2023.03.18
こんにちは、わんちゃんの皮膚科専門の動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はゴールデンレトリバーの子の症例です。
【症例】
ゴールデンレトリバー 6歳11ヶ月 女の子(避妊済)
【経過】
〇3歳ころから掻いたり、舐めるといった痒み症状
〇一度舐めだすと止まらない
〇抗生剤・抗ヒスタミン・ステロイド・抗うつ薬を4年間使用するも良くならず
それでは初診時の様子をご覧ください。
まずは顔の左側。
目の下や口周りの皮膚はただれ、赤黒くなっています。
毛も薄く、生えている部分もパサつき状態が良くありません。
次に顎下。
こちらも皮膚は赤黒く、毛が薄くなっています。
そのまま下にいき、首です。
同様に赤黒い皮膚が見えるほど毛が薄い状況です。
こちらは右体側。
ほぼ毛は生えておらず、ポツポツと皮膚炎が目立ちます。
体側(腹部)の拡大写真です。
体側(臀部)拡大写真です。
こちらは胸。
体側同様ほぼ毛が生えておらず、ポツポツと皮膚炎が目立ちます。
次に腹部。
イメージしているゴールデンさんの毛並みとはかけ離れている状況ですね。
3歳ころから痒み症状が出始め、痒みの症状は「舐める」「搔く」の両方で、一度舐め出すと止まらず一晩中続くこともあり、飼主さまもつきっきりで夜も眠れないほどの症状が出ているという主訴で来院されました。
受診先の動物病院で食物アレルギーといわれ、単一蛋白食にするなど食事療法を試みるも改善は全くなく、
また投薬治療においては、抗ヒスタミン薬・抗生剤・ステロイド・抗うつ薬など4年間に渡って服用するも、痒みの改善は認められませんでした。
今回この子で注目した点は、
・被毛の異常
→飼主様によると、昔から毛が伸びない
・アレルギーではない
→アレルギーならアポキルなどの治療で十分に改善する
・純粋な痒みではない
→心の不安定さが要因で、
「不安が強くなると舐め癖がでる」「ストレスに弱く、小さな痒みに激しいリアクションを引き起こす」と分析
心因性の診断として、以下の行動パターンを問診で確認しました。
・フローリングを舐める
・ドッグランで他の犬と仲良く過ごせず、飼主さまがいる時は吠えて追いかけまわすのに対し、いない時には逃げてしまう
・散歩中、落ちているものを咥えてしまう
・若い時に興奮して走り回る癖があった
これらの行動は犬の成長過程の一つのこともありますが、この行動パターンを示す症例は心因性の掻痒行動(舐める・噛む・搔く)が強く出ることがあります。
【当院での診断と治療】
①アトピー
・投薬治療
②膿皮症
・食事療法
・スキンケアECプラス
③被毛形成異常
・投薬治療
④心因性
・パーソナルケアPⅡ+
⑤週1~2回のホームスキンケア
・Medicareオイル
・Medicareシャンプー
それでは治療から3カ月後の様子を比べてみましょう。
毛もフサフサに生え、4年間出ていた膿皮症はゼロになりました。また抗生剤は一度も使用していません。
飼主さまからは『仔犬の頃より柔らかい、まるでウサギのような毛になった!』
『ドッグランで他の犬に興奮して吠えたりせずに落ち着け、輪に入れるように!』
とのお言葉頂けました。
インスタグラムでは毛並みの動画を配信しています。ぜひご覧下さい!
当院への受診が難しくホームケアのみでアプローチする場合は、
・食事療法
・スキンケア
・免疫異常:スキンケアECプラス
・毛並み異常:アロペシアGR+
・心因性:パーソナルケアPⅡ+
がお勧めです。
当院オリジナルのサプリメントとスキンケア製品は、当院ホームページのオンラインショップからご覧いただけます。
この子のようにわんちゃんの皮膚病でお困りの方は是非当院までご連絡下さい。
尚、関東にお住まいの方は、東京サテライトにて当院獣医師が初診をさせていただき、継続治療をオンライン診療で行う遠隔診療も行っています。
※症状によってはできないこともございます。
詳しくは東京サテライトのご案内をご覧下さい。
【症例報告制作者】看護師 上林
投稿者:
2018.10.26
こんにちは、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はゴールデン・レトリーバーの症例です。
【症例】
ゴールデン・レトリーバー 6歳4ヶ月 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇3年前から下顎を血がでるまで掻き壊す
〇腹部を舐める、噛む
〇足裏を真っ赤になるまで舐める
〇2年前からエリザベスカラーを使用
〇この2年間、アポキルを毎日服用しいてるが改善しない
〇食事療法を行ったが改善せず
それでは、初診時の状態です。
まずは下顎とその拡大です。
下顎全体的に痒いのではなく、毎回同じ部位を書き壊しています。
続いて、腹部です。
続いて、足裏です。
それでは、初診時から約7週間後の状態と比較してみましょう。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
舐める、掻くなどの行為も減り、エリザベスカラーも外すことができました。
腹部、足裏の赤みもだいぶ良くなったと思います。
このような症例には、当院が開発したヒーリングケアLFプラスが非常に有効です。
スキンケア&サプリメントは以下のオンラインショップでお買い求め頂けます。
