2018.09.22
アトピー・アレルギーなどアポキルが効果を示す痒い皮膚病治療に力を入れている皮膚科専門動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
痒みに対する画期的な新薬アポキル(オクラシチニブ)が発売されて3年目、当院ではアポキルが効く症例に「どうしたらアポキルを減らせるか」という治療を積極的に行っています。
今回紹介する症例は「アポキルが非常によく効く症例が、アポキルを使わなくてもよくなった」という非常に面白い症例です。
【症例】
プロットハウンド
【経過】
過去に1度紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
2018年3月16日 アポキル&アミノ酸系食事療法で改善しない①
2018年5月21日 アポキル&アミノ酸系食事療法で改善しない②
まず初期治療で改善したあと、継続治療で来院された今年7月の状態を紹介します。
基本治療は初診時から変わらず、ポキル1日1回服用を含めた継続治療をしていましたが、夏に入ってやや痒みが増えたということでした。
初診時のような皮膚の悪化はないのですが、当初の想定よりフケが残るなど皮膚コンディションに違和感があったので、ある治療を併用することを提案してみました。
「ある治療」を併用して6週間後の状態と比較してみましょう。
※Beforeは初診時ではなく、ある治療を加える直前(当院継続治療中)の状態です。
見違えるような改善です。
どのくらい改善したかというと、「アポキルを飲んでないのに痒くない」というレベルです。
過去の経過と基礎疾患のことを考えると「今後もアポキルはゼロで」となるわけではないのですが、今後はアポキルの服用量は半分(2日に1回)以下になると思います。
今回のポイントは「アポキルが効く=アポキル継続」ではないことです。
アポキルの効果が部分的(限定的)なときはもちろん、例えアポキルが効いていても、より根本的な治療法が残っている(見落としている)可能性もあるということです。
参考までにこの症例の初診時にこの追加治療のプランを提案していたか?というと、「今後の追加治療の選択肢として〇〇〇の治療がある」しっかりと伝えていました。
最初からすべて併用するという治療プランもいいのですが、どの治療がどれだけ効果を示すのか、という点ではアプローチのタイミングを分けるのは飼主さまにとってもメリットのあることだと思います。
決して「アポキルが不要になる治療薬」ではなく、すべての症例に同様に効くわけではないのですが、適応になる症例を診極めることができれば、皮膚病の根本的治療の1つになりうる治療法だと考えています。
アポキルの効果が不十分であったり、アポキルを減らすための治療に悩んでいる方はぜひ当院を受診してください。
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