2017.09.09
柴犬の痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
柴犬の皮膚病といえば、痒みが強く、独特の体質・性格のためか治療が難しく、難治性皮膚病になりやすい犬種の1つです。
当院にも多くの柴犬が来院されており、過去にもたくさん症例報告してきましたが、中にはノーマルなアプローチでは全く改善しない特殊な症例もいます。
今回は柴犬の中でもそんなイレギュラーな症例を紹介します。
【症例】
柴犬 2歳 男の子(去勢済み)
【経過】
〇2年前から痒みがある
〇痒みの部位:全身痒いが、最も痒みが強いのは耳
〇過去の投薬歴:減感作療法(1週間に1回の頻度で計6回の注射を行った)、内服薬は抗生剤(ラリキシン)と抗ヒスタミン剤を服用していた。
それでは、全体からみていきましょう。
柴犬の皮膚病の特徴である目の周りの脱毛や、色素沈着がほとんどありません。
この時点で「え?難治性???」と感じる先生は多いかと思います。
続いて、飼主さまが「痒みがつよい」と感じている頚部です。
そして最も痒みが強いという耳ですが、まずは後ろからみてみましょう。
後頭部。
同じく、左耳の拡大。
同じく、右耳の拡大。
実はここで治療での問題があります。
①アポキルで痒みは抑えられない
②ステロイド・抗生物質・抗真菌剤が含有された合剤点耳薬で耳の痒みは抑えられない(そもそも耳垢も、炎症もない)
一般的な痒み全般を抑えることができるアポキルがほとんど効果を示さないことがわかっています。
また、耳は赤くなく、耳垢もなく、これも一般的な治療法である点耳薬がほぼ効果なしという判定です。
さて、どうするべきか?
それでは、この初診時から1年後の状態と比較してみましょう。
※画像をクリックすると拡大してみることができます。
薄かった毛も多くなり、フワフワになっています。
肝心な痒みも大きくおさえることができ、「過去最高のコンディション」になっています。
今回の治療には3つのお薬を併用しました。
3つのうち1つは「単独服用では効果がないアポキル」ですが、残り2つが治療成績を左右する重要なものです。
この体質を初診時に判断できることが「初診時の診極め」です。
当院では皮膚科のない個人動物病院向けに、オリジナル商品の提供を含めた「初診時の診極め」に関するサポートを行っています。
業務提携にご興味のある方は専用フォームからお問い合わせください。
※比較に1年という時間がかかったのは理由があります。
初期のもっと早い時期に痒みのコントロールができましたが、飼主さまの治療縮小のリクエストにより一旦フェードアウトして、痒みの再発後に再治療に入りました。
そのため被毛の再生に時間がかかり、比較写真が1年後になっています。
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