最近の人生のテーマに「ゼロを1へ」を掲げている獣医師平川です。
ゼロを1にするって大変です。
分かりやすいようにとりあえず「ゼロ」という単語を使いましたが、まだ「ゼロ」がゼロとして認識できていればいい方で、時には「無」です。
無とは見えない、誰も知らない、想定外で、無である自覚もありません。
これを皮膚科に例えて使うと、「治療の成功には、医療のゼロ(無)に気づくこと」という感じでしょうか。
いつもブログで書いている「治療法が教科書にのっているとは限らない。」ということのベースでもあります。
今日はそんなゼロを1にするための日々の努力の中で、アドレナリンとエンドルフィンが大量に放出されるほど輝く「1」を実感したので思わずブログにしてみることにしました。
夜中にも関わらず日中に放出されたエンドルフィンが残っているせいか、気分が高揚しているので多少の戯言はお許しください(^^;
改めてタイトルにある「閃きは確信へ」にもどるのですが、この言葉を覚えている方はいますか?
2014年10月27日ブログ記事
5年ぶりの閃き?
皮膚病の中でも最も多く、再発しやすい膿皮症の根本的治療のためのアプローチを閃いたお話です。
そこから生まれたスキンケアECプラスは今の皮膚科診療の大きな武器となっています。
その他にも閃きは星の数ほどあるのですが、ほとんどゴミとなってキラリと光ることもなく捨てられて山となっています。
この妄想癖は不治の病みたいなもので、本人としては上手に仕事に生かすことができればと楽観的ですのでご心配はいりません(^^;
ただ、この閃きの中にときどき輝くようなダイヤの原石がみつかることがあります。
今日は随分と昔に閃いた仮説についてです。
5年以上前ですが、繰り返す膿皮症の原因に、新しい病態があり、あるお薬が効果を示すのではないかと仮説を立てました。
そして約5年前の大きな学会で、皮膚科の著名な先生方が集まりディスカッションをするという会場で質問させていただきました。
個人的にはポジティブな賛同意見や、何か情報があるかと思っていのたですが、現実は甘くなく、
「そんな話は聞いたことないですね。先生がそう思うならご自信でやってみたらどうですか?フフフ」
と内容の吟味や話の広がりもなく、一蹴されました(^^;
多くの先生が集まっている会場ということもあり、結構恥ずかしくて、意気消沈して帰宅したのを今でも覚えています。
(いまとなったらただのネタですよ!)
で、あれから5年。
相当数の症例をみて、さまざまなチャレンジをしてきましたが、本日とある2件の再診を行い、あのときの閃きは確信へと変わりました。
この2症例の診断名は膿皮症なのですが、初診時にわんちゃんを診た瞬間に「基礎疾患にあの病態が隠れている。絶対に〇〇〇でうまくいく。」と確信していた症例です。
そのため初診時に、
「ずっと治っていないとはいえ、この膿皮症を治すのは当然。問題は膿皮症を再発させないために、未知の病気が隠れていることを探して治療すること。気づいていないとは思いますが、治療すると〇〇〇になりますよ。〇〇〇がクリアできたら膿皮症は起きにくくなっているはずです。」
と膿皮症の改善という目先の目標よりもずっと先の飼主様の想定外の具体的な着地点を定めてからアプローチさせていただきました。
※一般的な皮膚科診療では通常やらないであろうアプローチです。ただ、非常に理にかなったアプローチで、未来の治療はこうなると思います。
結果は大成功です。
飼主さまも「びっくり、こうなるとは思わなかった」と喜んでいただけました。
5年前はただの妄想でしたが、あれから病態把握の精度を高めてきて、今では9割程度で診た瞬間に判断できるようになりました。
振り返れば見落としている症例も結構いるため、今後は継続治療のわんちゃんたちの治療方針の微調整にも使おうと思います。
今多くのデータをあつめているため、来年向けて学術活動もしたいと思います。
今年「アポキル(オクラシチニブ)が慢性腸症(IBD)に効く」という発表をしましたが、それとは比較にならないくらいのインパクトだと思います。
お楽しみに♪
※オフィシャルHPの刷新とオンラインショップの刷新、そして新しいオイルジェルの準備があるため、夏以降にがんばります。