2017.10.14
トイプードルの痒みを伴う皮膚病治療に力を入れている皮膚病治療専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
ちょうど1ヶ月前にトイプードルの皮膚病で「以前の病院で原因不明と言われた」というわんちゃんについて記事を書きました。
「治療後にこれだけよくなりました」ではなく、「今日来院されて、今日から治療します」という症例紹介でした。
9月15日にUPしたブログ記事 【0.1秒の診極め】原因不明の痒み
心因性と診断し、2週間後、4週間後(先日)と受診していただき、予測通りの改善をみとめましたので治療後を紹介します。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
局所であるため、その拡大も比較して見ましょう。
右半身の大腿部外側にも同じような病変がありましたので、その比較も紹介します。
ガジガジとかじっていたため、局所的に毛がなくなっていましたが、4週間でほぼ100%の毛並みに戻りました。
前回の記事で書いたように診断は「心因性の痒み」です。
診断のための有効な検査は一切無く、「経験」だけです。
今回治療比較が4週間後の写真になっていますが、2週間後はどうだったのか?というと、ここが意外と興味深いポイントです。
実は2週間後の時点で飼主さまはこうおっしゃっていました。
「特にかわらず痒そう」
ただ、僕の診た目での診断は
「よくなってます。診断は心因性、方向性は変えず1種類お薬を増やしましょう」
でした。
その次の3回目の診察が上の写真の通りで、明らかな改善が認められています。
ポイントは3つ、
①初診時の診断
原因が心因性の場合、その他の治療アプローチでの改善はほぼ見込めません。治療方針のブレをさけるためにも初診時に把握するのがベストです。
②押し切る治療方針
飼主さまの見ていることと、獣医師が診察で診なければいけないポイントが必ずしも一致するとは限りません。そして治療方針が合っていることと、飼主さまの評価がリンクするとも限りません。
飼主さまの「よくなっていない」という判断は一つの評価として受け止めますが、診るべきポイントを押さえると「改善している」と評価することは可能です。ブレてはいけません。
③微調整の手段を準備しておくこと
今回は初診時にすでに「再診時に改善が不十分だったときの次のプラン」を用意していました。その改善のための治療プランが初診時の治療アプローチの変更ではなく、「追加治療」であることが初診時にわかっていることがとても重要です。
基本的で簡単なようですが、本当はかなり大変です。
それでは今回の治療で必須のサプリメントを紹介します。
です。
トイプードル、シーズー、ヨークシャーテリア、ダックスなどのわんちゃんで非常によく使っています。
こちらの商品は以下のオンラインショップからお買い求めいただけます。
投稿者:
2017.02.08
トイプードルのアトピー・アレルギー膿皮症・脂漏症・マラセチア性皮膚炎・脱毛症などの皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今日紹介するのは三重県の随分遠い南の方から受診されたトイプードルのわんちゃんです。
当院を受診するキッカケが印象的で・・・
来院された飼主さまは、この子が子犬のころからずっと同じ先生に診てもらっていたのですが、
その先生が動物病院を退職されるということで、最後に当院受診をお勧めされたそうです。
【症例】
トイ・プードル 5歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇3年前から1度も改善するのことのない皮膚病
〇アミノ酸系療法食による食事療法を継続中
〇かかりつけ動物病院の先生からの紹介で当院受診
〇過去に抗生物質を3種類変更しながら服用するも改善しない
それでは初診時の状態をみてみましょう。
まずは全体から。
続いて、左目。
続いて、口唇(左)。
続いて、右前腕(肘の屈曲部)。
続いて、腹部。
続いて、前肢の指の間。
続いて、左後肢先端。
わかりやすい写真ではなかたので掲載しませんでしたが、背中全体にも湿疹が認められました。
この初診時から3ヶ月少し、治療後の状態との比較をみてみましょう。
※画像をクリックすると大きくすることができます。
痒み、湿疹ともにほぼ消失しています。
もちろんこの3年間でベスト!と喜んでいただき、「もっと早くここに来ればよかった」とおっしゃっていただけました。
今回の皮膚病治療のポイントですが、全体を1つの皮膚病として捉えないことです。
