2017.12.28
痒みを伴う犬の皮膚病治療を専門的に行う皮膚科動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今年のドクターXも人気でしたね~。
「失敗しないので」といえるように・・・・・の前に、年末恒例の反省会です
前回のブログで第1回反省会を開催しましたが、今晩も第2回反省会です。
普段成功症例しか掲載していませんが、反省すべき症例がないわけではありません。
最近も「あぁ、なぜあのときこれができなかったのか」と反省した症例がありました。
それは2年位まえから通院しているトイプードルの症例です。
2年間ずっと改善していないわけではなく、ある程度の改善効果をだしつつ、治療内容の微調整をしていました。
そして2ヶ月くらい前から心因性に対するある治療を追加したところ、今までになく改善が認められました。
約2年前の初診時の診断と、現在の診断・治療方針が異なるわけではないので、「もっと前からこれをやっていれば・・・」というのはなくはありません。
では初診時にその心因性のアプローチが思いつかなかったのか?というと、そうではないのです。
実は、初診時の時点で「心因性あり」判断して、初期治療の中に今回処方した投薬治療は入っていました
ただ、約2年前は期待した効果を出すことができず、飼主さまからの評価もかんばしくなく(あまりよくならない)、処方から一旦撤回となったのです。
そしてそれから1年以上経過して、「やっぱりもう1度」となって再処方するという流れでした。
上記の通り、治療結果は良好で飼主さまからも「よくなっている」と評価をしていただけました。
さて、ここで問題です。
なぜ初期治療のときに効果がでず、今効果がでているのか?
やはりそこは「パズルのピース」と一緒です。
1つのピースの位置が正しくても、周りのピースが間違っていると完成しないのがパズルです。
皮膚病の投薬治療も同じくで、選択したお薬(ピース)が正しくても併用している薬(周りのピース)にズレがあるとまったく治療成績がでないことがあります。
このわんちゃんでも同様でした。
1年以上前に処方したときに併用していた治療内容にわずかなズレがあったがゆえ、期待した結果がでなかったのだと思います。
そして、そこから微調整を重ねた今だからこそ、フィットしてよい結果につながったのだと思います。
今日も足りない隙間を埋めるピースをはめる微調整をしましたので、来年の再診が楽しみです。
心因性の治療はタイミングが大事です。
心因性の痒みだけが浮き出るような前治療を行ってからピンポイントで追加治療しなければ純粋な評価ができません。
その処方のタイミング、事前準備が難しいのです。
さらに、効果を引き出すための適切な投薬量がわんちゃんによってまったく違うので、薬用量に相当悩みます。
悩んでも適切な投薬量がわかるわけではないので、結局段階的に増やすしかないのですが、少ない量で効果がでなくても撤回しないことが重要です。
①心因性の診断をして、②薬(心因性)の処方にも関わらず、③効果なしであっても撤回せず、④薬の増量に向かう。
当たり前のようで、実はこの④が難しいのです。
④を選択して改善したらまぁいいのですが、改善しなければ「ヤブ」と怒られても仕方のない状況です。
ただ、大事なのは④で改善がなくても心因性の撤回は絶対にしません。
なぜなら記の症例のように効果がなくても、あとから再度「やっぱり処方します」で改善するケースもあるためです。
もちろんこの精度をあげていくのが診療なのですが、毎回パーフェクトなわけではありません。
心因性は本当に難しいですね。
来年は治療の「一旦撤回」、「再開」がないように精度をあげていきたいと思います。
また、この心因性の治療成績をあげるために、新しい改良版「ヒーリングケアLFプラス」を来年から登場させる予定です。
予定は1月中に以下のオンラインショップに登録する予定です。
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