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【獣医師の解説】
心因性による痒み行動(舐め壊し、掻き壊し)の割合が高い症例です。
初診時から心因性に対する積極的な治療が必要です。
心因性のためサプリメントは非常に理にかなったアプローチですが、程度が強いため投薬治療の併用が必須です。
お薬の種類の選択、お薬の投薬量の設定が非常に難しいため、治療に相当な慣れがなければ難しい症例でもあります。
食事療法やアポキルでの治療ではほとんど改善しないため、視点を変えたアプローチが重要です。
投稿者:
2018.06.28
犬の皮膚病で再発が最も多い湿疹タイプ「細菌性の膿皮症」の根本的な治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今日はめずらしいゴールデンレトリバーのわんちゃんです。
当院での紹介としては多くありませんが、ゴールデンだけでなくラブラドールも含めてレトリバー種は皮膚病が多いですね。
原因としてはアトピー、アレルギー、内分泌疾患、心因性など多岐にわたりますが、どのタイプも特徴的なので非常にわかりやすいです。
【症例】
ゴールデン・レトリバー 4歳 女の子
【経過】
〇2歳過ぎから瘡蓋・フケを伴う湿疹が常にでている
〇1年通して発症しており、この2年でよくなったことがない
〇近所の動物病院で週に1回の薬浴を1年継続しているが一向によくならない
〇食事療法併用中
〇内服が苦手でほぼ飲むことができない
〇耳、頚部、身体全体の痒みと、手先をしつこむなめる
それでは初診時の状態です。
毛が多いのでカットさせていただきました。
まずは頚部です。
続いて、胸部(あおむけ)です。
続いて、腹部とその拡大です。
続いて、指の間です。
それでは初診時から7日後の状態です。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
新しい湿疹(膿皮症)は1つもありません
以前の膿皮症もほぼ消失しました。
飼主さまからは「びっくりするくらいよくなった」と喜んでいただけました。
今回の症例での問題・課題は以下の通りです。
①シャンプーが十分にできていなかった
週に1回病院内で薬浴しているということでしたが、最終実施シャンプーから数日しか経っていないにも関わらず湿疹のフケが多く残っていたため、評価としては「毛を洗って皮膚が洗えていない状態」といえました。
このフケ・瘡蓋(痂皮)・皮脂が多いタイプの皮膚病治療にはスキンケアが必須であり、身体の大きさと湿疹の数を考慮すると当院での院内薬浴を実施しなければ改善は不可能というレベルでしたので、初診日当日に院内薬浴を行いました。
シャンプー・薬浴と一言にいってもレベルの差は大きく、とりあえずシャンプーするではなく「薬浴すれば確実によくなる」という自信のあるレベルで行わなければ改善は難しいと思います。
※当院の薬浴実績 1000件以上/年間
今回は2名で従業員の休憩を兼ねた交代(合計4名)で3時間かかりました。
このレベルを飼主さまで行うのは現実的に難しいと思います。
②正しい食事療法
食事療法は体質によって合う・合わないというのは十分に考えられますが、今回のわんちゃんでは「今のドッグフードは絶対に合っていない」と確信を得ることができましたので、「即変更するように」で完全にきりかえていただきました。
大事なのは「体質に合っていない」という判断ができることだと思います。
皮膚の見た目だけでなく、過去の経過など経験値でこの的確な判断はできるようになります。
③お薬が服用できない
抗生物質を使うのがいいのですが、お薬が苦手ということで今回は内服薬をゼロで治療計画をたてました。
またサプリメント「スキンケアECプラス」と「ヒーリングケアLFプラス」を開始しました。
これらのポイントでの治療から、約2年消えなかった湿疹(膿皮症)はたった7日間でゼロになりましたので、いかに「必要なアプローチを全部する」がどれだけ効果的かがわかる症例だと思います。
シャンプーだけではよくなりませんし、サプリメントだけで治るわけでもありません。
すべてが揃ったからこその治療実績だったと思います。
このブログをみている飼主さまみなさまに知っていただきたいのは、皮膚病の原因はさまざまでアプローチも多数あります。
中にはシャンプーを変えるだけでよくなるようなわんちゃんも探せばいるかもしれませんが、多くのわんちゃんではカット(バリカン)、オイル&シャンプー、ローション、抗生物質、食事療法といった総合的なアプローチが必要になります。
1つ欠けただけでもうまくいかない原因になってしまいます。
先入観で「きっとシャンプーを変えればよくなる」「サプリメントなんて効果ない」「食事はアレルゲンフリーを選択しているから大丈夫」となってしまがちですが、99%でその想定・予測・自己判断は間違っていることが多いです。
意外なものの組み合わせでよくなりますので、当院では「必要なことをすべてやる」をお勧めしています。
なおこのタイプの皮膚疾患には当院でのスキンケア&サプリメントが非常に効果的です。
基礎疾患の見落としがない、食事療法に間違いなければ、かなりの確率で改善すると思います。
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