2017.12.09
シーズーの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
「次回は来年ですね」とお話することも多くなり、1年の終わりを実感する毎日です。
年末年始をカイカイで過ごすことにならないよう、わんちゃんと飼主さまの両方が穏やかにすごせるよう全力で取り組む毎日です。
それでは今日の症例報告です。
非常に遠いところから来院されているわんちゃんです。
【症例】
シーズー 7歳 女の子(避妊済)
【経過】
〇1歳から発症し、1年を通じた皮膚トラブル
〇季節性があり、梅雨~夏が最も悪い
〇痒みは手足をなめる&かむ、頚部~下顎をかく、お腹を床にこする・・・
〇アトピカ服用で効果なし、インターフェロン注射でも改善なし
〇コルタバンスでも改善なし
〇ステロイド服用でやや改善
〇アポキル効果なし
〇抗生物質(アポキルと併用)効果なし
それでは初診時の状態を紹介します。
まずは頸部から。
続いて、下顎。
続いて、右前肢3枚(腕2枚、手先1枚)。
続いて、胸~腹部とその拡大。
続いて、内股~後肢。
続いて、左膝の内側。
続いて、右膝~すねの内側。
続いて、背中とその拡大。
初診時から6週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
痒み症状がゼロではないのですが、皮膚炎レベルとしてはかなり改善しました。
治療の余地はまだ大きく残っており、今後も1つか2つ上のレベルまでいけると考えています。
「アトピカ(シクロスポリン・免疫抑制剤)」、「インターフェロン注射」、「アポキル」で改善がないという皮膚病でしたが、なぜ今までよくならなかったか?
ここで大事なのは「パズル」の考え方です。
パズルは完成にはピースが不可欠で、ピースが異っても、ピースが足りなくても完成しません。
実は皮膚病の治療も同じくで、1つでも異なるピースを使えばいまくいきませんし、足りなければまったく改善しないこともあります。
今回のわんちゃんに関しても、アトピカが効かない皮膚病だったのではありません。
同じくアポキルが効かない皮膚病だったわけでもありません。
そして抗生物質が不要だった皮膚病でもありません。
アポキルを使って治すプランもつくれますし、アトピカを使って治すプランもつくれます。
選択したピースと、使う順番、数(種類)を間違えなければ改善可能な皮膚病です。
皮膚病がパズルより難しいのは、箱の中に必要なピースが入っていないこと、そして何より「枠」がないため、「ピースが足りないことに気づけない」というのはあります。
今回は選択したピースの間違いと、足りないピースに気づくことが治療のポイントだったかなと思います。
今回の治療症例ではスキンケア、ECプラス、LFプラスを使って治療しています。
すべての症例がスキンケア&サプリメントで改善するわけではないのですが、適切な診断・治療で併用するとこれほど便利なものはありません。
オンラインショップでお買い求めいただけます。
投稿者:
2017.12.07
シーズーのアトピー・アレルギー性皮膚炎、脂漏症を伴うマラセチア性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
シーズーの皮膚病治療、特にシャンプー療法(スキンケア)に力をいれている当院ですが、スキンケアだけで皮膚病がなんでもよくなると思っているわけではありません。
サプリメントもしかり、当院ではスキンケア&サプリメントを推奨していますが、このスキンケア&サプリメントで皮膚病が治ると思っていたら病院を閉めています。
今でもクリニックとして皮膚科治療を行っているのには理由があります。
今日はそんな医療(治療)がなければ改善しない、というシーズーの症例報告です。
【症例】
8歳 シーズー 避妊雌
【経過】
〇約5年前から慢性的な皮膚病
〇1年前までステロイドを1日1回投与(約3年間継続投与)
〇9か月前からアポキルを1日2回投与開始
〇1か月前からアポキル1日2回に加えて、シクロスポリン1日1回投与併用開始
それでは初診時の状態を紹介します。
今回は来院時の状態のまま、毛をカットする前のコンディションを紹介します。
まずは正面から。
続いて、頚部とその拡大。
続いて、胸部~腹部とその拡大。
身体全体の右側面。
続いて、身体全体の左側面。
続いて、右後肢。
続いて、左後肢の膝~脛の付近。
同じく左後肢の側面拡大。
初診時から約5か月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックするとおおきくすることができます。
5か月というのは当院の中でもやや長めですが、見違えるような劇的な改善です。
今回も「スキンケアとサプリメントが重要で・・・」と言いたいところですが、このレベルの皮膚疾患をスキンケア&サプリメントだけ改善するのは正直かなり困難です。
今回の症例では投薬治療を含めて、全総力をあげての治療となりました。
院内薬浴も初期は週1回、その後も2~3週間に1回、投薬治療も同様です。
確かにスキンケア&サプリメントも非常に重要ですが、初期治療にはお薬の力がかかせません。
なにせ1年間アポキルを1日2回も服用して、さらにシクロスポリンを併用して改善しなかった症例ですので、相当な体質なのはご理解いただけるかと思います。
参考までに当院でこういった脂漏症のシーズーちゃんに推奨しているスキンケアとサプリメントは以下のオンラインショップでお求めいただけます。
あくまで適切な診断・治療の上でご利用ください。
では何が足りなかったのか?
