
このタイプに心因性は含まれていません。
こういった症例では治療に順番があり、毛包虫からアプローチして、マラセチアとアトピー対策を次に行います。
食物有害反応に対する食事療法は初回からでもいいと思います。
今回のポイントは、
①初診時に毛包虫(ニキビダニ、アカラス)を確実に見つけること
②併発疾患であるアトピー・脂漏・マラセチアより毛包虫に対しるアプローチを先に行うこと
③初期の毛包虫に対する治療から途中でアトピー・脂漏・マラセチアよりの治療にシフトすること
④初診時ないし2回目に毛のカットと薬浴を行うこと
だと思います。
投薬治療が必須の症例ですが、スキンケア&ECは非常に重要だと思います。
投稿者:
2018.07.30
チワワの痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院では「初診時の診極め」として診た瞬間の判断を最優先に治療しています。
基本的には初診時の想定範囲内で治療結果がでるのですが、まれに後から方向性の変更や追加をしなければいけない時もあります。
今回は当院では非常にめずらしいのですが、治療の途中で「初診時に組み立てた治療方針に1つ加える必要があった症例」です。
【症例】
チワワ 1歳10カ月(初診時) 女の子(不妊手術済)
【経過】
〇生後半年くらいからフケをみとめ、近医にて脂漏症と言われる
〇1カ月前から痒み(&傷)にて他院にて治療開始
〇傷防止のためエリザベスカラーが外せていない
〇痒みは「喉」を1日中かく
〇耳の外の毛がベタベタ
〇身体のフケ
初診時の状態からみてみましょう。
声を出して掻く&傷だらけになるという理由でエリザベスカラーをつけています。
続いて耳(右耳を後方から)です。
続いいて頚部、軽度にみえて強い痒みで傷になりやすい部位です。
続いて、胸です。
それでは初診時から約10か月後の状態と比較してみましょう。
「劇的」という比較ではないのですが、痒みの緩和ができ、エリザベスカラーを外すこともできるようになっています。
掻くことは掻くのですが、以前は掻き壊して傷になっていたレベルが緩和でき、今はもう傷になるような痒みはありません。
今回は初診時に「心因性」と判断してアポキル&心因性のダブル治療で臨んだのですが、前半で3カ月で明確な改善が認めらませんでした。
初診時から3カ月の時点である病変を目にすることができたので、治療方針を1つ加えることにしました。
この1つ加えた治療から徐々に改善しています。
3カ月目にみつけた病変はかすかなもので、初診時での判定は正直難しいものでしたが、それでも初診時に想定内にすることが難しいというわけではなかったため今後の反省材料にしたいと思います。
わかりやすい「心因性」というものだけに目を奪われて、全体を診ることに注意不足があったかもしれません。
今回の症例の簡単な解説です。
参考までに今回の症例でも初診時からアポキルを使用しましたが、アポキルによる痒みの改善は非常に乏しいものでした。
もちろん心因性という診断をしたためアポキルが効かないのはある程度想定範囲内でした。
ただ心因性のアプローチに反応がなかったのは初診時の想定外でしたので、今回の症例のポイントは「アポキルも効かない、心因性治療にも反応がない」という3カ月の時点でどう対応するかだっただと思います。
ここでのプランニングは大きく分けて2つです。
①心因性ではないのかもしれない
②心因性以外に何かかくれているかもしれない
僕の判断は②です。
心因性と「もう1つ」が見過ごされていたがゆえに心因性の治療結果がでなかっただけです。
今回の症例では心因性に加えて途中に気づいた追加疾患の計2点の治療を加えることで改善ができたいう症例です。
今回は非常に難しい症例で、個人的にも非常にいい経験になりました。
長くかかりましたが、当初の目標を達成することができて本当によかったです。
投稿者:
2018.07.28
犬の痒み止め新薬アポキルが効かない痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
犬の皮膚病治療薬で画期的な新薬「アポキル」が登場して2年が経ちました。
アポキルで改善しない痒みにどうアプローチするか、今の皮膚科の最大の課題と言えるでしょう。
今日紹介するのはそんな「アポキル」を1日1回を服用し続けても改善しない痒いわんちゃんの治療実績です。
