膿皮症・湿疹の治療

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【ヨーキーの皮膚科専門外来】7年間で5件目の動物病院

2014.10.09

☆ヨーキーの皮膚病治療症例報告『7年間で5件目の動物病院』

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック院長平川です。

今回は症例報告としては少し珍しいヨークシャー・テリアの症例報告です。

珍しいというのは、「ヨーキーは皮膚病になりにくい」という意味ではなく、「難治性になりにくい」と考えてもらってもいいと思います。

ときにこじれて重症化してしまうのですが、やはりそこは「難知性になりにくい」であって意外と簡単に改善することもできます。

今回はそんな『重度の慢性皮膚病だか、難治性ではない』症例報告です。

【症例】

 ヨークシャー・テリア 7歳 男の子(去勢済み)

【経過】 

 〇生後1歳未満から慢性、継続的な痒みを伴う皮膚炎
 〇過去の治療は、ステロイド、抗生物質、抗ヒスタミン剤、甲状腺ホルモン剤、漢方薬、食事療法・・・・etc
 〇大きな要因として「飼主への依存心が強く、精神的なものからくる痒み」と診断
 〇当院で5件目の動物病院受診

それでは、初診時の状態をみてみましょう。

まずは、顔から。

続いて、頚部をやや右側からみてみます。

続いて、胸部~脇です。

最後に四肢、右前と左前です。

症状は『痒み』、非常に強い痒みです。

四肢端を噛む動作が強く、散歩中も歩かないほどずっと噛んでいるようです。

もちろん四肢端はバリカンでカットしたわけでもなく、噛むこと被毛が常にちぎれてほとんどない状態です。

胸部~ワキは後ろ足で強く掻くため、傷になってかさぶたもついています。

口周りと目の周りをこすりつけるため、顔全体の毛も非常に少なくなっています。

この初診時からちょうど1ヵ月後です。

部分的にわずかな赤み、痒みが残っていますが、ほとんどの痒みが改善できました。

まだ1ヶ月ですので、被毛の回復は途中ですがあと2~3ヶ月後には何事もなかったかのようなヨーキーになるでしょう。

当院を受診するきっかけの一つは、HPかブログで報告したわんちゃんだそうです。

同じ犬種の似ている皮膚病というわけではなく、以前長く通院していた動物病院の待合室でよく一緒になっていたようで、その子が当院で非常に綺麗に治っていることに気づいたそうです。

今回は過去の経過が非常に複雑で、さまざまな病院で多くの治療&検査を受けられていました。

では診断が非常に困難だったのか?といえばそういうわけではありません。

毎回お話していますが、ほとんど疾患は一通り眺めて飼主さまから過去の情報を聞くと頭の中できれいにまとめることができます。

今回も同様で、一通り眺めてお話うかがって15分後には僕の中では「まずこうだろう」というある程度の方向性が決まっていました。

あとは各種検査結果で抑えるべきポイントを抑えていきます。

それでは過去の治療法との比較やポイントについて。

※質問があったため、後日編集・追加しました。

Q1.精神的な要因はあるのか?

 A.『ない』という診断はありませんが、この痒みのメインが心因性ということはないと判断しました。方向性として優先順位の高いものから治療し、残った症状に心因性が考えられならばアプローチをするという方針にしました。そしてこの1ヶ月で心因性に対するアプローチはしておりません。

Q2.ステロイドについては?

 A.過去にステロイドを継続的に使用した期間があったようですが、幸い一つ前の動物病院でステロイドが処方されていなかったため、ステロイド皮膚症ではありませんでした。もちろん当院治療のこの1ヶ月でステロイド内服は1度も処方していません。ステロイド不可という症例ではないと考えていますが、もし治療初期から服用した場合はここまで早く皮膚が綺麗になることはなかったのではないかと考えています。

Q3.処方した内服薬は?

 A.抗生物質と抗ヒスタミン剤の2種類のみです。

Q4.食物アレルギーは?

 A.「ない」とはいえないが、食物アレルギー対策だけで治る病態ではないと判断しました。現在も食事療法は重要と考え、体質に合うものを探しています。(まだ固定できていません)

Q5.院内薬浴(スキンケア)を行ったか?

 A.今回は1度も実施していません。

Q6.甲状腺機能低下症は認められたか?

 A.一つ前の動物病院でも検査で否定され、当院での血液検査結果&超音波画像診断でも甲状腺機能低下症を疑う所見は認められませんでした。

Q7.副腎皮質機能亢進症は認められたか?

 A.尿コルチゾール/尿クレアチニン比で除外されました。超音波画像診断でも疑う所見はありませんでした。

Q8.寄生虫疾患は?

 A.ニキビダニ(毛包虫)は認められませんでした。疥癬も認められませんでしたが、除外のためセラメクチン投与を行いました。個人的には疥癬でもないと考えています。

飼主さまからのお話では「おもちゃを引っ張り出してきて遊ぶようになった」、「元気すぎて困る」、「足をかんで歩かなかった散歩も普通に歩いてできるようになった」、「数年ぶりに足先に毛がはえてきた」、「夜グッスリ眠れるようになった」・・・ととてもよろこんでいただけました。

また少し興味深かったのが、「散歩のたびに小石を加えて、ハウスまでもってかえりかじって食べて・・・を繰り返していたのが、一切なくなった」ということを聞くことができました。

おそらく痒みのイライラからくる行動異常だと思うのですが、痒みがいかに犬のストレスになるのかがわかるお話ですね。

また機会があればその後も紹介しようと思います。

四季の森どうぶつクリニック
獣医師 平川将人

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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