当院ではどのような投薬内容を行ったのか?
1年間1日2回投与したアポキルをどう考えるべきか・・・?
ステロイドの副作用と考えらえる脱毛はなぜ投薬中止後1年たっても改善しなかったのか?
当院ではこういった難治性皮膚病の症例をどうみていくのか、定期的に勉強会を開催したり獣医師向けの診療レポートを作成しています。
今回の症例でも診療レポートを作成して配信する予定です。
スキンケアとサプリメントを含めて提携をご希望の方はお問い合わせください。
※皮膚科のない動物病院に限ります。
投稿者:
2017.12.04
シーズーのアトピー・アレルギー、マラセチア性脂漏性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
12月に入り、病院も随分と落ち着いてきました。
この余裕のある時期を利用して症例報告、執筆などいろいろやっていこうと思います。
【症例】
シーズー 7歳4ヶ月 女の子(避妊済)
【経過】
〇2歳頃から痒み
〇季節性があり、夏が最も悪化する
〇アポキルを1日1回ないし2回服用しているがよくならない
それでは初診時の状態、毛をカットしました。
続いて、頸部とその拡大です。
続いて、右前肢
続いて左前肢。
続いて、胸部。
続いて、左脇の拡大。
続いて、内股。
続いて、膝周囲(右と左)。
初診時から6週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
痒みは元々の10分の1までへりました。
赤み、フケ、臭いほぼありません。
参考までにアポキルは当院でも処方したので、アポキルが効かないわけではありません。
治療に必要なのはアポキルだけではない、がより適切な答えですね。
不足していた治療は大きく3つです。
まずは当院のヒーリングケアLFプラス、そしてスキンケア、残りは・・・院内薬浴です。
薬用=スキンケアではないのもポイントの一つです。
あくまで投薬治療が必要なタイプではありますが、投薬治療に足りない分は当院のスキンケア&サプリメントが非常に相性がいいと思います。
投稿者:
2017.11.10
シーズーのアトピー&アレルギー性皮膚炎、脂漏性マラセチア性皮膚炎などの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
当院の治療ブログでもたびたび登場している「アポキル」というお薬ですが、基本的には効果が出やすく副作用が少ないため非常に使いやすいお薬といえます。
ただどんな痒みでも抑えることができるか?というとそうではなく、効きにくい痒みもあります。
そのため診療では「アポキルが抑える痒みかどうか?」の判定と、「アポキルで抑えられない痒みにどうアプローチするのか?」の腕が非常に重要といえます。
今回紹介するのは「アポキルで改善するが、抑えきれない痒み」についての症例です。
【症例】
シーズー 8歳 女の子
【経過】
〇1年前半まえから当院で治療開始し、薬浴・アポキルによって著しい改善を認める。
〇ここ数ヶ月、内股の痒みが強く、従来どおりの投薬治療で改善が認めらにくい
それでは、初診時から約1年半後の状態を紹介します。
顔・頚部・四肢はほぼ正常に近いところまで改善しています。
問題は内股、特に右の内股が皮膚炎をおこしています。
右に比べて左に同じような皮膚炎は認められません。
従来どおりの治療を継続していても改善が認められない場合は、新しいアプローチが必要です。
当院の初診からこの日まで使ったことがない別の治療法を併用しました。
約1ヵ月後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
赤み、痒みともにほぼ消失しました。
アポキルを毎日服用していても抑えられなかったかゆみが、新しい投薬治療により数日で消失しました。
「アポキルが効かない」ではなく、アポキルも効果的だったが、すべての痒みを抑えるわけではないということです。
アポキルを処方するときにはこのアポキルによりどの部位の痒みがどの程度抑えられるのかを予測した上で、さらに「改善がなかった次の手」を準備して処方するようにしています。
「アポキルが効かなければお手上げ」とならないためにも痒みの原因を診極める必要があります。
今回の治療に併用したサプリメントは当院のヒーリングケアLFプラスです。
