2013.09.01
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
前回、フレンチ・ブルドッグの皮膚病①として、典型的なフレンチ・ブルドッグの皮膚病の初診時の状態を掲載しました。
そして、初診時に何を伝えるのかが大事、ということも書きました。
主に以下の4点が重要と考えています。
①必要な検査
②過去の治療内容の評価
③必要となる治療
④目標
この中で①の必要な検査、これは初診時にこの病状をみて鑑別診断として何があげられるか?で変わってきます。
今回のフレンチ・ブルドッグの症例では、「内股は細菌性皮膚疾患」、「四肢&耳はアレルギー性皮膚疾患」、そして全身性疾患として「甲状腺機能低下症」を疑い、各種検査を行いました。
次に②の過去の治療内容についてですが、大きなポイントは2つあります。
「内服のステロイド」と「内股に外用のステロイド」が必要だったか?ですが、僕個人の意見としては「不適切」と判断しました。
次に③の必要な治療は、抗生物質の全身投与とスキンケアです。
次に④の目標は、「内股を綺麗に治す」、「四肢端と耳の痒みを改善する」としました。
それでは初診時から7週間後、治療開始後からは6週間後の状態と比較してみましょう。
まずは内股から。
続いて、左耳。
続いて、右前肢の指の間ですが、上段に初診時の状態、下段に治療後の状態を載せています。
続いて、左の前肢の指の間、同じく上段に初診時の状態、下段に治療後の状態を載せています。
続いて、右の後肢の指の間です。
続いて、左後肢の指の間です。
腹部は非常に綺麗になりました。
耳も多少の汚れはでますが、痒みはありません。
非常に強い痒みのあった四肢端ですが、ごく一部に炎症が残っているもののほとんど舐めないほどの改善を示しました。
治療後にかかった時間はたった6週間でしたが、四肢端は2~3週でほとんど改善することができました。
6週目までかかった理由は、過去のステロイドの影響から回復するのに若干の日数が必要だったことです。
治療のポイントは、
〇ステロイドが必要な皮膚病か?判断すること
〇フレンチの体質を知ること
〇すべての病変が同じ治療で治ると思わないこと、病変ごとへの治療が異なることが判断できること
です。
大事な「診極める」です。
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