2018.02.08
ミニチュアピンシャーのアトピー・アレルギー・膿皮症治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
前回に引き続いて、ミニチュアピンシャーの皮膚病治療の実際をご紹介します。
前回でもお話したように、ミニチュアピンシャーの皮膚病はかなり典型的な形を示します。
要するに、「ミニチュアピンシャーの皮膚病ってこんな感じだよね」というものです。
主に2パターンあるのですが、1つは膿皮症で複数の円形(虫食い)脱毛タイプ、もう一つは目・口・四肢端の痒みで「アトピー?アレルギー?」という雰囲気のタイプです。
ただこの2つの診断しかないわけではない、今日はそんな症例報告です。
【症例】
ミニチュアピンシャー 去勢雄 3歳
【経過】
〇1歳の頃から季節関係なく痒み
〇以前は背中に脱毛、湿疹があったが今はない
〇今は頚部、目、四肢端、わきが痒い
〇お腹は問題ない
それでは初診時の状態です。
続いて、頚部とその拡大です。
続いて右腕~先端です。
続いて、左腕~先端です。
続いて、わきと胸部、その拡大です。
続いて、腹部~内股です。
※今回は1週間ほどまえに初診を迎えたわんちゃんですので、治療後の写真はまだありません。
さて、この初診の状態をどう評価するのか?が最大のポイントです。
考えるべきことは3つあります。
1つは、「アトピー疑い」で皮膚炎・痒みに対する直接的な投薬治療が必要です。
おそらくアポキルが効くかゆみ部分があるため、ファーストチョイスはアポキルでいいと思います。
問題はアポキルだけでこの痒みを抑えられるのか?というところですね。
やってみないとわからないところもありますが、おそらくアポキル単独では痒みのコントロールはできないと思われます。
そこで2つめ、さらに必要なのが「心因性」に対する治療です。
初診時の時点で「心因性を強く疑う」という所見が認められます。
そして3つめ、これはミニピンをよくみている人でなければ気づかないところです。
飼主さまの主訴にはありませんでしたが、僕の質問ではその点に気づいているようでした。
やはり病気を知る前にミニピンの正常をいかに目にやきつけておくか、それが皮膚病の診断に非常に重要だと思います。
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