【症例】
MIX(チワワ×シーズー) 5歳 男の子(去勢済)
【経過】
〇1歳から続く痒み疾患
〇1年通して発症だが、やや季節性の悪化がある
〇四肢端の痒み(なめる)、腕を噛む、下顎~頚部をかく、お腹を掻く・・・など
〇エリザベスカラーを装着している(夜)
〇アポキルを1日1回継続服用しているが、抑えきれていない
今回の受診のきっかけは当院のオンラインショップのスターターセットご購入の方へお送りしている無料相談メールです。
過去の経過とお写真を送っていただいたところ、「治療すればよくなる」と判断できたため、「スキンケア&サプリメントでは不十分のため、受診をお勧めします」とアドバイスさせていただきました。
すると遠方ではありましたが、飼主さまの熱意もあり受診していただけることになりました。
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは全体から。
続いて、頚部です。
続いて、胸部とその拡大です。
続いて、腹部です。
最後にお尻です。
ただ、全体をみて「痒いのか?」「アポキルが効かないほど痒いようにみえない!」というのが正直な感想かと思います。
ただこれは写真をみただけでわかる異常があります。
その一つがお尻、お尻に痒みはないのですが、この皮膚病の評価にはこの部位をよくみることが大事です。
もちろんお尻だけでなく他の部位でもわかるのですが、よほど目で慣れていないと判断できないと思います。
それでは初診時から6週間後の状態と比較してみましょう。
痒みも皮膚炎もないお尻周囲ですが、みごとな回復ぶりですね!
もちろん痒みも劇的に改善したようです。
今は「舐めない」「噛まない」「掻かない」という状態です。
肝心のエリザベスカラーも外すことができて、通常の通りの生活ができています。
写真とメールで「当院で投薬治療した方がいい」と言ったからには改善させないといけないというプレッシャーは大きいのですが、イメージ通りの治療結果に一安心です。
アポキルを毎日服用しながら痒みが改善しない原因がどこにあるのか?
今回の症例は2つの原因があります。
その原因はメールと写真の2点から判断(推測)できました。
初診時はその推測の確認作業で、想定外の診断結果は何一つありませんでした。
今回のポイントはアポキルが効かない原因を探すことです。
初診時の写真で「痒みのないお尻」を撮影したのがポイントの一つですが、赤い皮膚、痒い部位をみるだけが皮膚科診療ではありません。
痒みのあるない関係なく全身みて「ヒントを探す(確認する)」ことで的確な診断と治療が可能になります。
アポキルで痒みがコントロールできない場合でも改善のための手段はたくさんありますので、お困りの方はぜひ受診してください。
投稿者:
2018.07.21
繰り返す膿皮症の根本的な治療に取り組んでいる皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
皮膚病をみるときに重要なことの1つに「正常と比較する」というのがあります。
正常が分からなければ異常所見を異常と認識できず、アプローチが止まる(診落とす)原因になるため、この「正常を正確に把握する」というのはとても重要です。
しかし教科書に「正常」が明確に記載されていないため、自分を含めて多くの先生は「正常を知らない」で診ているといっても過言ではありません。
では現実として皮膚科の基準はどうなっているかというと、正常の代わりに教科書に掲載されている典型的病変が検査や治療アプローチを始める判断基準になっています。
ただ典型的な異常所見ではなくても「何かおかしい・・・けどどうおかしいかはわからない」と思うことは多々あるはずなんです。
この「何かおかしい」をスルーしてしまえばその先は何もなく終了なのですが、この「何かおかしい」をどうおかしいのか突き詰め、この「何かおかしい」を改善させることができれば医療技術は進化します。
当院では今の皮膚科の隠れた問題の一つ「正常の認識不足」にフォーカスして、「何かおかしい」を徹底的に追及して治療技術を高めています。
今回はそんな「教科書に掲載されていない異常所見にアプローチした症例」です。
【症例】
ボルゾイ 2歳 男の子
【経過】
〇平成29年夏から発症 (初診時の時点で発症から7カ月)
〇体幹部(背中・側面・腹部)の湿疹がよくならず、次から次に新しいのができる