ヒーリングケアLFプラスは投薬治療の補助、アポキルの減量に非常に有効と考えています。
今回のシーズーの脂漏性マラセチア性皮膚炎の院内薬浴にしようしているスキンケア商品とサプリメントは以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
正確な診断、適切な投薬治療があってこそのスキンケア&サプリメントですので、遠方にお住まいの方は当院の遠隔診療とご一緒に継続されることをお勧めしています。
また、当院では個人動物病院向けに、皮膚科の診療提携を行っています。
診断・治療内容、スキンケア商品・サプリメントについて提携をご希望の方はお問い合わせください。
投稿者:
2017.11.07
シーズーの痒み、アトピー&アレルギー、脂漏性皮膚炎、マラセチア性皮膚炎の治療に力を入れて取り組んでいる皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今日は静岡市の動物病院、「あん動物病院」で皮膚科診療を行ってきました。
【症例】
約10歳 シーズー 避妊済み女の子
【経過】
〇保護(5年前)から慢性的な痒みを伴う皮膚病
〇アポキル、ステロイド外用(コルタバンス)、インタードッグなどのさまざまな治療に反応せず
〇現在はステロイドを2日に1回服用にも関わらず改善しない
それでは初診時の状態、そして毛をカットした後の状態を紹介します。
続いて顔の左から、目の下~頬~口唇にかけて。
続いて、顔の右側やや下側から、口唇~下顎にかけて。
続いて、頚部と、その拡大です。
シーズーの頚部は重度の脂漏性皮膚炎が起きやすいのですが、今回はほとんど起きていません。
続いて、右前肢。
続いて、お腹~内股~甲にかけて。
続いて、背中。
一見なにもないようにみてますが、「いつも噛んでいる部位がある」ということで、腰背部を拡大してみましょう。
ここはいつも皮膚炎がおきており、常にフケがついているようです。
ただ、腰の部位以外の背中にはありません。
薬浴が適応になるため全身のカットを行いました。
もちろん病変の判断もしやすくなります。
頚部はたいしたことなくて、下顎の方がひどいですね。
頚部に重度の脂漏がないのもこの症例の特徴といえます。
続いて、右前肢。
腕の内側はやや赤いですが、外側はほとんど問題ありません。
しかし、四肢端は、
かなり腫れており、皮脂も多く付着しています。
反対の左前肢もみてみましょう。
右前肢と同様でした。
それでは薬浴に入ります。
オイルの使い方、シャンプーについて・・・・・在籍している看護師&トリマーの方にも解説しながら実演してきました。。
しかし予想より「スキンケア実演」として絵にならなかったのは構図の問題か・・・・いや、アラフォー獣医師2名でやったからでしょう(笑)
それでは薬浴後の状態です。
一過性の赤みはありますが、改善のための通過点です。
【総括】
一見シーズーの典型的・・・にみえなくもありませんが、実は少し違います。
そもそも典型であればアポキルとシャンプーである程度の緩和ができたはずです。
なぜアポキルに反応がなかったのか?
今回はその「アポキルが効かなかった理由」を考えるのですが、実はこの写真から推測することができます。
皮膚のどの部位を診て、どう評価するのかについて、解説してきました。
もちろん薬浴でどの部位を治療ターゲットにするのか、薬浴後の必要な投薬治療についても解説してきました。
また大石先生からは超音波の画像診断について色々教えていただくことができました。
大石先生、ありがとうございました。
またご報告します。
投稿者:
2017.09.20
シーズーの脂漏性マラセチア性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
約2週間前に京都から来院されたシーズーちゃんの初診の状態を紹介しました。
京都にお住まいのため、継続的な通院治療が難しいということもあり、初期治療を当院で行い、継続治療を京都の提携病院である「よこた動物診療室」に紹介することになっています。
初診時に薬浴を行い、2週間後の再診が先日でしたので、初診時の治療方針でどこまで改善したのか、初診時との比較をご紹介します。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
