皮膚科ブログ

  • HOME
  • 皮膚科ブログ

初診時に描く道Ⅳ

2014.09.25

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック院長平川です。

ここ数回は専門用語が多く、なぜこの検査をするのか、この検査結果をどう評価するのか・・・一般の方にはわかりにくいお話となっていますが、診療で大事なところでもありますので、もうしばらくお付き合いください。


※長編ですので、初めての方は前回までの流れを順に見ていってください。


   初診時に描く道Ⅰ チャイクレの解説

   初診時に描く道Ⅱ コッカーの初診時

   初診時に描く道Ⅲ コッカーの治療後比較
 





それでは初診日翌日~7日後までに出揃った各種検査結果を紹介します。

顕微鏡検査でニキビダニ、疥癬は検出されず、各病変部からは細菌・マラセチアが多量に認められました。

血液検査で行った特異的IgE検査、環境アレルゲンに対するIgE上昇が認められました。

一般血液検査では、白血球の上昇(24700)とわずかな貧血(Hct35%)が認められました。

生化学検査ではALP、T-cholを含め異常値は認められませんでした。

甲状腺ホルモン濃度は「T4:1.2」、「FT4:0.9」、「TSH:0.16」と比較的下限の値がでましたが、甲状腺機能低下症を支持する所見はありませんでした。

尿コルチゾール/尿クレアチニン比は7.8と高値を示しました。

初診日に行った腹部超音波画像検査では、右の副腎が約8mmと基準値より大きくなっていました。

細菌培養・感受性試験では一部薬剤に耐性が認められました。


ACTH試験、およびLDDS検査はまだ行っていません。





現時点ででいてる検査結果は以上です。

参考までに赤文字は初診時に結果はでておらず、後日にでました。


まずはIgE検査について、環境アレルゲンに対するIgE上昇が認められたため、これは犬アトピー性皮膚炎の素因があるという評価でいいと思います。

では、犬アトピー性皮膚炎だけでこの皮膚病になってしまったのか??

初期の発症のタイミング(季節性)や、中高齢期に入ってからの悪化、そして病変を考えるとアトピーだけということはないと思います。

そこで疑うべきは内分泌疾患であり、一般的に有名なのが甲状腺機能低下症と副腎皮質機能亢進症です。

甲状腺機能低下症の診断は症状、血液検査、超音波画像診断の総合評価ですが、血液検査で可能性は低いと考えられました(可能性がゼロとまではいえません)。

それでは副腎皮質機能亢進症があるのか?

そこはまだ検査を行っていないのでわからないのですが、確定のために次に行うべきステップだと考えています。




しかしすでに比較写真でお示ししたように副腎皮質機能亢進症があってもなくても治療方針は立てれたわけで、実際にこの短期間でこれだけの治療結果もえることができました。

副腎皮質機能亢進症の治療をせずにここまで改善したので、結果論で「副腎皮質機能亢進症はない」とならないのか?といわれそうですが、そういうわけでもありません。

確定診断と治療方針がときにそこまで関係ないというのはこういうところでもあります。

ここは先生によって多少の好みもあるため差があるのですが、副腎皮質機能亢進症があってもなくても短期的な集中治療法はそこまで変わらないので、僕はあえてACTH刺激試験やLDDS試験といった検査を後にしています。

「この治療でよくなったら検査はいらないよ」・・・・・では決してありません。

それは「なぜこのような皮膚疾患になってしまったのか?」を考えることはとても重要なため、後日副腎皮質機能亢進症の有無を判定します。



ではこの症例がこの後のACTH試験なりLDDS試験で副腎皮質機能亢進症が確定すれば、そこが診断名としてのゴールとなるのか?

また、もしACTH試験とLDDS試験で副腎皮質機能亢進症を支持する所見がえられなければ診断名はどうなるのか?

実はどちらのパターンでも僕の頭の中ではほぼ整理がついています。

それは初診時を紹介した記事でもかいた「もう一つあるのですが、あえて伏せておきます」という部分です。

僕が初診時に頭の中で描いたストーリーでは絶対に最大の原因はそこ、と確信しています。

ただ、その診断名は絶対に検査で確定することはできません。

たとえ副腎皮質機能亢進症が存在しても、この3年間の皮膚病悪化に最も影響を与えたのはそこ、そして基礎疾患に副腎皮質機能亢進症が存在なくても原因はそこなんです。




副腎皮質機能亢進症の有無を確定させたのち、再度掲載しようと思います。




参考までにどの時点でこの記事でお話している「原因はそこ」という点に行き着いたかというと、診察室で皮膚を一通り(約1分くらい)診て、飼主さまから過去の経過を聞いているとき(約15分くらい?)です。

ヒントは、僕が副腎を評価するために預かって腹部の超音波を当てているときにチラッと見に来た麻衣子先生と交わした会話。

麻衣子先生 「・・・・・この子、〇〇は??」

僕 「3ヶ月前に×××で〇〇したってさ」

麻衣子先生 「原因そこじゃない?」

僕 「同じくそう思う」



あくまで初診時に描いたストーリーであって、今となっては確定はとれないのですけどね。

ですがこのあとはどんどん綺麗になるはずなので、状況証拠でまず間違いではないでしょう。

 四季の森どうぶつクリニック
獣医師  平川将人

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

最新記事

SEARCH

カテゴリ分類

Contact完全予約制・ご相談はお気軽に

Contact当院は犬の皮膚病だけに特化した
動物病院です。

  • 0562-85-2215 tel
  • 0562-85-2215 tel
  • サテライト
  • サテライト
  • 全国発送対応クリニック開発スキンケア&サプリメント shop全国発送対応クリニック開発スキンケア&サプリメント shop
pagetop