それでは初診時の状態をみてみましょう。
※身体が大きすぎて全体がカメラに入りませんでした。
右胸部側面と、その拡大です。
右腹部側面と、その拡大~内股にかけてです。
続いて、右後足側面です。
続いて、左胸部側面とその拡大です。
同じく右胸部側面を部分的にカットしてみました。
続いて、左腹部側面の拡大(バリカンでカット済)です。
診断名としては赤い湿疹、細菌性の膿皮症で特別な皮膚病ではありません。
それでは初診時から3か月半後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
お腹の赤い湿疹が完全に消失した点以外はわかりにくいかおしれませんが、獣医師であれば注目点がわかると思います。
皮膚の菲薄化や表皮剥離などの皮膚コンディション異常、毛並みの異常がすべて改善できています。
特に飼主さまは「毛並みがとてもよくなった」と大きな変化を実感していただけています。
表面上の診断名である膿皮症は抗生物質とスキンケアでよくなり、その後2カ月間抗生物質を服用せずとも1つも再発していません。
膿皮症を改善するだけなく、膿皮症が起きる(治りにくい)原因を治すことができた症例ともいえます。
今回はボルゾイということで、レアな犬種です。
簡単にいうと「ボルゾイの正常」がわかっていなければいけないところですが、ボルゾイはめったに診れないのでどこからどこまで異常といえるのかが判断しずらいです。
もちろん過去にたくさんのボルゾイをみていたとしても、そのボルゾイが正常とは限りません。
こういった状況で大事なのは経験値、過去の経験だけで異常所見を判断します。
今回は初診時に「教科書に掲載されていない皮膚コンディション異常あり」と判断し、皮膚組織学的検査を行いました。
もちろん病理の検査結果は予測通りで、既存の教科書で分類されたような明確な診断名はつかず、病理学的な検査所見のみとなりました。
が、ここは想定内でした。
この病理学的所見を元に、初診時の想定通りの治療を進めることにしました。
もちろん飼主さまには何がどうおかしくて、どうよくなるのかはあらかじめ伝えています。
そして3か月後、上記のように「想定通りの治療結果」がでました。
今回の皮膚科の説明です。
決して治療前・治療後の変化が大きい派手さはない皮膚病症例でしたが、その内容は医学的に興味深いものだったと思います。
1つめのポイントは、初診時に「膿皮症の治療」だけにとらわれず、隠れた問題点である「なぜ膿皮症になっているのか?」に注目しなければいけないことに気づくことです。
2つ目のポイントは一般的な顕微鏡・血液検査所見に異常がでないことは想定範囲内とし、病理組織学的検査の必要性を判断できることです。
3つ目のポイントは病理組織学的検査結果で、既存の診断枠(教科書レベル)で明確な診断名がでない可能性は想定範囲で、具体的にどんな所見が返ってくるか想定して病理組織学的検査に臨めていることです。
4つ目のポイントは病理学的診断結果で明確な診断名がでなくても「〇〇〇をすれば改善できる」と、事前に推測できていることです。
5つ目のポイントは4つ目に似ていますが、何がどうおかしくて、どう改善するか推測できていることです。
おまけとしては、ボルゾイをよく知らなくても何となく「おそらくこれは正常なボルゾイとはいえないだろうな」と捉えることができることですね。
当院ではこういった「教科書で説明できない」「既存の検査で診断できない」というレベルの皮膚科診療についての、提携している動物病院に向けたシークレットセミナーを開催しています。
ご希望の方はお問い合わせフォームからご連絡ください。
投稿者:
2018.07.20
再発を繰り返す細菌性皮膚炎「膿皮症」の根本的治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
四季の森どうぶつクリニックでこだわっている診療の一つに膿皮症の再発予防というものがあります。
抗生物質&スキンケア(シャンプー)でよくするのは当たりまえとして、抗生物質をやめても再発させないということにこだわっています。
ただ膿皮症の原因はいろいろあって、今の皮膚科医療でわかっていない原因・治療もたくさんあります。
※原因&治療法が全てわかっていたら今の時点で世の中から膿皮症は消えています。わかっていないことがあるから治っていないのです。
が、しかし!