痒み、フケ、臭い、すべてにおいて劇的な改善が認められました。
1度の診察と薬浴で前半の1週間はほとんど痒みはなかったそうです。
2週間経過したことにより、症状が少しでてきたそうですが、写真の通り明らかに皮膚コンディションの改善が認められています。
このまま継続することにより1~2ヵ月後にはほとんど問題ないレベルまで落ちつくと思います。
飼主さまには「2回受診して、1ヵ月後には地元の病院で継続治療ができますよ」とお伝えしていたので、予定通りにすすみ非常によかったと思います。
脂漏性マラセチア性皮膚炎に対して、当院のスキンケア商品と「サプリメント(ヒーリングケアLFプラス)」を処方していますが、地元・京都のよこた動物診療室でも継続使用・処方が可能です。
また当院の薬浴・スキンケアの技術も伝えており、よこた動物診療室で継続して薬浴治療することが可能ですので、飼主さまにとっても安心してかと思います。
さらに有効な食事療法についてもアドバイスして、同じくよこた動物診療室で継続してもらう予定です。
大阪・京都で皮膚病にお困りの方は、一度当院までご相談ください。
※すべての症例が短期間の初期治療でコントロール可能になるわけではありません。
今回薬浴で使用したスキンケア商品、処方しているサプリメントは以下のオンラインショップでもお買い求めいただけます。
投稿者:
2017.09.08
シーズーの脂漏性マラセチア性皮膚炎の治療に力をいれている皮膚病治療専門病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今日紹介するのはつい先日に初診で来院されたシーズーのわんちゃんです。
シーズーの典型的な脂漏性マラセチア性皮膚炎を疑う所見です。
薬浴治療の希望もあったため、初回に全身のカットを行いました。
当院のスキンケア(薬浴)と、治療プラン、サプリメントがあればこのタイプの治療に困ることはほぼありません。
しかしお住まいが京都ということで、継続的な通院が大変なため、当院と皮膚科診療で連携している京都市の「よこた動物診療室」で継続治療できるようしました。
まだ初診しか診ていないため、2週間後に再診と2回目の薬浴を行い、初診時から4週間後に京都市のよこた動物診療室で3回目の薬浴を実施してもらう流れです。
まだ検査結果などはでておりませんが、次回当院を受診する2週間後には十分な治療結果がでているはずです。
当院ではこのように、遠方のから当院に受診された飼主さまにも「身近で継続治療が受けられる提案」ができるように取り組んでいます。
方向性は初診時と、再診1~3ヶ月で十分な改善まで到達させ、継続診療を提携病院に切り替えるというプランです。
現時点では京都市の動物病院で「よこた動物診療室」、静岡市の動物病院で「あん動物病院」のため、通院圏内の方はご相談ください。
※治療方針が安定するのが約1~3ヶ月ですが、状態によりもっとかかる場合もあります。
投稿者:
2017.07.26
シーズーのアトピー、アレルギーが原因となっている脂漏性マラセチア性皮膚炎の治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院「四季の森どうぶつクリニック」です。
7月に入り、ギアが1つあがった様な来院件数でブログ&症例報告が進みませんでした・・・すいません。
北海道まで往診にいったパグのわんちゃんの経過も抜群にいいので、お写真を掲載したいところですが、もうしばらくお待ちください
・・・治療に手間取っているわけではありません(^^;
まずは久しぶの「まさにシーズーの典型例!」という症例のわんちゃんの治療報告です。
【症例】
シーズー
【経過】
手元にカルテがなく、自宅でやっているので、また次回埋めますね(^^;
まずは初診時の状態です。
続いて頚部、
続いて、右上腕です。
同じく右上腕の毛をかきわけた拡大像です。
続いて、右前腕です。
同じく右前腕の毛をかきわけた状態です。
続いて、胸部です。
続いて、わきの拡大です。
最後に内股~後肢です。
ベタベタ、ゴワゴワ、大量の黄色いフケ、皮脂で臭いもかなり強くなっています。
このタイプであれば、初診時に毛をツルツルの状態までカットして、少し生えたころにはよくなります。
手元にカルテがないのでわかりませんが、被毛の長さから予測するに約3週間後くらいでしょうか?
