2017.10.01
フレンチブルドッグの膿皮症・アトピー性皮膚炎などの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回紹介する症例は「かなり難治性だった」わんちゃんです。
あくまで「だった」であって、当院での治療が難しかったわけではありません。
【症例】
フレンチブルドッグ 4歳 男の子(去勢済み)
【経過】
〇生後10ヶ月のころから身体に湿疹ができはじめる
〇以降今日までの3年間、身体から湿疹が消えたことはない
〇季節性はない
〇アトピー検査、食物アレルギー検査を1歳前、3歳前の2回実施済み
〇細菌感受性試験も2回実施済み
〇1年前からアポキルを服用、現在毎日服用しているが、この数ヶ月顔の痒みがひどくなった
〇アレルギー治療、食事療法を続けたが改善せず
それでは初診時の状態です。
初診時に考えられる診断名・原因・治療方針をお伝えしたところ、飼主さまから1つお願いごとをされました。
「あとから『この〇〇〇(薬・サプリ・シャンプーなど)の方がもっとよくておすすめ』と後出しするのはなしでお願いします。」
ということでした。
過去の経験からのリクエストということで、心中もわからなくもありませんが、一般的にはかなりハードルの高い条件です。
とはいえ普段の口癖が「初診時の診極め」ですので、そこは同じ土俵に上がらなければいけません。
とりあえず「絶対ではないですが、まずこれ(初診時の提案)でよくなると思います」とお伝えして治療スタートしました。
それでは7週間後の状態と比較しましょう。
顔の湿疹は消失し、痒みもほとんどなくなりました。
四肢端の赤み・腫れもきれいに改善し、舐め癖もほとんどなくなりました。
写真ではありませんが、身体(胴体)にあった湿疹もきれいになくなりました。
治療成績上はパーフェクトに近いと思います。
※写真は7週間後の比較ですが、痒みの改善は4週間でほぼ達成できています。
そして飼主さまからのリクエストである「治療の後だし」はありませんでした。
初診時の治療方針で飼主さまの満足できるところまで改善させることができたのでよかったと思います。
さて、簡単なまとめです。
アレルギー治療、食事療法で3年間治らない、アポキルを毎日服用していても治らない・・・・・・中々難治性だったようですが、当院の治療方針でこのタイプであれば1~2ヶ月でだいたい改善できます。
おそらくではありますが、治療結果がでない理由は 「アレルギー」と「食事療法」の考え方だと思います。
当院ではこういった皮膚病に対して「アレルギー」と説明することはほとんどありません。
また食事療法についても「アレルギー検査をし、アレルゲン回避の療法食以外食べてはだめ」という指示もほぼしません。
そもそもアレルギー対策やアレルギー食事管理で治る皮膚病は稀ですので、わざわざ稀なところからアプローチすると多くが治らない結果になるのは明白です。
フレンチブルドッグの難治性の多くは今回紹介したような症例のタイプに近いのですが、アレルギーと診断することと、アレルギー食事管理をすることで失敗していることが大半です。
もし同じような症状で慢性的にお困りの方は当院を受診してください。
今回の症例でも使用しましたが、当院のスキンケア&サプリメントが非常に効果的だと思います。
特に四肢の腫れ・炎症をひかせるのに、ヒーリングケアLFプラスが有効だったと思います。
おもしろいはアポキルで改善しないのにサプリメントで改善するところでしょうか。
アポキルの効果が無いわけではないのですが、アポキルの足りないところをサプリメントが補完して相乗効果を生んだという認識がより適切かと考えています。
と、色々かいてみましたが、最大のポイントは「診極め」で、外すことなく「初診時に改善までの軌跡を描けること」かと思います。
投稿者:
2017.06.03
フレンチブルドッグの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
春の膨大な仕事も終わり、落ち着いてきたので溜まっていた症例報告を続けていこうと思います。
テーマは引き続き「アポキルが効かないとき、どうするのか?」についてです。
今日は「アポキルを服用しているのに痒みが改善されない」ではないのですが、「アポキルだけではコントロールが難しかった」という症例です。
【症例】
フレンチブルドッグ 8歳 去勢雄
【病歴】
〇4年前からの慢性的な痒み
〇季節性があり、夏の方が悪化しやすり
〇過去の投薬治療は主にステロイドで、一時的にシクロスポリン
〇痒みで身体を傷つけるほど掻くため、1年以上エリザベスカラーを装着している
〇床がぬれてしまうほど手先をよく舐める
それでは初診時の状態です。
づづいて、かなり痒みの強い部位の一つ、胸部の側面です。
胸部の側面を拡大してみましょう。
これは脱毛疾患ではなく、掻き壊しといって強く書くことで毛が引きちぎれいているため引き起こっているものです。
続いて、左側面です。
膝~スネにかけて噛んでいることで傷が認められます。
続いて大腿部の尾側、全身での発症ではありませんが赤い湿疹が認められます。
この初診時で初期治療としては湿疹(膿皮症)に対して抗生物質、季節性の痒みに対してアトピーを疑いアポキルを併用しました。
この2つの投薬治療である程度の改善が得られましたが、「エリザベスカラーをはずせない」「アポキルを1日2回服用しないと抑えきれない日が多い」であり、十分に痒みをコントロールできているという状況ではありませんでした。
また膿皮膚症も抗生物質の服用により数を減らすことができたのですが、やはり服用しながらも新しい湿疹が週に1~2箇所できる・・・という状態でしたので、胃腸免疫サプリ「スキンケアECプラス」を併用しました。
さらに「掻き壊し」が心因性によるものと疑い、心因性に対するサプリメントでのアプローチを開始しました。
お薬はあえて変更せず、初診時に採用した抗生物質とアポキルの2種類のままで、追加は2つのサプリメントのみとしました。
併用後から激しく掻き壊すシーンが減り、アポキルを1日2回必要とする日もどんどん少なくなり、エリザベスカラーも完全にはずすことができるようになりました。
湿疹はスキンケアECプラスを併用して以降、抗生物質を必要とするような再発がないくらい綺麗な状態を保っています。
そして最も悪化しやすい季節になりましたが、エリザベスカラーを装着することはありません。
それでは、治療後の比較画像です。
※画像をクリックすると拡大することができます。
派手さはありませんが、毛並みが綺麗になっているのがわかると思います。
今回は投薬治療とサプリメントの相性が非常によく、アポキルを減らすことができた症例です。
湿疹タイプの膿皮症にはスキンケアECプラスがおすすめで、心因性にはヒーリングケアLFプラスを使うようにしています。
スキンケア単独で改善するタイプではないのですが、湿疹のケアには非常に有効だと思います。
初めてのご利用の方は写真を用いた無料相談ができる痒みケアスターターセットをお勧めします。
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