「皮膚が弱い」という意味では一つですが、治療の上では大きくわけて2つあります。
そのため何か1つの特効薬、魔法のようなお薬で全身改善させることができるわけではありません。
パーツの組み合わせのように、同時に複数のパーツをピタッと合わせることでここまで改善することができます。
そして大事なことを追加しておきます。
当院が非常に重要視している食事療法ですが、このわんちゃんが継続していたアミノ酸系療法食は・・・・・
理由を丁寧に説明した上で変更していただくことにしました。
もちろん今食べているドッグフードは、普通にペットショップで販売されている一般食です。
そしておやつなどの食事制限はなく、何を食べてもかまいません(笑)
大事な大事な食事療法、本当の食事療法が飼主さまには伝わっていると思います。
投薬治療も重要ですが、治療と再発予防に必要なのがスキンケアとサプリメントです。
今回のわんちゃんにも処方して継続してもらっています。
また当院ではこのようなタイプのわんちゃんに遠隔診療に対応しています。
他の症例に比べてコントロールは非常に難しいタイプですが、遠方にお住まいの方でお困りの方はご相談ください。
今回は獣医師の先生から紹介されたということで、とてもプレッシャーのかかる診察でした。
もう退職されたということでご連絡はとれないのですが、ご期待に応えることができてよかったです。
ご紹介ありがとうございました。
投稿者:
2015.10.03
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックの平川です。
やはり普段慣れていない仕事をすると体力の消耗が大きいようで、9月23日の東京での遠隔診療後はしばらく疲労困憊で日常の診療をこなすことが精一杯でした。
しかしようやく回復してきたので、ブログも再開です。
今日は、この夏から取り組み始めた遠隔診療についてご紹介します。
遠隔診療というのは当院に通院が難しい遠方にお住まいの方に向けた当院の医療のサービスの一つです。
初診を実際の診療として行い、継続をメールと写真で行います。
通院にかかる時間がなくなるため、遠方からでも当院の医療サービスが可能になります。
もちろんメリットばかりではなく、「診る」ことに点で通常診療に比較してかなりの制限があるため、通院治療より治療成績が落ちる可能性も十分にあります。
むしろかなり危険なチャレンジで、お勧めしたいわけではありません。
ただ、それでも典型例であれば困っている飼主さまのご期待に沿いたいと考えてチャレンジしています。
今日紹介する症例は石川県にお住まいで、8月1日に初診として診察し、約7週間メールと写真のみで継続治療したトイプードルのわんちゃんです。
【症例】
犬 トイプードル 3歳10カ月 女の子
【経過】
〇2年前から痒みを伴う全身の皮膚病
〇当院受診までの治療
インターフェロン注射、 コルタバンススプレー、ステロイド錠剤、抗生物質
エピスースー、アルミデルシャンプー
それでは初診時の写真、そして毛をカットした後の状態も合わせてみてみましょう。
まずは顔。
続いて左耳。
続いて、頚部とその拡大。
わかり難いので、毛をカットした状態とその拡大です。
続いて、頚部の左側面です。
同じく頚部左側面の毛をカットした状態です。
続いて、右前肢です。
肘~上腕
左前肢の甲。
甲の拡大です。
右前肢の毛をカットしてみましょう。
続いて、胸部とその拡大です。
さて、初診時に最も大事なことは・・・・・・なんでしょうか?
検査をすることでしょうか?
検査をしないわけではありませんが、最も大事なこととは違います。
そう、「診極め」でしたね。
検査結果のいかんにかかわらず1~3ヵ月後までの軌跡を描きます。
もちろん検査は重要ですが、診るチャンスは1度きり、初診こそが最も重要です。
初診時にたてた治療計画で修正することなく迎えた7週間後の2回目の受診のときと比較しましょう。
非常に綺麗に改善しています。
完治するタイプではないので治療は継続です。
飼主さまからは、
「1ヶ月で劇的に皮膚の状態は良くなり、性格も明るくなりました
とても嬉しく思います。」
というメールをいただきました。
この数年の僕のテーマでもある「初診時の診極め」の究極の形だと思います。
※遠隔診療の問題点
すべての症例を改善させることができるというわけではありません。
やはり情報を収集する機会が非常に少ないため、修正することが難しいため、後手後手になることもあります。
ただ純粋にお役に立てるチャンスがあれば役に立ちたいという思いで行っています。
投稿者: