2013.11.24
こんにちは、四季の森どうぶつクリニック獣医師平川です。
難治性皮膚疾患といえば柴犬、シーズー、フレンチ・ブルドッグ・・・ですが、どの犬種でも治りにくくなることはあります。
今回は医原性に難治性になってしまった症例を紹介します。
【症例】
2歳 ミニチュア・ダックスフンド 女の子
【病歴】
〇1年半前から痒みとフケ
〇当初は外用薬のみで改善なく、1年前から内服併用
〇今年の春からさらに悪化
では、初診時の状態を診てみましょう。
別の角度から。
続いて、背中。
続いて、右側面から。
全身の痒みとともに、全身の脱毛が認められました。
では、治療3カ月後と比較してみましょう。
まずは顔から。
続いて、背中です。
最後に、右側面から。
ほぼ綺麗になりました。
今回のポイントはタイトルにも記載しましたが、「脱ステロイド」です。
個人的には「ステロイドを使いこなしてこそ皮膚科診療」というスタンスですので、一言に「脱ステロイド」と記載し、まるでステロイドが悪い薬かのような伝え方にはしたくないと考えています。
但し、ステロイドは使い方次第ですので、時に医原性(獣医師が行う医療行為が原因)の病気をつくることもあります。
今回のミニチュア・ダックスフンドの皮膚病は、まさにこの医原性のステロイドによる副作用と診断しました。
内服薬、外用薬ともにステロイドが含まれていたために初診時のような皮膚病変が形成されました。
今回のポイントとして挙げた「ステロイドを使わないこと」ですが、実は簡単ではありません。
長期間ステロイドで皮膚の痒みを抑えてきたことで、ステロイドを中止すると非常に大きな痒みを感じるようになります。
これは絶対に避けきれないことですが、それでもステロイドを使わないことが治療に最も重要なため、耐えるしかありません。
今回の治療も、最初の1カ月間は今までにない傷をつくるような痒みが認められましたが、写真のようにあとは綺麗に改善していきました。
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