症例別

【犬の皮膚科専門外来】シェルティの慢性皮膚炎の治療 

2013.12.25

メリークリスマス♪

こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。

今年もいよいよカウントダウンとなり、年内の症例報告も今回でラストとなります。

今日は難治性皮膚疾患になりやすい犬種・・・とまではありませんが、時々来院がある『シェルティ』の症例を紹介します。

【症例】

 犬 シェルティ 9歳 去勢雄

【病歴】

 〇2年前から全身の痒みを伴う痂皮と脱毛
 〇この2年間で綺麗に改善したことがない

さて、初診時の状態です。

一見全体に被毛があり、遠目には皮膚病のように見えないのかもしれません。

部分的に被毛をかき分けて診てみましょう。

まずは右の側面、肩のあたりです。

この写真でも被毛が薄く、炎症を起こし赤くなっている皮膚が見えます。

さらに被毛をかき分け拡大してみます。

局所ではなく、全体的にこの皮膚炎が広がっています。

続いて、腰背部辺りの被毛をかき分けで診てみましょう。

このあたりを拡大してみます。

右肩のあたりと同様です。

続いて頚部をみてみましょう。

頚部の拡大をみてみます。

続いて、腹部です。

その拡大です。

このような皮膚疾患の場合、治療の効率化と全身病変部の評価のため、被毛のカットが非常に重要となります。

被毛をカットした背中を上からみてみます。

胸部~肩付近の拡大です。

さらに拡大してみます。

同じく上からですが、腰背部の拡大です。

つづいて、右大腿部の側面をやや尾側からみてみましょう。

さて、お気づきかもしれませんが、胸部~肩の付近と大腿部の側面は病変部が非常に似ていませんか?

そしてそれら2カ所に比較すると、腰背部の病変は若干異なっているように見えます。

それでは7週間の治療結果をみてみましょう。

まずは右肩付近の治療前と治療後の比較です。


※クリックすると拡大します。

同じくこの右側面の拡大です。


※クリックすると拡大します。

続いて、


※クリックすると拡大します。

この頚部を拡大してみましょう。


※クリックすると拡大します。

続いて、胸部背側の比較です。


※クリックすると拡大します。

続いて、右大腿部側面の比較です。


※クリックすると拡大します。

病変はほぼ消失し、痒みもありません。

現在治療の最終段階で終わっているわけではありませんが、今以上時間が経過するとシェルティの美しい被毛で完全に覆われ、皮膚がほとんどみえなくなるため、その直前で比較してみました。

あと1~2カ月もすれば完全に被毛が再生し、見違えるほど美しいシェルティになると思います。

毎回同じことですが、重要なのは初診時にこの改善までの道筋を描くことです。

確かに初診時に実施した検査結果が一通り出揃うまでは、「もしかしたら〇〇かも?」「もしかしたら△△△があるかも?」と考えることもありますが、初診時にあらゆるパターンを想定してこのゴール地点までの道筋を描きます。

ときに「この皮膚病は先が読めない」と感じることもありますが、ほとんどの症例は初診時に3ヶ月後までの先を読むことが可能です。

今回の症例も初診時に複数の検査を行いましたが、初診時の想定通りの治療結果をなりました。

幸い大きな基礎疾患がなかったため、2年間治らなかった皮膚病が7週間でここまで改善しました。

 

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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