こんにちは、わんちゃんの皮膚科専門の動物病院、四季の森どうぶつクリニックです。
今回はフレンチブルドッグの子の症例です。
【症例】
フレンチブルドッグ 推定8~9歳 女の子(避妊済)
【経過】
〇2019年6月~(保護犬のため正確な皮膚についての情報は不明)
〇1年中痒い
〇アポキル2年間毎日内服している。効果は無いよりマシ程度。
それでは初診時の様子をご覧下さい。
まずは右頬です。
皮膚が硬く黒く鱗状になっています。目の周りも同じ症状になっていますね。
次に顎下。
毛は抜け、赤くなっています。
こちらは右前肢の内側です。
毛が薄く所々炎症で赤くなっている皮膚が見えます。
胸腹部です。
腕と同じく毛が薄くなり赤い皮膚が見えます。
次に右側面。
右側面の下腹部辺りには一部脱毛しブツブツしている皮膚がありました。
こちらは右後肢です。やはり毛が薄く赤い部分があります。
この子は推定6歳の頃に今のご家族に迎えられました。抜け毛も多く、元々皮膚トラブルがあったが、いつからなのかは不明。
それからずっとアポキルを服用していました。
『舐める』事より『掻く』ことや『擦る』ことの方が多かったようですが、一度舐めだすと長いとの事でした。
【当院の診断】
脂漏症、アトピー、被毛形成異常、心因性掻痒症
【治療方針】
〇脂漏症・アトピー〇
⇒投薬治療(※重要!)
スキンケア
・Medicareオイル
・Medicareシャンプー
〇被毛形成異常〇
⇒投薬治療(※重要!)
推奨フード
サプリメント
・スキンケアECプラス
〇心因性掻痒症〇
⇒投薬治療(※重要!)
サプリメント
・パーソナルケアpⅡ+
「どうして皮膚が弱いのか」
「なぜアポキルでコントロールできないのか」
大事なのは「被毛」です。
・被毛が硬い
・毛がよく抜ける
・地肌が透けてみえる
皮膚病になりやすいフレブルのほぼすべてがこの特徴を持ってると思いますが、これが病気の原因です。
「フレブルはこういうもの」
という先入観で異常と診断されることも、治療されることもありませんが、ここを治さなければ皮膚病全体の治療成績を改善することもできません。
治療開始10日後には既に、毛が柔らかくなった(毛並み改善)を実感されていました。
『痒み行動の減少』を実感し始めたのは治療から1ヶ月後。
治療からわずか1ヶ月で掻く行動は3割、舐める行動は5割まで減ったと実感されています。
また本人の『行動範囲が広がった』と日常にも変化が感じられるようになったともおっしゃっていました。
・今まで入らない部屋に入るようになった
・窓の外を見るようになった
活動性・活発性が上がったんですね!
これは心因性の診断治療に重要で、「動かない」「興味がない」というタイプの子は心因性が強く出やすく、治療によって活動的になることが期待できます。
活動的になることでより甜め癖は減る傾向に向かいます。
そして治療から3ヶ月後・・・
ほとんどの場所に毛足の長いしっかりと且つ柔らかい綺麗な毛が生え、赤く荒れていた皮膚も綺麗になっています。
掻く行為は1割まで減り、アポキルの服用も『3日に1回』まで減量することができました!
一般的な皮膚病に対してのアプローチだけでは治療が難しいケースもあります。
皮膚トラブルや痒み行動、また日常の行動で悩まれている方はぜひ当院へ。
お待ちしております。
インスタグラムでは治療後の毛の様子の動画や、他の症例も配信しています。
ぜひご覧ください。
この子が使用した当院オリジナルのサプリメントとスキンケア製品は、当院ホームページのオンラインショップからご覧いただけます。
尚、関東にお住まいの方は、東京サテライトにて当院獣医師が初診をさせていただき、継続治療をオンライン診療で行う遠隔診療も行っています。
※症状によってはできないこともございます。
詳しくは東京サテライトのご案内をご覧下さい。
【症例報告制作者】看護師 上林