2014.09.12
こんにちは、四季の森どうぶつクリニック院長平川です。
陽のあたる日中はまだ暑さを感じるものの、夜は冷えるようになってきましたね。
さて、今日はチワワの症例報告です。
難治性皮膚疾患になりやすい犬種といえば・・・柴犬、フレンチ、シーズー・・・と、実はチワワが上位に入るわけではありませんが、その圧倒的な飼育頭数から難治性で来院するチワワも稀ではありません。
そしてチワワであればいくつかパターンがあり、大きく「脱毛症」、「アレルギー」、「脂漏症」の3つに分かれる傾向にあります。
病気が1つとは限らず複数もつこともあり、それがまた診断と治療を難しくさせる要因なのかもしれませんが、初診時にその病態を適切に判断することが最も重要です。
【症例】
チワワ 2歳10ヶ月 男の子(去勢済み)
【経過】
☆1才から痒みを伴う皮膚病
☆冬に悪化しやすい?再発を繰り替えす
それでは初診時の状態です。
病変は顔、耳、四肢端です。
まずは顔を左右でみてみましょう。
続いて、下顎です。
続いて、頚部とその拡大です。
続いて、前肢端です。
同じく前肢、右前肢の拡大です。
最後に後肢です。
よくあるチワワの典型皮膚疾患ではありませんが、診ただけでもチワワらしい体質が予測できます。
この初診時から1ヶ月半後と比較していきましょう。
わずか1ヶ月半で完治?と見間違うほどの改善です。
重要なのは初診時にどう病態を判断するか、お医者様の「みたて(見立て)」と一緒です。
たとえ初診時に血液検査結果が出揃っていなくても、2ヵ月後にどこまでよくなっているか・・・いくつかパターンをあげつつも予測できるか?が重要です。
今回に限らず毎回ですが、各種検査結果が出揃って改めて考え直すことはほとんどなく、検査結果でパターンの整理をするだけで何か特別な病気の可能性や治療パターンを用意することはありません。
そのためほぼ初回の「みたて」通りにアプローチします。
今回の症例に関して、たしかに診た目は重度ですが、たった1つの特徴的な病変が顕著にでているだけだったため、僕が頭で描いたゴールへの道筋は1つです。
逆に頭で描いたたった1つの治療パターンで改善がなければ・・・????
なくはないのですが、今回は「これで改善しないはずがない」という判断ができるほど自信をもってスタートをきることができた症例です。
現在初診から半年経過しましたが、現在でも比較的いい状態を維持できています。
もし何も治療を加えなければ徐々に悪化してしまう可能性がある疾患のため、現在でも治療継続中ですが現在では1ヶ月に1回の診察でコントロールできています。
「初診からの集中治療期間1ヵ月半」、「その後の来院頻度月1回」という内容はかなり軽い症例の方で、全体の中では非常に少ないパターンです。
すべての症例で可能なわけではありません。
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