わかっていないとはいえ、「おそらく〇〇〇をすれば再発しないではないか?」と考えていることがあります。
この「〇〇〇をすれば膿皮症は再発しないのではないか?」を既存の検査で証明することはできないのですが、この予測は経験でほぼ裏付けられつつあるのが当院の皮膚科診療です。
1つが何年も前から紹介している「スキンケアECプラス」、このスキンケアECプラスが効くかどうかは検査ではわかりませんが、年齢・犬種・経過・診た目などの条件などと何より僕の直感(経験)で8~9割判断できます。
そして最近2つ目、同じく検査ではわからないのですが、「〇〇〇をすれば再発しない」というタイプの新しい疾患を診極めることができるようになりました。
今回はそんな「膿皮症の原因が、スキンケアECプラスで解決するものではなくて、〇〇〇〇異常によるもの」と判断できた症例です。
【症例】
ヨークシャー・テリア 12歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇7歳のころから繰り返す膿皮症
〇以前は血便が出やすかったが、乳酸菌のサプリメントでお腹の調子はよい
まずは初診時の状態からみてみましょう。
湿疹が出やすいのは腹部です。
同じく腹部の拡大です。
つづいて、内股の拡大です。
それでは初診時から3週間後の状態をみてみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
湿疹はすべてきれいになりました。
ただ問題はここからです。
抗生物質を使って湿疹を消すのはそんなに難しいことではありません。
この5年間でつづけた湿疹を「再発させないためにどうすればいいのか?」が大事だと思います。
完全にきえたのですが、「再発させないためにアプローチしませんか?」と提案しました。
そのアプローチから3か月後の状態と比較してみましょう。
※写真左のBeforeは湿疹がなくなったときをBeforeとしました。
湿疹がないのは当然ですが、皮膚コンディションが劇的によくなりました!
カサカサ感がなくしっとりして、毛並みも非常によくなっています。
パーフェクトですね。
飼主さまも湿疹が出ないだけでなく、「皮膚がよくなった!」と実感していただけています。
参考でにここまで要した診察は合計3回、1回目が初診、2回目「湿疹が治っている」、3回目が「再発なく皮膚・毛並みがよくなっている」という流れです。
初診時に検査結果をみることなく治せる方法と、再発させない方法をイメージできることが大事ですね。
今回の症例ではスキンケアECプラスは使用しませんでしたが、オーソドックスな膿皮症には当院のスキンケア&サプリメントがお勧めです。
以下のオンラインショップよりお買い求めいただけます。
治療成績向上のために当院が開発しましたので、的確な診断があればこれほど役に立つスキンケアとサプリメントはありません。
投稿者:
2018.07.19
トイプードルのアトピー・マラセチア・脂漏性皮膚炎などの痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
トイプードルは遺伝的にアトピーと脂漏がセットで起きやすい傾向があります。
この脂漏に対してどうアプローチするのか、そして脂漏が起きている理由がアレルギーなのかどうか?が治療成功のポイントだと思います。
【症例】
トイプードル 12歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇5歳まではまったく異常がなかった
〇4年前から痒み
〇お腹をかく&なめる、四肢端をなめるなど
〇全身がベタベタして、シャンプー後もべたつく
それでは初診時の状態です。
まずは頚部とその拡大です。
続いて、腹部とその拡大です。
続いて、背中とその拡大です。
初診時と1週間後に院内薬浴を実施し、初診時から3週間後の状態と比較してみます。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
痒み・皮膚炎・ベタツキ・フケほとんど抑えることができました。
飼主さまからは「劇的によくなった。掻いているのをみたことがない。」という改善です。
こういったタイプの脂漏性マラセチア性皮膚炎の場合によく陥ってしまう落とし穴について解説します。
落とし穴①「こまめにシャンプーするしかない」
たしかにシャンプーすると脂っぽいのは和らぐのですが、それは一瞬だけです。
2~3日で元にもどりますし、シャンプーし続けたらよくなるものでもないため「エンドレス」です。
改善を実感することは難しいと思います。
どうして皮脂が多いのか?に向き合う必要性があります。
落とし穴②アポキルが効かなければ他に方法がない
今の皮膚科の課題の1つだと思いますが、「痒み=アポキル」という依存のようなものがあります。
毎回書いている通りアポキルは非常に使いやすいので「とりあえずアポキル」でも問題はないのですが、アポキルで改善がなければどうするのか?を考えながら処方する必要があります。
もちろんアポキルで改善がないときに、「アポキルが効かないのか?」「アポキル以外のアプローチが足りないから効かないようにみえるのか」の2つを区別できなければいけません。
前者(アポキルが効かない)であればアポキルは不要ですし、後者であればアポキルを使いながら別の治療プランを足していけばいいのです。
この2点の落とし穴に落ちないためには次の視点を持つ必要があります。
視点①なぜ脂っぽくなるのか?