初診時と約3週間後の比較をみてみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
まずは頚部。
続いて、右上腕です。
続いて、右前腕です。
続いて、胸部です
上の胸部写真と同じ角度から、脇の拡大です。
続いて、内股~後肢です。
病変・痒みともに皆無に近いところまで到達したと思います。
ここまで到達すれば、当院の治療方針さえ継続していれば、元に戻ることはないでしょう。
院内薬浴とお薬処方の両方を行いましたが、もしスキンケアやサプリメントがなければいかに飲み薬が同じものでもうまくいかないでしょう。
スキンケアとサプリメント、そして医療としての投薬治療の内容がすべてそろえばこれだけ早く改善します。
また、このタイプであれば継続治療をメールと写真で継続する遠隔診療でも十分に改善がきたいできると考えています。
関東圏からは東京、神奈川、千葉、埼玉からも受診があり、関西圏からも大阪、京都、兵庫から来院があります。
投稿者:
2017.02.19
脂漏性マラセチア性皮膚炎になりやすいシーズーの皮膚病治療にスキンケアを取り入れいている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
2016年の夏に新しいお薬が発売されてこのタイプの皮膚病がぐっと減るのではないか・・・と予測していたのですが、今のところあまり大きな変化はありません。
効かないわけではないのですが、1つのお薬単独で劇的な改善があるわけでもないので、やはりスキンケアがなければいいお薬も生かされないのだろうと思います。
【症例】
シー・ズー 7歳 男の子(去勢済み)
【症歴】
〇3年前から続く慢性的な皮膚病
〇1年中発症しているが、特に梅雨~夏に悪化する
まずは初診時の状態をみてみましょう。
被毛が多いと皮膚コンディションが診え難いのと、スキンケアの効果メリットを考えて全身をカットさせていただきました。
それでは治療後の状態を、初診時及びカット後の状態と比較して見ましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
上記でも軽く触れましたが、こういったタイプでは投薬治療が有効なため、当院でもいろいろ組み合わせて処方するのですが、「スキンケアなくして改善なし」は共通です。
その理由は当院に特別なお薬があるわけではなく、処方するほぼすべてのお薬がどんな動物病院でも日常的に処方されているものだからです。
今回処方した内服も、どの動物病院でも処方されているタイプのものです。
そのため治療の差で「今までなかったもの」については、「スキンケア」と「サプリメント」くらいだと思います。
医療において魔法のようなお薬はありませんので、すべての治療パーツを組み合わせてはじめていい治療効果を生み出します。
内服の組み合わせやタイミングを変えることでコントロールしやすくなることもあるので、それは皮膚の経過・コンディションをみながら、経験を生かして変化をつけていきます。
当院で使用しているスキンケアとサプリメントは以下のオンラインショップからでもお買い求めいただけます。
適切な医療とともに併用することで相乗効果を生むことができると思います。
また、当院ではこのタイプのわんちゃんにも遠隔診療を提供しています。
投稿者:
2017.01.15
シーズーの脂漏性マラセチア性皮膚炎の治療に力をいれている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
過去数年にわたってシーズーの治療症例を報告していますが、必ず重要といっているのがスキンケアですよね。
だた・・・皮膚病の治療にスキンケアと書くと響きはいいのですが、皮膚病の基本がスキンケアにあるとは思っていません。
大事なんですが、「大事なものは一つではない。」ですのでスキンケアという言葉にあまりこだわっていては本当の意味のいい治療はできないとすら思っています。
ただ、それでもスキンケアがかなり重要になっている皮膚病があります。
それがシーズーに非常に多く認められ、典型的な難治性皮膚炎になるこの脂漏性マラセチア性皮膚炎です。
【症例】
シーズー 3歳1ヵ月 男の子(未去勢)
【症歴】
〇2才のころから発症して、1年間改善なし
〇かかりつけ動物病院で改善なく、当院を受診
それでは初診時の状態です。
まずは顔正面から。
続いて、下顎~頚部。
続いて、わき~肘の内側です。
続いて、腹部全体。
続いて、右後ろ足のスネ~カカト~甲の部分です。
続いて、左後肢の膝の内側です。
初診時から約半年後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
※脱毛疾患ではないので極端な変化ではにようにみえるかもしれませんが、脂漏がなくなっているため、被毛がサラサラになっているところをみてください。
痒み、臭い、フケ、べたつき、すべてでほぼ綺麗に改善しました。
今回のような脂漏性のわんちゃんでは被毛が長くなると悪化しやすいのですが、治療後ではこれだけ長い被毛の状態でも皮膚コンディションがいい状態でキープできていることがポイントです。
また、シャンプーして数日後にはフケと臭いが・・・というのがよくある状況ですが、シャンプーして1~2週間経過してもフケ・臭いなどもほぼありません。
ここで最初にお話したスキンケアについて再度お話しようと思います。
これだけの皮膚病をスキンケアだけで臨むのはかなり無理があります。
個人的には「スキンケアだけでやってみましょう」なんて言った事もありませんし、思ったことすらありません。
適切な医療を併用してこそのスキンケアであり、スキンケアがあってこその投薬治療の効果がでてきます。
要するに「相乗効果があってこその治療成績」です。
今回の症例では「あまりお薬に頼らないようにしましょう」とかではなく、そこそこの投薬治療をしていますが、「お薬は使いこなしてこそ」と考えています。
もちろんスキンケアとサプリメントは基本中の基本です。
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