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犬の皮膚病が治らない理由①

2017.08.26

アトピーやアレルギー、膿皮症といった皮膚病治療に力をいれている動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。

※ウトウトして眠りながら書いたせいか、誤字脱字、構成がひどかったので、修正しましたm(_ _)m

ここ数日は非常に暑いですね!

お盆まではお天気も悪く、あまり暑くならなかったので「もう暑さもピーク過ぎたかな」と思っていたのですが、ちょっと見通しが甘かったようです。

さて、今日は「皮膚病が治らない理由」についてお話しようと思います。

一言に「皮膚病が治らない理由」といっても語りきれないほどあるため、皮膚病が治らない「意外な」理由について紹介してみます。

キーワードは「鵜呑みにしない」です。

①検査結果

実は、検査結果が正しいとは限りません。

本当は寄生虫疾患なのに、顕微鏡で寄生虫が見つかるとはかぎりません。

検査をして「寄生虫がいました」は信用できますが、「顕微鏡検査でダニ陰性=寄生虫疾患ではない」ではありません。

あとから再検査で見つかることもあります。

そのため顕微鏡でのダニ陰性結果の正しい表現は、「今日の検査ではみつかりませんでした。良くならなければ何度でも検査します。」です。

他にもあります。

薬(抗生物質)の検査をして、効果ありの判定でも、服用して効果があるとは限りません。

膿皮症の治療の一つに抗生物質があり、「原因となっている細菌に、どの抗生物質が効くのか?」という細菌培養・感受性試験という検査があります。

この検査結果も鵜呑みにしてはいけません。

検査結果上で効果ありを確認して処方しても、いい結果が得られないことがあります。

もちろんその他の治療がよくない、基礎疾患が見つかっていない・・・などの原因もありえますが、検査で効果ありでも、服用して効かない場合もめずらしくありません。

「この状態で効果がなければ次!」という切り替えのタイミングを把握していれば特に困ることはありません。

ただ、飼主さまに理解されにくいことでもあるので、処方時に「効くとは限りません」と布石を打つ必要があります。

血液検査でも同様のことがあります。

血液検査結果が異常値ではなかったからといって、疑った病気がないとはいえません。

本当は病気があっても、検査結果が基準値内になってしまうこともあります。※健康でも基準値から外れる場合もあります。

「そんな信用できない検査なのか?」と怒られてしまいそうですが、本当にそうなんです。

検査結果を鵜呑みにせず、経験からの読みを生かして治療方針に落とし込むのが腕の見せ所だと思っています。

そのため、検査結果は「どんな結果がでるだろう?」ではなく、「きっと〇〇〇な結果だろう」とほぼ予測できていなければいけません。

いくつかパターンを考えていれば、検査結果で治療方針がブレることもありません。

②飼主さまのお話

「お薬を飲んでいますか?」とお聞きして「はい」と返ってきても、すべて飲んでいるとは限りません(苦笑)

1日2回のお薬が1日1回になっていたり、「継続服用」の指示だったものが、いつのまにか「気になったときに服用」になっていたりします・・・(驚)

良くなったから勝手に服用を中止して、ぶり返して「よくならない」と言われることもあります。

指示通りに服用してよくならなかったのか、そうでないのか、そこを詰めていく必要があります。

例えば外耳炎の治療で点耳薬を処方していて、

飼主さま 「耳がよくならない」

僕 「耳のお薬はつかってますか?」

飼主さま 「はい、入れてます」

僕 「この1ヶ月で何回いれましたか?」

飼主さま 「・・・・・・」

僕 「だいたいでいいです。週2~3回とか、週1回とか・・・」

飼主さま 「この1ヶ月で2~3回・・・?」

僕 「じゃあ毎日いれてみましょう。1週間毎日つかって良くならなければそのとき考え直します。」

ここのジャンルはあるあるのなので、獣医師が知恵を絞って「本当にしっかりとお薬が指示通り継続できているか」を確認しなければいけません。

もちろん治療方針が正しいことが前提です(笑)

③治療方針がただしくても、よくなるとは限らない

ここはかなりおもしろい分野です。

仮に治療方針が正しくても、よくならないことがあります。

細かく分けたいところですが、そのうちの一つが「飼主さまによくなっていることが適切に伝わらない」というのがあります。

例えば痒みが10あったわんちゃんが、5までへったときに「よくなった」という飼主さまもいらっしゃれば、「よくなっていない」という方もいます。

「10も5も痒いものは痒い」というニュアンスなのですが、それでは治療方針の評価ができないので、そこも的確に確認しなければいけません。

同様に、痒みの部位にもフォーカスを当てる必要があります。

初診時に「耳、目、口唇、頚部、脇、腕、四肢端、内股」の痒みがあり、一定の治療後に「かわらない」といわれることがありますが、

よくよく聞いていくと・・・「耳、目、口唇、頚部、わき、腕、内股は痒くないが、四肢端はなめる」であり、実はかなり改善していることもあります。

「かわらない」の意味が獣医師のイメージと、飼主様のイメージが異なることもあるため、そこはコミュニケーションで詰めていく必要があります。

また、治療方針がただしいのに、「十分な期間が経っていないため、まだわかりにくい」ということもあります。

例えば、初診時にプランニングした内容で2週間服用してまったく痒みが改善しなくても、さらに追加で2週間継続すれば良くなることもあります。

しかし2週間の時点で「まったくよくならない」と飼主さまにいわれると悩んでしまいます。

治療方針が適切ではない可能性もゼロではないのですが、場合によっては治療内容に自信をもって「このまま何も変更せず継続です」と言い切らなければいけません。

このように、治らないには治らないなりの理由があるのですが、その理由がわかりやすいとは限りません。

多くの場合、難しいことが多いため、自分の腕だけでなく、検査結果や飼主さまの話を疑わなければいけません。

さらにこんな場合もあります。

④ちゃんとシャンプーができていない

先日、柴犬の症例で、「痒みがまったくよくならない」といわれたことがありました。

個人的には「これでよくならないはずがない」と確信をもっていたのですが、確かに皮膚を診ると真っ赤になって非常に痒そうです。

飼主さまは非常に熱心で、週1回シャンプーもしているとお話されていたのですが、あまりに皮膚がベタベタなので

「最後にシャンプーしたのはいつですか?」

とお聞きしてみました。

すると飼主さまの答えは、

「昨日洗ったばかりです」

・・・・・原因はここでした。

「十分にシャンプーできていない」が理由と考えられたため、その日急遽院内薬浴を提案して、院内シャンプーを行いました。

2週間後の再診時、飼主さまは

「次の日からすっかりよくなりました・・・洗えてなかったんですね(苦笑)」

・・・・ということもあります。

治らない理由は本当にいろいろです。

治療方針だけではないこともあるため、多角的な目線で評価しなければいけません。

大事なことの一つは、獣医師が「この治療で治らないはずがない」という判断基準を持っていることだと思います。

自分の中に確固たるものがなければ、目先の小さなことで治療がブレてしまいうまくいかないこともあります。

当院が動物病院に行っている業務提携では、こういった「判断基準」についてもお伝えするようにしています。

投稿者:四季の森どうぶつクリニック

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