脂漏の原因が簡単にわかれば誰も苦労しないのですが、特異体質でない限りだいたいわかります。
発症年齢などを考えて、アトピーなどの免疫異常を考えます。
ここで「アレルギー」と考えてしまうと迷走の原因になるため、アレルギーという概念に縛られない方がいいです。
もちろん内服治療としてアポキルはありですし、場合によってステロイド系もOKですし、シクロスポリンという手もあります。
視点②アトピー・免疫異常の改善には?
症状を抑えるために①の投薬治療は非常に有効ですが、将来的には投薬治療を減らすための他のアプローチを併用します。
具体的には免疫異常の根本である腸管免疫に注目し、当院が開発したサプリメント「スキンケアECプラス」が非常にいいです。
長期的にみると投薬治療が随分とへります。
当院で治療している脂漏症のほとんどが1年単位で皮脂がでにくく、投薬治療がへるという結果につながっています。
症状を緩和させる投薬治療も有効ですが、体質改善のためのサプリメントも同時進行で併用していくことが改善の実感には重要だと思います。
今回紹介したわんちゃんのケアには適切な診断治療と、当院で開発したスキンケア&サプリメントが非常に有効です。
投稿者:
2018.07.07
アトピー・脂漏・膿皮症などになりやすいパグの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
【症例】
パグ 2歳 女の子
【経過】
〇1年前から顔、頭、背中から腰に湿疹
〇最近はお腹にも湿疹拡大
〇赤いブツブツ・湿疹が消えたことは1度もない
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは正面から。
続いて、頭部(上から)です。
続いて、頚部とその拡大です。
続いて、前胸部です。
続いて、胸部と脇の拡大です。
続いて、胸~内股まです。
続いて、身体の側面(やや後方から)です。
毛並みが薄く、小さな円形脱毛が無数にあるためムラになっているのが特徴です。
続いて背中とその拡大です。
同じく小さな円形脱毛が複数あるのがわかると思います。
最後に後ろからです。
それでは初診時からわずか4週間後の状態と比較してみましょう。
赤い湿疹・ブツブツが完全に消えただけでなく、毛並みもよくなり黒光りするような回復です。
犬の皮膚病で最も多い細菌性膿皮症ですが、アプローチには3つのポイントがあります。
①膿皮症の原因は?
②どうやって治す?
③再発を防ぐには?
簡単なようで、ものすごく難しいです。
②は抗生物質とシャンプーと比較的簡単ですが、①と③の答えにたどり着くのはそう簡単ではありません。
人でいうと、「なぜ風邪をひいたのか?なぜ花粉症になるのか?」であり、「2度と風邪をひかないためには?」というテーマに近いものを感じます。
ただ年齢、経過、犬種、診た目からある程度の予測はできますので適切なアプローチは可能です。
その一つが当院のスキンケアECプラスです。
繰り返す膿皮症の再発防止のために開発したサプリメントです。
当院のオンラインショップからお買い求めいただけます。
投稿者:
2018.07.05
アポキルが効かないアトピー・マラセチア・脂漏症などシーズーの痒い(舐める・掻く)皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
気温・湿度ともに上昇中で、非常に過ごしづらい季節になりましたね。
今日は夏に弱いシーズーちゃんですが、ちょっとだけ特徴のあるわんちゃんの症例です。
【症例】
シーズー 4歳半 女の子
【経過】
〇1年以上アポキルを服用しているにも関わらず痒みが改善しない
〇夜に寝れなくなるほど痒がる
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは正面から。
続いて、下顎~頚部と、下顎の拡大です。
続いて、胸部~腹部です。
続いて、左後肢です。
写真では重症度がわからないとは思いますが、痒くて痒くて眠れない!という状況です。
なによりアポキルを1年以上服用し、当院まで100件以上の動物病院を超えてきていますので、どれだけ痒いのかは見た目以上だというのは伝わると思います。
こういった症例ではアポキルがまったく効かないわけではないというのは、過去の治療症例記事で何度もお話してきた通りですが、せっかくなので「アポキルなし」で治療してみることにしました。
