2018.07.28
犬の痒み止め新薬アポキルが効かない痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
犬の皮膚病治療薬で画期的な新薬「アポキル」が登場して2年が経ちました。
アポキルで改善しない痒みにどうアプローチするか、今の皮膚科の最大の課題と言えるでしょう。
今日紹介するのはそんな「アポキル」を1日1回を服用し続けても改善しない痒いわんちゃんの治療実績です。
【症例】
MIX(チワワ×シーズー) 5歳 男の子(去勢済)
【経過】
〇1歳から続く痒み疾患
〇1年通して発症だが、やや季節性の悪化がある
〇四肢端の痒み(なめる)、腕を噛む、下顎~頚部をかく、お腹を掻く・・・など
〇エリザベスカラーを装着している(夜)
〇アポキルを1日1回継続服用しているが、抑えきれていない
今回の受診のきっかけは当院のオンラインショップのスターターセットご購入の方へお送りしている無料相談メールです。
過去の経過とお写真を送っていただいたところ、「治療すればよくなる」と判断できたため、「スキンケア&サプリメントでは不十分のため、受診をお勧めします」とアドバイスさせていただきました。
すると遠方ではありましたが、飼主さまの熱意もあり受診していただけることになりました。
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは全体から。
続いて、頚部です。
続いて、胸部とその拡大です。
続いて、腹部です。
最後にお尻です。
ただ、全体をみて「痒いのか?」「アポキルが効かないほど痒いようにみえない!」というのが正直な感想かと思います。
ただこれは写真をみただけでわかる異常があります。
その一つがお尻、お尻に痒みはないのですが、この皮膚病の評価にはこの部位をよくみることが大事です。
もちろんお尻だけでなく他の部位でもわかるのですが、よほど目で慣れていないと判断できないと思います。
それでは初診時から6週間後の状態と比較してみましょう。
痒みも皮膚炎もないお尻周囲ですが、みごとな回復ぶりですね!
もちろん痒みも劇的に改善したようです。
今は「舐めない」「噛まない」「掻かない」という状態です。
肝心のエリザベスカラーも外すことができて、通常の通りの生活ができています。
写真とメールで「当院で投薬治療した方がいい」と言ったからには改善させないといけないというプレッシャーは大きいのですが、イメージ通りの治療結果に一安心です。
アポキルを毎日服用しながら痒みが改善しない原因がどこにあるのか?
今回の症例は2つの原因があります。
その原因はメールと写真の2点から判断(推測)できました。
初診時はその推測の確認作業で、想定外の診断結果は何一つありませんでした。
今回のポイントはアポキルが効かない原因を探すことです。
初診時の写真で「痒みのないお尻」を撮影したのがポイントの一つですが、赤い皮膚、痒い部位をみるだけが皮膚科診療ではありません。
痒みのあるない関係なく全身みて「ヒントを探す(確認する)」ことで的確な診断と治療が可能になります。
アポキルで痒みがコントロールできない場合でも改善のための手段はたくさんありますので、お困りの方はぜひ受診してください。
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