2014.01.21
こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。
今回はトイプードルの脱毛症の治療症例を報告します。
トイプードルは難治性皮膚病になり易い犬種ではありませんが、近年は人気犬種として飼育頭数が多いため、皮膚病の来院数としても多くなってきています。
【症例】
プードル 12歳 女の子
【病歴】
〇2年前から背中~頚部の脱毛とフケ
初診時の状態です。
背中の被毛の薄い部分を拡大してみましょう。
カルテの条件とこの初診時の診た目でいくつかの疾患をピックアップすることができます。
あとは1つ1つ丁寧に精査すれば確定診断までそう難しくはありません。
初診時から3ヶ月後の状態と比較してみてみましょう。
100%の状態まで被毛が再生しました。
被毛の数だけでなく、トイプードルらしい美しい被毛が再生しています。
普段あまり診断名まで言及しませんが、中高齢のトイプードルでこのような被毛の減少を感じている方は意外と多いのではないかと思うので、少し解説を加えていきます。
多くの飼主さまが『年をとったから・・・』と見過ごされていることも多いかと思いますが、これは内分泌疾患(ホルモン疾患)の一つです。
犬の中高齢のホルモン疾患といえば、甲状腺機能低下症と副腎皮質機能亢進所(クッシング症候群)そして性ホルモン過剰症などを鑑別診断として挙げられます。
内分泌疾患を疑ったときに行うべき検査は、
〇一般血液検査(貧血、肝臓、腎臓・・・などなど)
〇甲状腺ホルモン測定(血液中のホルモン濃度測定)
〇副腎皮質機能検査(血液中のホルモン濃度測定)
〇超音波画像検査(副腎、甲状腺、卵巣)
〇尿検査
です。
なぜすべて必要か?
それは病気を1つ見つけただけで終わってしまうと「木を見て森を見ず」になってしまうためです。
心理学的にも陥り易いことですので非常に難しいところですが、
『(簡単に)見つかった異常所見にとらわれてしまい、その奥に隠された本質(本当の病気)を見落とす」
が起こり易いのがこの内分泌疾患です。
近いうちにそういった「木を見て森を見ず」で難治性となってしまった症例を紹介しようと思います。
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