その方が「アポキルだけが治療のすべてではない」というのがよくわかりますし、この子の痒みには何がどれだけ効果的なのか?が飼主さまにもよく伝わると思います。
それではアポキルを完全にゼロにして、初診時から約2週間後の状態と比較してみましょう。
なにせ初診時の状態でわかりやすい皮膚炎がなったため、変化は乏しいですね。
ただ痒みは随分となくなり、掻く日もあるが掻かない日もあり、特に夜もぐっすり眠ることができるようになっています。
なにをやったかというと、薬浴&投薬治療&サプリメントです。
内服治療にはステロイド、シクロスポリン、アポキルは使っていません。
外用薬の処方もありません。
サプリメントは当院で開発したヒーリングケアLFプラスを使用しています。
2020年追記 現在はパーソナルケアPⅡ+を推奨しています。
そう、痒みの原因の1つは心因性です。
今回の痒み行動の原因が純粋な痒みではなく、心因性の行動であることに気づくことがポイントです。
心因性の痒みにアポキルはほぼ効きません。
ただ、アポキルが効く痒み(アトピー)もありますので、それはアポキルでもいいですし、今回のようにアポキル以外の薬浴で緩和させてもいいと思います。
今回はあえて「痒い=アポキルではない」という意味でアポキルを使わずに治療しています。
もちろんアポキルを使いながらでもいいのですが、痒みの原因を分析してアポキルが効く痒みが全体のどれほどあるのか、アポキル以外で抑えなければいけない痒みがどのくらい残るのか、初診時に確実に判定できることが重要ですね。
これも診た瞬間に「アポキル以外の方法でも十分にコントロールできる」と判定できた症例です。
的確な診断・治療があれば当院のスキンケア&サプリメントが非常に相性がいいタイプです。
当院で開発したスキンケア商品とサプリメントは以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
シーズーの皮膚病はスキンケアブームの弊害でスキンケアばかりが注目されますが、本当はそうではありません。
スキンケアを大事にしつつ、サプリメントを大事にすることがなによりも治療成績に差をつけます。
的確な診断治療とともに、ECプラスとLFプラス(現在はパーソナルケアPⅡ+を推奨)を使用していただければ多くのわんちゃんの相性に合うと思います。
投稿者:
2018.07.04
シーズーの「フケ」「脂っぽい」「ベタベタする」「皮膚が硬くなる」といった症状を特徴とするアトピー・アレルギー・脂漏症・マラセチア性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
梅雨~夏になり皮膚トラブルも増えてきています。
特にシーズー・フレンチブルドッグの犬種ではこの時期が一番皮膚病が悪化しやすいですね。
今日はそんなシーズーの典型的な皮膚病の症例報告です。
【症例】
シーズー 12歳 男の子
【経過】
〇5歳のころからずっと皮膚病
〇季節性はなく、1年通して発症している
〇ここ数年はステロイドを2日1回で服用を続けている
〇アミノ酸系の食事療法継続中
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは正面から。
続いて、頚部と毛を掻き分けた拡大です。
続いて、首の下(前胸部)です。
続いて、胸部~わきです。
続いて、腹部です。
続いて、背中全体です。
こういった症例には薬浴が非常に効果的で一瞬でよくなりますので、病変部確認を兼ねて全身をカットします。
初診時の全身カット後の状態をみてみましょう。
まずは頚部とその拡大です。
続いて、前胸部です。
続いて、右前肢の外側です。
続いて、右前腕とその拡大です。
続いて、右前肢の手首と肢端です。
続いて、胸部とその拡大です。
続いて、右後肢の外側と膝付近の拡大です。
続いて、右後肢の足首~甲の拡大です。
最後に背中を2枚です。
初診時から18日後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
完全に毛が伸びて見えなくなる前にほぼ完全にキレイになったと思います。
初診時に薬浴をして1週間後の2回目診察時には痒み(掻く)が激減しており、「内股と手を舐める」が残っているだけでした。
この治療の流れで症状の改善に差が出る場合は「そのまま継続」よりも、1つ加療した方がいいです。
