2018.07.19
トイプードルのアトピー・マラセチア・脂漏性皮膚炎などの痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
トイプードルは遺伝的にアトピーと脂漏がセットで起きやすい傾向があります。
この脂漏に対してどうアプローチするのか、そして脂漏が起きている理由がアレルギーなのかどうか?が治療成功のポイントだと思います。
【症例】
トイプードル 12歳 女の子(避妊手術済)
【経過】
〇5歳まではまったく異常がなかった
〇4年前から痒み
〇お腹をかく&なめる、四肢端をなめるなど
〇全身がベタベタして、シャンプー後もべたつく
それでは初診時の状態です。
まずは頚部とその拡大です。
続いて、腹部とその拡大です。
続いて、背中とその拡大です。
初診時と1週間後に院内薬浴を実施し、初診時から3週間後の状態と比較してみます。
※写真をクリックすると大きくすることができます。
痒み・皮膚炎・ベタツキ・フケほとんど抑えることができました。
飼主さまからは「劇的によくなった。掻いているのをみたことがない。」という改善です。
こういったタイプの脂漏性マラセチア性皮膚炎の場合によく陥ってしまう落とし穴について解説します。
落とし穴①「こまめにシャンプーするしかない」
たしかにシャンプーすると脂っぽいのは和らぐのですが、それは一瞬だけです。
2~3日で元にもどりますし、シャンプーし続けたらよくなるものでもないため「エンドレス」です。
改善を実感することは難しいと思います。
どうして皮脂が多いのか?に向き合う必要性があります。
落とし穴②アポキルが効かなければ他に方法がない
今の皮膚科の課題の1つだと思いますが、「痒み=アポキル」という依存のようなものがあります。
毎回書いている通りアポキルは非常に使いやすいので「とりあえずアポキル」でも問題はないのですが、アポキルで改善がなければどうするのか?を考えながら処方する必要があります。
もちろんアポキルで改善がないときに、「アポキルが効かないのか?」「アポキル以外のアプローチが足りないから効かないようにみえるのか」の2つを区別できなければいけません。
前者(アポキルが効かない)であればアポキルは不要ですし、後者であればアポキルを使いながら別の治療プランを足していけばいいのです。
この2点の落とし穴に落ちないためには次の視点を持つ必要があります。
視点①なぜ脂っぽくなるのか?
脂漏の原因が簡単にわかれば誰も苦労しないのですが、特異体質でない限りだいたいわかります。
発症年齢などを考えて、アトピーなどの免疫異常を考えます。
ここで「アレルギー」と考えてしまうと迷走の原因になるため、アレルギーという概念に縛られない方がいいです。
もちろん内服治療としてアポキルはありですし、場合によってステロイド系もOKですし、シクロスポリンという手もあります。
視点②アトピー・免疫異常の改善には?
症状を抑えるために①の投薬治療は非常に有効ですが、将来的には投薬治療を減らすための他のアプローチを併用します。
具体的には免疫異常の根本である腸管免疫に注目し、当院が開発したサプリメント「スキンケアECプラス」が非常にいいです。
長期的にみると投薬治療が随分とへります。
当院で治療している脂漏症のほとんどが1年単位で皮脂がでにくく、投薬治療がへるという結果につながっています。
症状を緩和させる投薬治療も有効ですが、体質改善のためのサプリメントも同時進行で併用していくことが改善の実感には重要だと思います。
今回紹介したわんちゃんのケアには適切な診断治療と、当院で開発したスキンケア&サプリメントが非常に有効です。
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