2011.02.21
柴犬のホルモン性脱毛
【症例】
柴犬 13歳 女の子
【過去の病歴】
1年前から後肢を中心に脱毛
2カ月前に乳腺腫瘍&卵巣・子宮摘出術実施
他院にて抗生物質とステロイドによる治療で改善なし
【来院時の状態】
痒み・・・時々掻く?程度
脱毛・・・腹部(手術後被毛再生が認められない)、後肢など
【治療経過】
治療前
治療後
【結果】
過去の病歴、各種検査、病変部から「ホルモン性皮膚疾患」と仮診断しました。
これは予測ではありますが、以前の病院で受けられた「乳腺腫瘍&卵巣子宮摘出術」の病理検査結果が「卵胞嚢腫」であったため、卵巣から持続的なエストロゲン分泌が起こり、エストロゲンの過剰により脱毛および色素沈着を起こしたと考えられます。
治療はステロイドによる2次感染と考えられる細菌&真菌感染の治療のみとしました。
【治療のポイント】
☆不必要なステロイドの中止
☆2次感染の治療
☆特徴的な病変部から「ホルモン性」を疑うこと
☆手術の病理結果「卵胞嚢腫」からエストロゲン過剰があったことを見つけること
【コメント】
今回の症例では、前の動物病院で受けられた手術の検査結果(病理検査)が重要なポイントとなりました。そしてこの特徴的な皮膚病変を診て「ホルモン性」を疑うことができれば、スムーズな診察が可能になったのではと思います。結果として、「時間が解決する」ものですので、ステロイドなど副作用のある投薬を行わなければ悪化することなく、被毛の再生が認められたことでしょう。
実際今回の症例に、特別な治療はまったく行っておりません。
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