2018.03.29
脂漏症や内分泌疾患が多いミニチュアシュナウザーの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
飼育頭数が多くないため目立ちませんが、シュナウザーも皮膚病がでやすい犬種です。
若くして脂漏症になるパターンと、中年齢~高齢期でホルモン異常(内分泌疾患)を起こしやすい2パターンがありますね。
今回紹介するのはその2パターンにしっくりと当てはまらない、非常に稀なパターンの皮膚病です。
他の犬種ではこのタイプの皮膚疾患を数えきれないほど診断してきたのですが、シュナウザーでは初めてです。
【症例】
ミニチュアシュナウザー 9歳 男の子(去勢済)
【経過】
〇5歳のころから痒みを伴う皮膚病
〇去年までは夏だけの皮膚トラブルで、冬になるとまったく問題なかった
〇今年は冬になっても改善せず、ずっと痒い
〇過去2件の動物病院で改善なし
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは正面から。
続いて、右耳です。
続いて、頚部~前胸部とその拡大です。
続いて、右前腕を上から、内側から、外側からみてみましょう。
続いて、左前腕です。
続いて、胸部~腹部です。
続いて、後ろ脚です。
同じく右後肢のスネ~足首の拡大です。
同じく、左後肢のスネ~足首の拡大です。
続いて、右側面とその部分的な拡大です。
続いて、背中とその拡大です。
それではこの初診時から約11週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
痒みの改善は当然ですが、特に見た目の毛並みや毛質が非常に綺麗に改善したのがおわかりいただけるかと思います。
特に一番最後の背中の拡大ですが、毛質が抜群によくなっているのがわかると思います。
飼主さまにも随分と若返った!とおっしゃっていただけました。
内服治療はアポキル1日1回投与とし、改善に合わせて減量して、今ではアポキルを週2回までへらしていますが、痒みはわずかしか残っていません。
当院での治療前まではかなり痒みが強く、皮膚コンディションも悪かくフケ・皮脂の多かったのですが、アポキルをここまで減らすことができたのには理由があります。
それは治療を2段階に分け、前半は痒み改善のための治療期間とし、痒みのコントロールが十分にできた時点(初診から3週間後)で2段階目として追加治療を行うことにしました。
この追加治療によりアポキルを減らすことができ、痒みがでる皮膚病になる前の状態(5歳)のときよりさらに毛並みがよくなるという結果もだすことができたと考えています。
この隠された基礎疾患に初診時にきづけるかどうかがいい治療成績のポイントだと思います。
この隠された基礎疾患ですが、おそらくシュナウザーではかなりレアなタイプだと思います。
今回も「え?シュナウザーで起きるのか?」って思いましたが、治療結果をみれば納得です。
皮膚病で最も重要なのは初診時の「診極め」です。
検査結果とは関係なく、初診時のパッとみた瞬間に改善の道筋がイメージできれば治療も成功すると思います。
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