2026.10.02
犬の耳のふちに、フケやかさぶたが出たり、毛が薄くなったりすることがあります。
こうした症状がみられる場合、「耳介辺縁皮膚症」が関係していることがあります。この病気は、見た目の変化だけでは原因や状態を判断しにくく、改善までに時間がかかることもある皮膚トラブルの一つです。
今回は、実際の症例を交えながら、主な治療法や当院での考え方をご紹介します。
耳介辺縁皮膚症は、犬の耳のふちにフケやかさぶた、脱毛などがみられる皮膚トラブルです。
当院では、耳のふちなど体の末端部分で血管に炎症が起こり、血流が悪くなることが症状に関係していると考えています。血流が悪くなると、その部分に十分な酸素が届きにくくなり、脱毛や皮膚組織のダメージにつながることがあります。
一方で、なぜこのような血流障害が起こるのかは、現在の医療でも十分には分かっていません。当院では、腸内環境や免疫の状態、生まれつきの体質、食生活なども関係している可能性があると考え、一頭ごとの状態を確認しながら治療しています。
耳介辺縁皮膚症は、下記のような症状が現れることがあります。
ただし、耳のふちにフケや脱毛がみられるからといって、必ずしも耳介辺縁皮膚症とは限りません。ほかの皮膚疾患でも似た症状がみられるため、皮膚の状態や症状の経過を確認することが大切です。
1つめの症例としてご紹介するのは、2016年に診察した耳の脱毛がみられたチワワの症例です。
もともと当院に通院していたワンちゃんのため、初診時の症例ではありませんが、耳のトラブルに気づいた最初の診察時の状態をご紹介します。
【治療前】
診察時には耳の脱毛がみられ、耳のふち(耳介辺縁)は、フケを伴いながら毛が束になって抜け落ちている部分が確認できました。
【治療後】
この症例では、おおよそ2〜3か月で改善がみられました。治療後は、抜けて薄くなっていた部分にもしっかりと毛が生えていることがわかります。治療前と比べると、耳のふちにみられていたフケや脱毛も改善している様子が確認できます。
2つめの症例は、2025年7月に診察したミニチュア・ピンシャーの耳介辺縁皮膚症の症例です。治療前後の写真をご紹介します。
治療前は耳のふちの毛がうすくなっていましたが、治療後は毛が毛が生えてきました。
3つめの症例は、2025年12月に診察したビーグルの耳介辺縁皮膚症の症例です。治療前後の写真をご紹介します。
治療前は耳のふちや耳の裏に脱毛がみられましたが、治療後はどちらも毛が生えるようになりました。
※治療の効果や改善までの期間には個体差があります。
当院では、耳介辺縁皮膚症の治療において、耳のふちなど末端部分の血流を改善することが大切だと考えています。
症状が重い場合は、投薬を中心に治療します。一方、症状が比較的軽い場合には、食生活を見直したり、サプリメントを取り入れたりしながら経過を見ることもあります。実際に、サプリメントを取り入れた治療で改善がみられた症例もあります。
耳の毛や皮膚は、治療を始めてすぐに見た目が変わるとは限りません。
現在現れている脱毛などの症状は、2〜4か月ほど前に受けたダメージが反映されている場合があります。そのため、治療を始めたあとも、数か月単位で経過を確認していきます。
また、投薬せず、食生活の見直しやサプリメントを中心に治療する場合には、6か月〜1年ほどかけて変化を見ることもあります。
症状の程度や体質によって治療方法や改善までの期間は異なるため、当院ではそれぞれの状態を確認しながら治療を進めています。
犬の耳のふちにフケや脱毛がみられる原因は、耳介辺縁皮膚症だけとは限りません。次のような症状がみられる場合は、皮膚の状態を一度確認することをおすすめします。
耳のふちの毛が抜けていたり、フケやかさぶたがなかなか治らなかったりすると、このまま様子を見ても大丈夫なのか、不安に感じる飼い主さまもいらっしゃると思います。
見た目の症状が似ていても、症状が起こる原因はさまざまです。気になる状態が続いている場合は、そのままにせず早めに診察を受けることが大切です。
四季の森どうぶつクリニックでは、耳の状態だけでなく、これまでの経過や治療歴も確認しながら診察しています。耳のふちの脱毛やフケ、かさぶたなどが続いている場合は、一度ご相談ください。
投稿者:四季の森どうぶつクリニック
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