そこで、当院が開発した舐め癖用サプリメント「ヒーリングケアLFプラス」だけを追加処方したところ、3回目(2回目から11日後)の診察時には掻くどころか舐めるすらゼロになりました。
もちろん当院受診後のステロイドの服用はゼロです。
こういった症例には当院のスキンケア&サプリメントがかなり役に立ちます。
全身の毛をカットして、オイル&シャンプー&オイルジェルがあれば投薬治療の成功をサポートできます。
フケや脂漏が多いと「スキンケア」だけに注目されがちですが、このタイプの根本的なケアはサプリメントです。
ECプラスで免疫と脂漏をコントロールして、LFプラスで舐め癖を抑えなければいつまで経っても「こまめなシャンプー」から開放されません。
洗ったらきれいになるけど、痒いしぶり返す・・・という結果になってしまいます。
スキンケアで表面をよくしながら内側(体質)へのアプローチをすることで加速的によくなりますので、絶対にサプリメントを併用してください。
もちろん適切な診断・治療があってこそです。
当院で開発したスキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
脂漏症のタイプでのお勧めはオイル・シャンプー・オイルジェル・ECプラス・LFプラスです。
局所の皮膚炎・湿疹であればローションでかなり簡単なケアもできます。
投稿者:
2018.06.30
チワワ・トイプードルに多い「皮膚が脂っぽい」「フケがでる」など痒みを伴う脂漏性&アトピー性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
梅雨も終わり夏の始まりですね。
気温・湿度の影響で皮膚トラブルも増える傾向があるため、シャンプーを含めたスキンケアには力を入れていかなけばいけません。
それでは今日の症例報告です。
【症例】
トイプードル×チワワ 3歳半 女の子
【経過】
〇8か月前から続く痒み
〇冬での改善はなく、通年性(疑い)
〇4か月漢方治療をしたものの、悪化を認める
〇当院で3件目動物病院
〇痒みは、頚をかく、前肢なめる、後肢(スネ~甲)の痒み
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは全体。
続いて、頚部とその拡大。
続いて、右前肢です。
続いて、左前肢です。
続いて、胸部とわきの拡大です。
全体的に皮脂が多くべたついており、慢性的な皮膚炎により皮膚が硬く分厚くなっています。
初診から時に薬浴して3週間後の2回目の再診時のときとの比較をみてみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
初診時の薬浴前に毛をカットした影響で被皮が少なくみえますが、
①皮脂がほとんどない(サラサラ&臭い無し)
②皮膚がやわらかくなっている
③皮膚炎がほとんどない
④色素沈着の減少
が認められています。
もちろん肝心の痒みもほとんど解消されました。
トイプードルとチワワには遺伝的に「アトピー」と「脂漏」が出やすい傾向があります。
こういった症例ではスキンケア&投薬治療をメインとして、再発防止(体質改善)のためにサプリメントという3つのアプローチが効果的です。
今回の皮膚科診療でのポイントとしては「治療効果の予測」かと思います。
病気に対するアプローチ方法にはさまざまな考え方があるため、治療に正解はないのですが「痒みを確実、かつ最短で抑える治療法」を提案できたことではないかと思います。
医療にはインフォームドコンセントという言葉があり、丁寧な説明をして治療プランのいいところ・悪いところの説明の上で飼主さまに同意・選択してもらうことがいいとされていて、飼主さまが治療法を選ぶことがいいような風潮がありますが、「こうしたら確実によくなりますよ」というベストを選択してもらうことも適切なインフォームドコンセントだと思います。
そのため「やりたいこと、やりたくないことなど拘りがあれば希望をききますが、『おまかせ』がベストです」と伝えることが多いです。
今回は過去の東洋医学とは正反対の西洋医学でのアプローチで、飼主さまの不安もあったかと思いますが、医療には「経験」が非常に重要なため「おまかせ」が一番いい選択肢だと思います。
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